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Keep in touch は、もう約束だよ。石橋凌さんに乾杯。その3

 私は、背が低い。153cm。ただでさえ男の人が多いので、凌さんの姿が見えるかなという一抹の不安を感じていた。 
 その時、アナウンスが流れた。
「ダイヴやモッシュは、固く禁じられています」
 あ、禁止なんだ。安心した。
 ARBがライヴハウスによく出ていた1980年代、ダイヴもモッシュもなかった。その行為が出現した頃、私が行くコンサートはホールクラスのものに変わっていたし、映像で見るモッシュは怖いと思った。
 大きな身体の人がゴロゴロと転がってきたら、よけられないし重さに耐えられる自信もない。
 それが今は、禁止。
 なんだか時の流れを感じるようなアナウンスだった。

 土曜日だったので、開演時刻は18時とちょっと早め。
 そして、ステージに凌さんが出てきた。
 人の間に見え隠れする凌さんの笑顔は、昔のまま。映画か何かの役の都合で髪を白く染めていたけれど、そのことは事前に知っていたので、驚かなかった。

 45周年ということで、本当に久しぶりに来た人がけっこういたみたいで、
「あの声、全然変わってね~な」
 と何度も連れの人に呟く男の人の声が聞こえて来た。
 わかる。

 変わらないどころか、年を重ねてますます重厚になっていく凌さんの声は、聴いていて本当に耳に心地良い。
 ソロの曲とARB時代に曲を織り交ぜて歌ってくれる。
 温度差が、すごい。
 ARBの曲をやると、男性たちは裏通りで牙を磨いていた悪ガキに戻り女性たちは革ジャンで素肌を隠していたローティーン・ガールになってしまう。踊って、ジャンプして拳を振りあげ歌う。
 なんて楽しい瞬間。

 でも。
 私は、ソロになってからの凌さんの曲を受け入れていないわけではない。「形見のフォト」「Dear my Soulmate」「ヨロコビノウタを!」といった曲は、歌詞もさながら凌さんの作るメロディラインの真骨頂という感じで大好き。
 最新アルバムのタイトル曲「オーライラ」なんか、聴く度に励まされて涙が流れるほど。




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