Keep in touch は、もう約束だよ。石橋凌さんに乾杯。その1
タイトルが手垢のついた言い回しぽくて、自分でもちょっと恥ずかしい。けれど、石橋凌さんがまだARBだった頃歌っていた「Tiger」という曲にちなんでつけてみたので、それで良し、と納得してみる。
「♪お前に贈る乾杯~」
という歌詞のところで、グラスを持ち上げエア乾杯をした日々が懐かしくて。「さらば相棒」という曲でも、夢破れ故郷に帰る相棒に向け、
「♪お前と俺に乾杯~」
と同じように右手を高く掲げたっけ。
凌さんが、デビュー45周年の記念ツアーをやると言う。皮切りは、4月27日、下北沢251。なんとオールスタンディング。
抽選とのことだけれど、いつも一緒に行っている友達の小夜ちゃん(仮名)に、
「どうする?」
と尋ねると、
「とりあえずエントリーしておこう」
と前向きな返事。彼女とは20代前半の頃からずっーと一緒にライヴに行っている仲。彼女と一緒なら、大丈夫かもと思いつつエントリー。
そうして、当選。
当日が近づくにつれて、だんだんとボルテージが上がってきた。通常の会場で椅子があるのに自分の意志で立ち続けている状況とは違う。ずっと立っている必要があるのだ。
無意識のうちに気合が入ってしまう。
でもリタイアしてしまう不安は、なかった。
私は10代の頃からずっとライブに行き続け今に至る。1960年代前半生まれだから、相当のキャリアになる。ただ、ちょっと座りたい時に座れる椅子がない、というのが不安だっただけ。
それにしても、45周年。すごいな、凌さん。
初めて凌さんを見た日を思い出しているうちに、計算が合わないことに気づく。
「1977年5月8日は、今から47年前だよね」
その日私は、今は「LINE CUBE SHIBUYA」と名乗っている「渋谷公会堂」にいた。2階席の最前列。
甲斐バンドのコンサートだった。そのオープニングアクトとして、ARBが登場したのだ。突然名前も知らないバンドが出て来たので、びっくりしたし面食らった。
その時ARBは甲斐バンドと同じ事務所だったから、このような流れになったのだけれど、なんと凌さんは福岡の久留米から上京してきて、たったの8日目のステージだった。
ヴォーカルのオーデションを受けて合格した凌さん。つまりまだバンドとしての結束も固まっていなかっただろうし、じゅうぶんなリハーサルも出来ていなかっただろう。
しかも甲斐バンド目当てで訪れている客席のファンから、ものすごいアウエイ感を感じ取っていたはず。
それでも。
若き日の凌さんは、ステージを走り回り、吠えていた。アマチュア時代から磨きをかけられたソウルフルな歌声は、最大の武器。
初見でも、「良い声の人だな」 と思ったし、何より2階からでも、はっきりとわかるその顔立ちに一目惚れした私だった。
「あのARBっていうバンド、応援しよう」
決めたけれど、なかなかデビューできなくて結局2年ほどが過ぎてしまうことになる。
45周年は、そのレコードデビューを起算日にしているからなのだった。だから実際にはもう47年が経っているわけで。
デビューはせずとも、ARBはラジオのライヴ番組によく出ていた。それをエアチェックしてよく聴いていた。
エアチェック。
そういう時代。
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