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Keep in touch は、もう約束だよ。石橋凌さんに乾杯。その5

 後楽園のリングでのライヴは、意表をついた。
「東西南北どこからでも見てくれ!」
 と言っていたと思うけれど、楽器の配置があるから、どうしても正面は決まってしまう。
 それが。
 途中でリングが回転し始めたのだ。
 北、つまり真後ろのチケットで入場した私は、リングが動き出して正面から見ることができた時には、狂喜乱舞したのをはっきりと覚えている。
 しかも。
 回転は、人力。何人もの人が一生懸命に動かしていた姿も、今思い出すと微笑ましい。そんな時代だった。

 今はとても立派になり、蒲田駅周辺にそびえ立つ校舎群が圧巻の日本工学院にも行った。校内にあった小さなホールで、TVKの「ファイティング80‘s」という番組を収録していて、司会は宇崎竜童さん。その公開録画を観に行ったのだけれど、ステージが近くて熱くて楽しかった。2,3回行った記憶があるけれど、問題はオン・エア。
 当時地方局は、UHFアンテナがないと見られず、しかも見られても鮮明な画像とは程遠かった。室内アンテナをあちこちに向け、一番映りの良い位置を苦労して探した。それでも、行ったライヴを追体験できたのは、嬉しかったけれど。
 「ARB 10th Anniversary 」と銘打った初の武道館は、
「ついに!」
 という気持ちのすぐ横で、
「大丈夫?」
 という類の心配もしていた。それは、あまりにも感情移入しすぎて、当時私はまだ20代だったけれど、いわゆる「親戚のおばちゃん」みたいな気持ちになってしまっていたからだと思う。
 そんな私のハラハラは、まったくの杞憂で、10年間の集大成をきっちりと見せてくれた。だからこそ、すぐ後に「大会場中毒」と名づけ、もっと大きい初の代々木体育館へと会場規模を広げていくことができたのだと思う。


 


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