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鶏胸肉のオレンジソース

先日、つくった謎の付け合せウーフィレのために、鴨肉の代わりに鶏肉を使ったオレンジソースの料理もつくりました。僕のオレンジソースはオレンジュースを煮詰めて、バターでとろみをつけて、醤油を加えたものが定番なのですが、今回は真面目にガストリックを使ったクラシックな仕立てです。

鶏胸肉 1枚
塩   適量
オレンジソース
オレンジ 3個(つけ合わせ含む)
グラニュー糖 大さじ2
赤ワインビネガー 大さじ2
ブランデー 大さじ1
ブイヨン 300cc
バター 20g
水溶きコーンスターチ お好みの量

まずはソース作りから。

まずはオレンジの皮、二分の一個分をピーラーで剥いておきます。ピーラーを左右に動かすようにすると手を切ったりしません。白い部分は入れないようにして、繊切りに。

大さじ1のブランデーに浸しておきます。アルコールはオレンジの皮に含まれる香り成分を溶かしてくれます。(香り成分は脂溶性なので水には溶けないがアルコールには溶ける)昔の知恵はたいしたものです。

付け合わせ用にオレンジ二個分を切り出しておきましょう。実をとった残りとオレン ジ一個分を搾ってジュースをとります。

100ccのオレンジジュースがとれました。

鍋に砂糖とビネガーを入れて火にかけます。ガストリックという調味料をつくるためです。

ところでガストリックには二種類の作り方があります。

1. 砂糖を火にかけて、うっすらと焦げ色がついたところにビネガーを入れ、煮詰め る。

2. 砂糖とビネガーを鍋にかけ、焦げ色がつくまで煮詰める。それから液体を加え る。

どちらの作り方がいいのでしょうか? 

調理科学的に考えると正解は2です。

ガストリックはカラメルとは違い酢を加えていることが特徴。ショ糖はそのまま加熱してもカラメル化するだけで、メイラード反応は起きないと言われていますが、酢のような低い酸度の液体を加えるか、重曹のようなアルカリ性のものを加え ると砂糖の成分であるショ糖が、果糖とブドウ糖に分解されます。果糖やブドウ糖は ショ糖と違いメイラード反応を起こすので、結果として香りが豊かになるのです。つ まり砂糖とビネガーをあらかじめ混ぜ合わせて加熱した方が、メイラード反応をより短い時間で進めることができ、効率的であることがわかります。

キャラメル状になりました。これ以上、焦がしたくないのでオレンジジュー スを加えて温度の上昇を止めます。ここで水を加えガストリックの状態で保存することもできます。そうしておけばここまで仕込んでおけますし、汎用的に使えます。

2分間煮詰めます。

今度はブイヨンを加えます。

強火にがんがんかけているとアクが集まってきますので、

ざっくりとっておきましょう。さらに2分間煮詰めます。この作業は最終的な透明度に関係します。もっと煮詰めた方がコクがある仕上がりになるのでお好みで。

さきほどのオレンジの皮と漬け込んだブランデーを加えて、さらに二分間。できあがり1カップが目安。

水溶きコーンスターチか片栗粉、または葛粉でとろみをつけます。少しずつ入れてください。片栗粉か葛粉を使ったほうが仕上がりがきれいなのですが、フランス料理ではコーンスターチを使うことが多いですね。

最後にバターを落としてコクを出します。バターは冷たいものを加えて、泡立て器で 混ぜるのが安全です。

できあがり。レードルですくってとろみ加減を確かめます。

鶏胸肉は普通に焼いていきます。30分ほど常温に戻した肉を準備し、塩を振ります。塩は重量の0.8%~1%が目安です。

フライパンに植物性のオイル大さじ1を敷き中火にかけ、皮目を下にした鶏肉を入れます。

5分ほど焼き、ばちばちとはねてきたら弱火に落とし、油を拭き取ります。鶏肉は厚 みがあるため火はなかなか入りません。焦らず弱火でじっくりと焼きましょう。

いい感じに色がついたので裏返しました。

ところで鶏胸肉は身の厚みに差があります。パレットナイフがあれば持ち上げてお くと薄い部分に火が入りすぎるのを防げます。

ときどき裏返したり、

立てたりして、分厚い部分に火が入るようにします。火加減は終始弱火です。

15分、経ちました。一番厚い部分を押して弾力があることを確認。ここで火から下 ろします。

皿にうつして温かいところでアルミホイルをかけて休ませましょう。このとき焼き汁 が出てくるので、それをソースに加えます。焼き汁には塩気が含まれているため、その後に塩、胡椒で味を整えるのが小さなコツ。

鶏肉をスライスして、茹でたインゲンにオイルと塩を絡ませたもの、茹でたジャガイ モ、オレンジとウーフィレをつけ合わせにして、ソースをかけました。ウーフィレは 盛りつける前にソースに絡ませてあります。ここまで食べてもよくわからない味の付け合せです。

鶏肉を薄切り(エギュイット)に切ってソースをたっぷりかけるとなかなか古めかし い味わいに。ちなみにこの写真の皿にはウーフィレは盛っていません。こちらの盛りつけのほうが収まりはいいですね。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!