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台湾の記憶をたどる撮影アドベンチャー『黑貓:逆光』

※中国語のみ
『黑貓:逆光』
(Black Cat:Back Light)はカメラで写真を撮りながら喧嘩別れした祖父の過去をたどっていくアドベンチャーゲーム。台湾の官公庁、桃園市政府文化局が協力して作られた、歴史に基づいた作品だ。

主人公・阿誠にはかつて仲の良かった養父がいたが、長ずるにつれて厳格な彼とは不仲になってしまう。喧嘩別れしたまま養父は世を去り、彼の使っていたライカM3だけが残された。阿誠は撮影の仕事でそのライカを携え「前空軍桃園基地設施群」へとやってきたが、この場所こそは養父が所属していた「黑貓中隊」の根拠地だった。

基地に着いた阿誠はアメリカ系台湾人の少女Penny と出会い、彼女と一緒に撮影の仕事を進めていく。ゲームは一人称のFPS形式とノベルゲーム形式で進行し、FPS形式では基地の中を探索して特定のポイントを撮影する場面もある。コンパクトな作品ながら自然な会話が楽しく、ライカで撮影した瞬間に養父の記憶と台湾の歴史がフラッシュバックする演出が印象的だ。

養父が所属していた黑貓中隊や物語の舞台となる前空軍桃園基地設施群などはいずれも実際の歴史に基づく。桃園市政府文化局の公式ホームページには有形文化資産として写真や解説が掲載されていて、再現度高く作り込まれているのがわかる。空軍第35中隊、通称黑貓中隊については産経新聞のこちらのニュース記事に分かりやすく解説されている。

開発は『台北大空襲』の迷走工作坊と『棄海:波弟大冒險』(棄海:忘れられた深海都市)の光穹遊戲。歴史を扱った作品だがあくまで遊びやすく、ゲームを通じてまた少し、台湾の歴史を知ることができた。