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そら豆の調理の基本

そら豆は春の味覚。聖書のなかにもダヴィデ王に貢がれた食べ物のなかに大量のそら豆があった、というような記述があるほど、古くから食べられている野菜です。今日はそら豆の調理の基本と『生のままソテーしたそら豆』という料理をつくります。

そら豆を見分けるコツは鞘の上から触ってみること。鞘がふっくらしてもなかが空だとがっかりします。若いそら豆なら生で食べられますが、普通は加熱して食べます。

基本的には茹でて食べます。鞘からとりだしたそら豆の皮目に切り込みを入れ、1リットルあたり12gの塩を入れた熱湯に入れます。再沸騰したら弱火に落とし、2分間茹でます。その後、穴杓子ですくい上げ、氷水で冷やします。水気を切って、薄皮を剥く……というのが基本です。

そら豆は強めの火で茹でるのがセオリーで、調理師学校などでもそのように教えているはずです。

昔から無意識的に行われているセオリーですが、そら豆にはn-ヘキサナールとインペンタノールなどの独特の青臭さや蒸れ臭に近い芳香化合物が含まれているので、強めの火で茹でることで香り成分を揮発させ、食べやすくしいてるのだ、と思います。料理屋さんなどではアルコールと一緒に香り成分を揮発する効果を狙い、日本酒を入れて茹でる場合もあります。(1lに対して大さじ2加えると匂いがだいぶ緩和されるのでオススメです)

茹でてから皮を剥いたほうが楽ですが、ゆっくりと加熱してみてください。びっくりするほどおいしくなります。

ただ、皮を剥くのが面倒なんですよね……なので、僕もこんな風に料理するのは年一回程度かも。

さらに完璧を目指すならこの芽の部分を取りのぞきます。芽から苦みが出る場合があるからです。これはジョエル・ロブションがすすめる方法。とはいえ、ほとんど誤差の範囲なので無理しなくても大丈夫。皮を剥いて天ぷらにするのもおすすめですが、今日は焼いていきます。

その前にボウルに移し、塩を少量振りかけておきます。後から塩を振って混ぜるとそら豆が崩れる場合があるので、先に塩を振ってまぶしておきましょう。

フライパンにオリーブオイルを敷き、弱火でゆっくりと加熱します。

こまめに裏返しながら加熱していきます。そら豆の青い香りを生かすために焼き色はつけません。

焦げそうになったらフライパンを火から外して温度を下げます。そら豆の還元糖は50℃付近で加熱をすることで増加することがわかっています。ゆっくりと火を通すことでそら豆の甘みを引き出せるのです。ただ、問題は前述した独特の匂い。ゆっくり加熱すれば甘くなるが、青臭さは残ってしまうのです。

……難しいところですが、オリーブオイルを使うことで、その問題は解決します。オリーブオイルでマスキングしてしまえば、青臭さは感じません。また、加熱中は鍋を煽ったりしないように。そら豆が崩れてしまうので。

そら豆に火が通ったかどうかは触るか、食べてみてたしかめます。

出来上がり。生のままソテーしたそら豆は淡いグリーンが美しい仕上がり。この料理はもちろん、ベーコンや小玉ねぎを混ぜればさらに豪華なつけ合わせになりますが、丁寧に加熱したそら豆には驚くほど風味があるのでシンプルに仕上げるのがいいと思います。ここに香りをプラスするならセイバリーというハーブ。セイバリーはそら豆と相性が抜群なんです。ただ、入手が難しいのが難点。見つけたら是非試してみてください。ハーブでは他にセルフィーユも合いますし、イギリスやイタリアではミントが定番。刻んだミントを仕上げに振るのも個人的には好きです。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!