Keep in touch は、もう約束だよ。石橋凌さんに乾杯。その2
「今日は、ARBのTシャツ着て来て良いか迷ったので、結局コレにした」
小夜ちゃんが指さしたのは、長袖の紺と白のボーダーシャツ。
え、なんで?
「昔よく、囚人服着て歌ってたよね」
ああ、そうだった、そうだった。
すっかり忘れていた。本当に初期の頃、囚人ルックをよく着ていた。
小夜ちゃんとは、22歳の頃に出会ってそれ以来一緒にライヴに行っているのだけれど、くしくも77年5月の渋谷公会堂で、同じような体験をしている。つまり小夜ちゃんは、凌さんを最初から見ている私の大切な「相棒」なのだった。
凌さんからのメッセージをあらかじめ聴いてから参戦!
開場したので、地下へと下りて行く、すでにたくさんの人が入場済み。大体が50~60歳代の同世代。この人たちと一緒に年を取ってきたんだな、と急に感慨深くなる私。
その昔、革ジャン来てこぶしを振りあげてたに違いない、と思うと少しおかしい。自分のことは棚に上げ、
「立派な大人になったね」
なんて思ってしまうのだ。
前から思っていたことだけれど、凌さんのライヴに来ている男の人は、何かが違う。
まず服装。決して奇抜ではないけれど、ちゃんと意志を持って選んだと思われる物を身につけていて、それが様になっているというか。革ジャンにデニムというパンクファッションを思わせる服を着ている人もいるけれど、どこかに「今」のアレンジが施されていて、「痛い人」になっていない。
それは。
たぶん凌さんの言いつけを守って年を重ねてきたからではないか。
私たちは、さんざん凌さんから曲を通して、
「自分の考えを持って、周りがなんと言おうともそれを信じて生き抜け」
と言われてきた。体制におもねったり、時代に流されたりしたら凌さんに顔向けできない、と思えば自然と真剣に生きざるを得ない。
そういう意味では私自身も、そうとうに凌さんの「生き血」を飲んでいると言える。楽な方へ行こうと考えもしない人生になったのは、凌さんに歌詞にちりばめられた言葉たちが楔となって心に残っているからだと、思っている。
また次世代のバンドにARBチルドレンが多いのも、そのあたりが大きく影響しているような気がする。だってバンドで世に出て認められるには、たとえいい加減なふりを装っていても、芯は真剣に生きていなければ、思いを成就することなどできないから。
「KEEP IN TOUCH!」のサビの部分のアクションは、心に染みる!
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