「シェフ　三ツ星フードトラック始めました」

　ネットフリックスで何気なく観た「シェフ　三ツ星フードトラック始めました」は、食いしん坊の私を惹きつけるに充分なタイトルだけど、その分B級の香りもしたので、用心しながら観ました。ロードムービーでもあり、レストランをクビになったお父さんと、夏休みだからと一緒にくっついてフードトラックで移動する息子とその友人。キューバサンドイッチ、というのが出てくる。これをフードトラックで売って行列が出来ちゃうのだけど、バケット風のパンの両面（！）にバターを塗って、柑橘系フルーツでマリネした

ローストポークやチーズを挟み、じゅじゅっとプレス焼きにしている。行列が延びて、一所懸命に手伝う息子もほほえましいけど、とにかく食べたくなっちゃって。一体どんな味？　皆おいしい！っと大絶賛して、人だかりが出来、警察にトラックの移動を言いつけられるほどなんだから、素材からしても絶対においしいに違いない。ネットで調べるとレシピがたくさん出てきた。そして、どれもがこの映画と関連づけているので、中にはどうしても食べたくて自分で作っちゃいました、みたいなコメントもあり。そうかー、やっぱり食べたくなるよね、これは。そうしてさらに検索したら、あるじゃないの！　食べられるお店が！

　そこで足を運んだ浅草のＳｕｋｅ６　Ｄｉｎｅｒさん。

　隅田川にほど近く開放的な店内で、お初のキューバサンドイッチ。甘ずっぱい！　おいしい！　表面カリっとしてるパンと完全マッチの具。甘ずっぱいのは、パイナップルのピクルスが入っているからで、見た目黄色いパプリカにも見えるので、お友達がお店の人に質問して判明したんだけど、驚きのお返事でした。

　映画は、旅を続けて息子といつか行くって約束したニューオリンズまで辿り着く。カフェ・ル・モンドに立ち寄って、

「これを食べるのだけが目的だったんだ」

　とお父さん。ドーナツみたいな揚げ菓子ベニエをほおばります。粉砂糖がふんだんにかかっていて、こんがり揚げられたベニエを歩きながら食べ、そうしてすぐさま次の町へ。えーーーーもう行っちゃうの？　もっと見せてよーニューオリンズの町。実は、前からニューオリンズに行ってみたかったのです。一時期日本にもこのカフェ・ル・モンドのお店があって、よくお邪魔していた。チコリ入りの濃いコーヒーも飲めたし、ベニエも食べられたんだけど撤退しちゃったみたいで今はどこにもない。黄色い円筒形のコーヒー缶もおしゃれなので、中味を飲んだ後はペン立てとして使っている。それほどまでに憧れのニューオリンズ、町並みなどもう少しじっくり見たかったなー。

　ニューオリンズに行くのは、息子との約束だったから。ちゃんと約束を守ったお父さんは、偉い。レストランの有名シェフとして働いていた時は、忙しくて実現しそうになかったのに、クビになったから行かれたってのも、案外良かったのかも、と思わせてくれる設定ではあります。