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チームナックス5デメンションズⅡの第2弾は「幾つの大罪」BY戸次重幸

 今日は、チームナックスソロプロジェクト第2弾に登場した戸次重幸さんことシゲさんの「幾つの大罪」をレポートするね。
 2023年4月15日(土)〜2023年4月23日(日)に六本木のEXシアターにて行われたシゲさん作・演出の舞台。
 観る前から、
「これがやりたかったのねぇ」
 と納得の内容。
 5人それぞれが好きなことをやる、というコンセプトだったので、第1回のリーダーも、とてもリーダーらしかったけど、シゲさんもしかり。

 前振りは、それより4年前の「MONSTER MATES」。すでに萌芽があった。
一見コメディみたいなんだけど、なぜかしらぞわぞわしちゃうストーリー展開で、最後には、
「あ・・・そうだったの!!」
 ってな具合。ホラー要素もあちこちに散りばめられていて。
 シゲさんの頭の中が具現化されているような感じだけど、その時もとても嬉しそうにしていたから、ソロプロジェクトをやるとなった時に、きっと迷わずに作・演出の舞台をやろうと思ったんだろうな、と。

 シゲさんの芝居は、いつもシャキッとしていて小気味良い。ナックスの本公演(5人が揃って演じる舞台は、だいたい3年おきに行われるけれど、年々チケットが取りにくくなっているのが玉に瑕)では、また違ったキャラクターを見せてくれるけれど、それは他の4人とのバランスがあってこそ。ご本人の役者としての持ち味は、スパッとして切れ味鋭い感じ。
 だから、この間ご紹介した「西遊記」での演技は、とてもぴったりだったなと思ったのだけれど、その前哨戦としての「幾つの大罪」も本当にシゲさんらしさが全開だった。

 それと。
 シゲさんの座長加減がかわいらしくて。ナックスにいると、包容力のあるリーダーが絶対的に皆をまとめてくれるし、大泉洋さんにはいじられるしで、そのポジションは人の上に立つという感じじゃない。
 だから、自分でキャスティングして演出するというのがまず嬉しくて嬉しくてしかたがないという感じが伝わってくる。けれど、それは誰かを支配したいがための座長では全然ないので、ほぼ他の演者と同じ目線。若い役者さんたちのことも、すごくかわいがっている。
 だから稽古が進むうちに、ちょっと年上のお兄さん的な立ち位置に落ち着いて(どうやっても結果そこに行くと思うけれど)、皆から慕われている様子をファンクラブの映像で見ると、それだけで嬉しくなっていた。



囚人たちのお話。シゲさんの頭の中を覗いているような、そんな楽しいストーリ―だったよ。あ、話自体は、ちょっと怖いけど・・・。

 稽古が終盤にさしかかり、本番日がちらついて来た頃、あまりにも楽しすぎて、すでに終わってしまうことを悲しんでいたシゲさん。稽古が順調だったから、そんなことも言えるんだよね。だって、全然準備できていなかったら初日あけるの怖いもの。
 でもこれもいつものこと。そこにシゲさんらしさを感じる。
 稽古大好きと公言しているだけあって、その映像もとても興味深かったよ。
 
 実は、私はバラエティタレントとしてのシゲさんも大好き。実際の年齢、例えば今だったら50歳だから「50歳児」と呼ばれてしまうシゲさんは、少年の心を残した大人・・・ではなくて、子どものまま身体だけ大人、ということでそう言われている。だから、2人の息子さんと遊ぶ時も真剣だし、悲願と言っても良い「仮面ライダー」に出演した時は、本当に嬉しそうだった。
 「ミスター残念」とも言われている。数々の信じられない失敗やアクシデントがもうおかしすぎて、東京においてはまだその貴重なキャラクターを発揮していないのでは? と思っている。
 ご本人も割と隠して振るまっているようだけど、北海道ローカルの番組となると、あのいでたちでおかしなことを言うものだからなおさらにおかしい。
「人口が何人に増えれば県になるのか?」
 とか、大雪原の遠くにいた馬を熊と見間違えて大騒ぎしちゃうとか、有名なロケ5時間遅刻事件とか、とにかく笑わせてくれる。

 そのシゲさんの面白さを瞬時に引き出してくれるのが、大泉洋さんで彼の気づきがなかったら、ここまで残念な立ち位置にならなかったとさえ思う。
 ある年の「キュードリームジャンボリー」(所属するオフィスキューの札幌で開かれる歌やコントなどを盛り込んだ大イベント)で、おもむろにギターを持って登場したのだけれど、出てくる時に柱か何かにネックをぶつけ、「あ、チューニングが狂っちゃった。ちょっと待って」
 と、調整しようとしていると会場のあちこちから声が・・・。
「え・・・? 何?」
 と耳を傾けるシゲさん。
「ざ~んね~ん!」
 と言われていた。
「あ、残念ね」
 とチューニングに夢中なシゲさんは軽くあしらっていたけれど、そんなことまで言われちゃう。
 また他の時は、会場内を行き来する大きな2台のトロッコにのってファンの近くに行く、という段取りの演出があった。たしか、途中でもう一台に乗り換えるはずが、ちょうどカメラがシゲさんを捉えていたので、サービスでカメラ目線で歌ったら、トロッコに乗り遅れてしまった。
 他の人たちは、全員余裕で間に合ったのに取り残されたシゲさんは焦ってトロッコを追いかけていたけれど、やっぱりいじられて。
「いやいや、カメラが来たから俺の歌うパートを歌い終えるまでそこにいても余裕で間に合うと思ったのよ」 
 みたいにはぁはぁしながら言い訳する姿も、ほんとうに子どもみたいで会場の大爆笑をさらっていたよ。
 
 こういうことが、計算ずくでなくできるシゲさんは、天性のバラエティタレントだと思うけれど、でもやっぱり舞台役者でいる時が一番輝いてるよね。
 そのために、北海学園大学で演劇研究会のドアを叩いたんだものね。そこで出会った仲間たちと、これからもずっとお芝居をやっていてほしい。とりあえず80歳までは続ける、とリーダーが言っているからまだまだ楽しめると思うけど。

 ついついお芝居以外のことも書いてしまいましたが、私は実はシゲさんをイチオシしています。

                                                            

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