カボチャのスープの作り方
カボチャのスープをつくります。以前もカボチャのクリームスープを紹介していますが、あれはロブションさんのレシピ。今回は僕が普段、つくっているレシピで、元ネタはアラン・パッサールさんのレシピです。ロブションスタイルとは違い、動物性のブイヨンが入らない点に特徴があります。上にローズマリーの香りをうつしたミルクの泡を載せました。お客さんに出す時は生クリームベースのムースを浮かべたりします。
カボチャ 300g
牛乳 400cc
バター 20g
オリーブオイル 大さじ1/2
ローズマリー 一枝
牛乳 200cc
まずはスプーンでかぼちゃの種をとりのぞきます。煮物にする場合は種をつけたまま煮たほうがおいしいですが(種は食べられませんが、煮汁にとろみがつく)スープ作りの場合、作業効率を考えれば除去した方が楽です。ただ、フルーティーな香りは種の周りにあるので、若干もったいないのですが……。(なので、フルーティーに仕上げたい場合はアルミホイルに包んで、まるごと焼くといいです)
次に小さくカットしますが、やってはいけない切り方は皮から切ること。かぼちゃの皮は意外と硬く包丁が駄目になります。包丁職人さんが嘆くのでやめましょう。
かぼちゃに限らずものを切る時はやわらかい部分から包丁を入れるのが原則。やわらかい部分から硬い部分に包丁を入れれば少ない力で切ることができるからです。
はじめに真ん中あたりに包丁を刺すように入れます。包丁の根本をいきなりカボチャに入れると刺さって抜けなくなることがありますよ。これは四分の一に切られた状態のカボチャを切っていますが、一個まるごとを切り分けるときも要領は同じで、かぼちゃのヘタをとるとその下の部分はやわらかいので、そこに包丁を差し込みます。
包丁を観察すると先端ほど細く、根本ほど分厚くなっているのがわかると思います。刃の薄い部分を使ってきっかけをつくり、分厚い部分で切り開いていくイメージです。まずは半分切りました。
次に反対側も同じように切っていきます。
これで半分に切れました。
さらに櫛形に切っていきますが、この時もやわらかい内側から包丁を入れるようにします。
ここまできたら力任せに切ってもいいですが、包丁の先端に近い部分を抑えて、包丁を落とすと自然に切れます。包丁の反りを利用した切り方です。
これを繰り返して、小さくカットします。
小さくカットできたら、カボチャをまな板に置いた状態で皮をとりのぞきます。
このようにすれば力が入りやすく手を切るリスクが減ります。
ここで選択肢が二つにわかれます。厚く切ったものをゆっくりと加熱すると甘みが強くなり、薄く切ってから加熱するとさっぱりとした仕上がりになります。カボチャには酵素が含まれており、それがでんぷん質を糖に変えるのですが、薄く切ると酵素が働く温度帯を短くなるので、甘さが出づらいんですね。なので、結局は好みになってしまうのですが、スープにつかう場合は薄く切るのが好みです。煮る時間も短縮できますし。
鍋に牛乳、バター、オリーブオイル、カボチャを入れて中火にかけます。ちなみにバター(動物性油脂)とオリーブオイル(植物性の油脂)を組み合わせて使うのはアラン・パッサールさんのスタイル。バターとクルミオイル、バターとヘーゼルナッツオイルなど食材にあわせて組み合わせを変えるのです。
面白いのは牛乳で煮るということ。カボチャを水で加熱して、熱い牛乳で伸ばしてもいいじゃないか、と思うかもしれませんが、牛乳で煮たほうがカボチャの色と風味がよく残ります。(カボチャの色素はカロチノイドに由来し、油脂に溶ける性質があるので)
沸いてきたら弱火に落とし、混ぜながら5分間煮ます。
そのあいだにローズマリー風味の牛乳をつくります。小鍋に牛乳200ccと荒く刻んだローズマリーを火にかけて、温まったら火を止めます。沸騰させてしまったら、このあと泡立たないので注意。蓋をして香りを移しましょう。香り材料はローズマリーではなくバジル、あるいはベーコンや生ハムなどのバージョンもあります。
カボチャがやわらかくなりました。
ミキサーにかけます。鍋に戻して、必要であれば牛乳で濃度を調整し、塩で味を整えます。
さきほどの小鍋からローズマリーをとりだし、カプチーノのように泡立てます。牛乳の泡立てについては別途、解説します。
器にスープを盛り、泡を載せれば完成です。香り成分が油脂分に溶けることを利用した料理ですね。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!