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10年以上、耳掃除をしなかった私が、耳鼻科へ行ったら世界が美しくなった話


「いやだーーーーーーっ!!!痛い!!!!!!」


これは小学生の頃の私。

母親の耳掃除が痛くて、よく泣き叫んでいました。

私の母は手先がそこまで不器用ではなかったので、おそらく私が敏感だったのでしょう。大人たちは「耳掃除は気持ちいい」と言っているけれど、私は痛くて仕方がない。

そんなある日、テレビの番組で「耳掃除」の特集をやっていました。


内容としては「耳掃除はしなくていい。なぜなら耳垢は勝手にこぼれ落ちるから」というもの。


・・・・これは、私の記憶違いか、捏造の可能性が高いです。


おそらく「耳掃除は毎日しなくていい」的な内容だったんだと思います。しかし耳掃除嫌いの小学生の私は、都合の良い解釈をしました。


「耳掃除なんて、しなくていいんだ!!」


そして中学生に上がり、母親から耳掃除を受けることはなくなりました。

高校生、大学生と育ち、今では立派な社会人になりました(無職だけど)。
テレビの教えを守り切った私は、マジで10年以上、耳掃除をしませんでした。



きっかけは旦那の耳掃除だった


ある日、旦那と耳掃除の話になりました。

私「耳掃除が痛いんだよね〜」
旦那「えーあんな気持ちいいのに」
私「私は違うのよ」
旦那「じゃあ、俺がやろっか?」


手先が器用な旦那。もしかしたら耳掃除が気持ち良いかもしれない・・・!と思い、お願いをしてみました。

旦那の膝の上に頭を乗せ、わくわくと待つ私。新鮮で、甘い雰囲気。お、これちょっと新婚ぽくない?(※新婚です)

しかし旦那から驚愕の一言が飛び出ました。


「鼓膜、なくない?」


WHAT?


「?! あるよ!! 聞こえてるし!!」

猛烈に反論しますが、旦那は私の耳を引っ張ります。どうやら奥の奥まで覗き込み、鼓膜を探しまくっているみたいです。

「普通、白いツルンってしたものが奥に見えるはずなんだよ、でも月子にはそれが見えない」

「あなたの見せて!!」


形勢逆転。
甘い雰囲気は霧散しました。
iphoneのライトを使って、旦那の耳奥を覗き込みました。確かに奥の方に、白いツルンとしたものが見えます。不器用な私でさえ見つけられる鼓膜。旦那が見つけられないわけがありません。

・・・原因は一つしか、思いつきません。

10年以上、耳掃除をしなかったことーーーーーー


女のプライドとして話したくなかったのですが、話さざる得ませんでした。

旦那に話したところ、割と優しい彼がドン引き


「いや、それ、耳鼻科行ったほうがいいよ・・・・」

「はい・・・・」


耳鼻科へ行くことにしました。



看護師さんも苦笑いの診察


家の近くに耳鼻科があったため行きました。
耳掃除が大嫌いな私、もちろん耳鼻科は人生初の体験です。


駅前にある新しく清潔な病院。パステルカラーの受付が、安心感を与えてくれます。平日ということもあり、待っている人は少なく、母子の組み合わせが多かったです。小さな子供が、待合室で座ってるのを見て、しんみり思います。

「あんな小さい子供たちも耳掃除しっかりしてるんやな・・・」

『10年以上、耳掃除してない成人女性』という肩書きがめちゃくちゃ恥ずかしくなります。

受付のお姉さんも感じよく対応してくださりました。症状のところに悩みましたが、「耳が聞こえづらい」と書いておきました。

10分くらい待った後、名前を呼ばれ、別室に案内されました。

看護師さんが2人、真ん中に50代半ばくらいの女性が座っていました。名札を見ると院長でした。

「荷物置いてくださいね〜」と言われ、院長の前にある席へ案内されました。
背もたれが長く、私の頭の位置まであります。

院長は問診票を見て、「耳が聞こえづらいのね。じゃあ、右耳を椅子にくっつけてください」と言われました。椅子の冷たい感触が気持ちいいなーとこの時はまだ呑気な私。院長は慣れた手つきで、私の耳の穴を覗いていきます。


