見出し画像

炒り卵の作り方

僕の炒り卵の特徴は砂糖が多めに入ること。炒り卵は卵を完全に凝固温度以上まで加熱するので、パサつきがち。そこで思い切って甘めの味付けにすると砂糖の持つ保水性のお陰でしっとりします。

卵 2個
上白糖 大さじ1
塩   一つまみ

ボウルに卵を割り入れて、分量の砂糖と塩を加え、よく溶きます。

フライパンを弱火にかけて、かき混ぜながら熱していきます。小さな雪平鍋でつくるのが定番ですが、鍋肌にこびり付いて洗うのが大変なので、テフロン加工のフライパンを使っています。

なぜ、食材がフライパンにくっつくのでしょうか? タンパク質は熱を加えることで化学反応を起こし、網状組織をつくりますが、金属イオンとも反応します。鍋に食材がくっつくのはタンパク質と金属が物理的に結合してしまうから。一見すると滑らかに見える鍋の表面もミクロで見えると凸凹しているので、そこにタンパク質が入り込んでしまうともう剥がれません。テフロン加工のフライパンに食材がくっつかないのは表面が滑らかだからです。

鉄のフライパンを使う場合には充分に煙が出るまで予熱します。これは充分に熱することで表面に酸化物の膜をつくる作業。酸化した金属には油が馴染むので、そこに油を注ぐと、油の膜ができます。表面の凸凹が油で埋まり、肉や魚、卵のタンパク質も膜になった油のお陰で金属面に触れないので、食材がくっつかないのです。

鍋肌にくっつく原因がタンパク質、とわかると色々なことが腑に落ちるか、と思います。野菜やゴマを炒っても鍋肌にはくっつきませんが、肉や魚はくっつきます。なかでもタンパク質の固まりである卵は最もくっつきやすい食品です。

炒り卵をつくる場合『事前に鍋を水にくぐらせるとくっつきにくい』と言いますが、その効果にも限界があります。水の量を増やせば可能ですが、それはもはや煮るという調理法になってしまうから。

ガスコンロの場合、外側の方が火が強いので、まわりから固まってきます。IHの場合は全体が加熱されるので少しかき混ぜる作業が大変です。

70℃を越えたあたりで一気に反応が進みます。スクランブルエッグではなく炒り卵ですからさらに加熱して水分を抜いていきます。

全体がぽろぽろとした状態になればOK。焦げない温度で加熱を続ければそぼろの大きさは小さくなりますが、ある程度の大きさがあったほうがおいしい気もします。

出来上がり。色彩心理学的に黄色は人が元気になる色だそうで、朝ご飯にオムレツを食べたり、お弁当に炒り卵を入れるのはそうした効果を狙っているのかもしれませんね。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!