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スモークサーモンのチャウダーのレシピ

寒くなってきたのでリクエストにあったチャウダーのレシピです。チャウダーはいわばアメリカのシチュー。アメリカではチャウダーを作ること、食べることが社交の場だったという歴史があります。チャウダーを振る舞うチャウダーパーティは選挙戦の大会などのたびに催されていた、いわば娯楽でした。

http://oldprintshop.com/product/36891?inventoryno=18846&itemno=2yoriより引用

歴史上もっとも大きなチャウダーパーティは1848年にロードアイランドで開催されたもので、なんと1万人が参加したという記録が残っているとか。チャウダーの語源は定かではありませんが、フランス語でシチュー鍋を意味するショーディエールとも言われています。

スモークサーモンのチャウダー
スモークベーコン 40g
スモークサーモン 70g
ジャガイモ   180g(2個程度)
玉ねぎ     160g(中1個)
塩       小さじ1/4(1.5g)
小麦粉     大さじ2
オイル     大さじ2
水       500cc
牛乳      200cc
クラッカー   適量

南部に行くとコーンチャウダーが有名ですが、チャウダーに決まりはありません。今日は燻製の風味が楽しいスモークサーモンのチャウダーをつくります。味のベースはベーコンです。肉と魚を組み合わせる(サーフアンドターフ)のもアメリカっぽい手法。

このレシピはアメリカ最古のチャウダーのオマージュです。印刷された最古のチャウダーのレシピは1751年にThe Boston Evening Postという新聞に投稿されたもの。

First lay some Onions to keep the Pork from burning
Because in Chouder there can be not turning;
Then lay some Pork in slices very thing,
Thus you in Chouder always must begin.
Next lay some Fish cut crossways very nice
Then season well with Pepper, Salt, and Spice;
Parsley, Sweet-Marjoram, Savory, and Thyme,
Then Biscuit next which must be soak’d some Time.
Thus your Foundation laid, you will be able
To raise a Chouder, high as Tower of Babel;
For by repeating o’er the Same again,
You may make a Chouder for a thousand men.
Last a Bottle of Claret, with Water eno; to smother ’em,
You’ll have a Mess which some call Omnium gather ’em.

韻を踏んでいる詩的なレシピですね。玉ねぎと豚肉(おそらく塩漬けでしょう)、魚を使ったスープのよう。味を重ねていくところに特徴があります。また、パセリ、マジョラム、タイムの組み合わせは18世紀のイギリス料理の典型的な使い方です。元祖チャウダーにはミルクも入っていないのですが、今回使うスモークサーモンとの相性がいいので、入れてみました。

玉ねぎは1cmの角切りにします。

ちなみに丁寧にするなら外側の大きい部分と内側の小さな部分を分けてから角切りにすると均一に切れます。小さい部分の先端、細い部分は別の料理に使うわけです。とはいえ、チャウダーはそこまでこだわる必要はまったくなし。

ジャガイモは煮崩れさせたいので玉ねぎよりもやや小さめに切ります。

ベーコンは細切りにして、小麦粉をまぶしておきます。普通は玉ねぎとベーコンを充分に炒めたところに小麦粉を振り入れる(フランス料理でサンジェと言います)のが一般的ですが、小麦粉はしっかり炒めた方がおいしいので、このレシピでは先に入れてしまいます。

広口の鍋にオイル大さじ2と玉ねぎ、ベーコン、塩小さじ1/4を入れて蓋をして中火にかけます。

蓋の内側に水蒸気が出てきたら、弱火に落とします。

3分経ったら、蓋をあけてかき混ぜます。

かき混ぜたらもう一度、蓋をして3分間。

鍋底に小麦粉がくっついているので水を注いで、こそげます。これがスープのベースになります。

このタイミングでジャガイモを投入。

沸騰したら弱火に落としてコトコト10分間煮ます。

サーモンを切るのを忘れてました。適当な大きさに切ります。これは国産のスモークサーモンなので色が淡いですね〜。

ジャガイモがやわらかくなったので牛乳とサーモンを加えてもう少しだけ煮ます。

3分程度煮れば出来上がり。味付けをしてもいいですが、最初にした塩、ベーコン、スモークサーモンから塩気が出ているので慎重に。最大でももう小さじ1/4(1.5g)くらいしかいらないと思います。

できたらパセリを振りますが、今日は在庫がなかったのでそのままです。ここに砕いたクラッカーを入れて食べるのがアメリカのスタイルです。

ミキサーを持っている方はスープ300ccをとりだしてミキシングするとコクが出ます。

いってみればスモークサーモンのポタージュを混ぜるのです。きれいなピンク色が出ます。

とはいえ全部ミキシングしてしまうとチャウダーっぽさが出ません。具材がゴロっと入っている感じがチャウダーらしさだと思います。

〈付記〉

ちなみにチャウダーはつくってから一晩経ったほうがおいしくなります。

とろみがついた液体には具材の旨味が拡散しづらいので、一晩置くことで具材の味がスープにとけるからです。また小麦粉のデンプン質が水を吸うので濃厚になります。また、一晩置くと具材の塩分濃度とスープの塩分濃度が近づき、その結果マイルドな味になることもわかっています。というわけで前日つくって朝に食べるのもアリではないでしょうか。(食中毒には注意が必要ですけど)

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!