基本のコールスローの作り方
マヨネーズで味付けしたコールスローの歴史は18世紀、アメリカのニューアムステルダム(今のニューヨーク)までさかのぼることができます。オランダからの移民たちがそこでマヨネーズで和える方式を発明した......とか。今日はそんなアメリカ料理の名作、コールスローサラダの作り方です。
さて、キャベツ。写真のような結球のゆるい春キャベツと寒キャベツの2種類が出回っています。今回のコールスローには春キャベツを使うと格別やわらかで美味しいものができます。ちなみに冬のキャベツは持って重たいものが(しっかりと結球したキャベツは重い)、春のキャベツは持って軽いもの(ふんわりと巻かれたキャベツはやわらかいので)がおいしいです。
【コールスローのポイント 水分をあらかじめ除去する】
キャベツを千切りにしてマヨネーズを和えただけだと、時間が経つにつれ水っぽく残 念な結果に終わります。コールスローのポイントはキャベツの水分をあらかじめ除去 すること。この工程によって硬いキャベツがある程度やわらかくなり、生食しやすくなります。以下のような試作をしました。
1. 1%の塩を振る
2. 2%の塩を振る
3. 4%の塩を振る
4. 1%の塩水につける
5. 3%の塩水につける
時間についての結果は以下の通りです。100gのキャベツに2%の塩を振り、時間が経 過したらざるでプレスして水分をとります。その結果、5分で14%の水分が除去で き、15分では17%、30分でも17%の水分という結果でした。つまり30分以上時間を おいても意味は薄いということです。従って15分間が適正という(一応の)結論を出 しました。
塩で和えますが、この時もやさしく混ぜましょう。揉んでしまうとキャベツの塩もみ になってしまってサラダではなくなります。
さて、15分経過したキャベツを試食していきます。4%は塩気が強すぎ、2%は若干強めの塩味かなという感じですが、美味しい範囲。ただ、キャベツからシャキシャキし た食感が失われていたのが少し気になりました。1%ですとシャキシャキした食感が残りつつ、水分も適度に抜けています。
左が1%の塩、右が2%の塩です。シャキシャキ感の違いがわかるか、と思います。
1%の塩水漬けはシャキシャキとした食感は残っていましたが、もっとも水分が除去で きていませんでした。これでは意味がありません。そして、3%の塩水漬けは水分は除 去できましたが、最も食感が失われており、これでは漬物です。塩水漬けの方法は除外します。さて、表面に浮いたキャベツの水分をとる方法にも色々あります。レシピ本にはキャ ベツをぎゅっと絞るという方法がよく紹介されています。
しかし、絞ることで細胞が破壊され、キャベツの食感が失われてしまいます。これも また漬物になってしまうので、この方法は除外。そこで……
こんな風に二枚のキッチンペーパーで挟んで水分を除去する方法をとりました。この 方法ですとキャベツが傷まず、食感を保つことができます。
以上の予備実験から
キャベツは1%の塩で軽く和え、15分間置いてから、2枚のキッチンペー パーで挟んで水分を除去する
という下処理が最適という結論を導き出しました。
長い前置きでしたが、ここからようやくレシピのご紹介です。
クリーミーコールスロー
キャベツ 200g(4分の1玉が目安)
塩 2g(キャベツの重量に対して1%の塩)
(オプション 砂糖2g)
新玉ねぎ 100g
塩 1g(玉ねぎの重量に対して1%の塩)
ニンジン 70g
【コールスロードレッシング】 (多めの分量ができあがりますが、そのうちの約半量50g使います) マヨネーズ 90g
米酢 25g
砂糖 5g
黒胡椒 少々
春キャベツは繊維残すように縦に切っていきます。5mm厚めの千切り。逆に寒キャベツですと繊維を切るようにするとやわらかく食べることができま す。
包丁で切るとこんな感じ。
ここで二通りの方法が出てきます。1%の塩のみを振る方法と、1%の塩と1%の砂糖 を振る方法です。砂糖を入れると甘くなるわけではなく塩味が弱くなります。(砂糖 のほうが先に浸透するため、塩味がなかに浸透するのを防ぐので)砂糖を加えることで塩味を調整できるので、今回は砂糖も一緒に振りました。
新玉ねぎにも1%の塩を振っておきます。
ニンジンは千切りに。ニンジンには塩を振る必要はありません。
そのあいだにコールスロードレッシングを作っておきます。マヨネーズを米酢でのば し、砂糖で甘味をつけます。ビネガーではなく酸味のマイルドな米酢を使うのもおいしさのポイント。
レシピには書いてませんが、隠し味にホースラディッシュを入れると とてもおいしくなります。
ホースラディッシュが2g入りました。入れなくてもOKです。
15分置いたキャベツは表面に浮いた水気を優しく拭き取って、、、
ボウルで50gのコールスロードレッシングと和えます。一つ 一つの工程を丁寧に行えば美味しいコールスローができます。
出来立てが美味しいのですが、3時間くらいまでなら美味しさが保たれます。
ちなみに一晩経ってもこの状態。
一晩置くとこれくらいの水気は出ますが味は許容範囲。しかし、保存は二日までですね。これを長持ちさせようとすると離水防止剤(寒天を加工した常温で溶けるゲル化剤が一般的です)を使うしかないでしょうが、美味しいものはできるだけ早く食べるのが一番ですね。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!