「あーーーー詰まってるわねーーーーー」


そう言って、器具を私の耳の中に入れたところ

「っ、いっ・・・くっ・・・・」

耳の奥に痛みが走りました。詰まった耳垢を取ろうと、掻き出します。


「痛っ!!!!痛い!!!痛っ!!」


声が我慢できないくらいの激痛が走ります。涙がブワッと浮かびます。

耳掃除に痛がる成人女性。まさか耳掃除で泣くことになろうとは。


「んーーー固まってるわねーーーじゃあ、右側やろう」


あまりに痛がるので、右耳に変更。「こっちもかー」と言われ、器具が突っ込まれます。右耳は痛みなく、すんなりと掻き出されます。

瞬間、耳奥に空気がすうっと入りました。


「??!!!!!」


初めての体験に目を白黒させます。

看護師さんが持っていたトレーの上には


1センチくらいの黒い塊がありました。



「ぎゃああああああああああああああ」


心の中で叫びます。第一印象は「グロい」です。


「こ、これが、私の耳に?」

「そうよ」


「さぁ左耳やるわよ」と涼しげに言う院長。ちょっと待って、院長の後ろの看護師さん、めっちゃ苦笑いじゃん!!!!!

私が痛くて動くので、看護師さんに頭を固定されました。めっちゃ押さえつけられる私。1センチのグロい物体が脳裏に浮かびます。なるようになれ・・・・と呆然としながら、先生の器具を受け入れました。

器具を変えてくれたのか、左耳の垢もなんとか取ることができました。

トレーを見ると、先ほどと同じくらいの物体が。


「こ、これが、私の耳に・・・」

「(苦笑い)」


あまりの恥ずかしさに、顔から火が出そうでした。左耳はじんじんするし、横には黒くてグロい物体があるし、成人女性なのに泣いてるし、消えたくなりました。

本当は「写真を撮ってもいいですか!」とブロガー精神を発揮させたかったのですが、変態扱いになるのが怖くてできませんでした。


みなさん私と違って耳掃除してると思うんですけど、耳垢が黄色の人がほとんどだと思うんですよね。

しかし10年以上放置した私の耳垢は、黒く変色し、1センチくらいの固い塊になっていました。それが耳奥に詰まっている・・・グロテスクすぎる。

「耳垢 巨大」と調べると出てきますので、興味がある方は調べてみてください。※結構グロいので注意!



院長たちにお礼をし、受付で清算しました。保険適用で1500円くらいでした。



耳鼻科へ行ったら世界が美しくなった


長い間、1センチくらいの黒い物体が、耳栓のように塞いでいたことになります。

さぞかしクリアに聞こえるのだろう・・・と思いきや、正直そんなに変わりありませんでした。


「なんだーそんなに変わらないやんー」と思いながら歩いていると、変化に気づきます。今まで以上に物音が多くなっているのです。


例えば、列車の音、車が走る音、カラスの鳴き声・・・


「??!!!」


イメージとしては、今までは3色くらいしか見えてなかったものが、10色くらいに見える、という感じでしょうか。同じ物音でも、音の種類が変わっているのです。ただ歩いているだけで、実に様々な音が聞こえてくるのを感じました。


待って? 世界ってこんなに音に溢れてたの????


驚く私。しかし一番驚いたのは自分の声でした。


あれ? いつもより声が高くない???


まさかの自分の声が違って聞こえました。普通に喋っているはずなのに、いつもより高く聞こえる・・・!!!


自然の耳栓(カッコよく言うな)を装備していた私には、世界の音は基本くぐもって聞こえていたのでしょう。それがなくなった今、世界の音が少しだけクリアに、正しく美しく聞こえるようになりました。



割と衝撃的な体験だったので、キーボードに叩き込んでいます。いやぁ面白い体験をしました。

ぜひ耳に不調がない人も、耳鼻科へ行ってみてくださいね!

もしかしたら自然の耳栓があるかもしれません。

そして私は耳掃除をちゃんとやるようにします!(決意)







今夜の晩酌にて、発泡酒がビールになります。ありがとうございます。