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シジミの味噌汁の作り方

このレシピはcakes連載のお蔵だしです。(連載もいつまで続けさせてくれるのかわかりませんが、良かったら読んでください)

1個の記事を書くためにレシピを書いて、写真もとっていますが、掲載しきれないものが出てきます。これもその一つ。シジミのみそ汁です。

シジミの味噌汁
しじみ 250g
水   500cc
赤だし味噌 20g〜30g

まずはシジミの砂抜きから。シジミは汽水域に生息する貝なので、塩水でも真水でもどちらでも砂抜きができそうですが、真水だと旨味が抜けてしまうので、1%ほどの塩水で砂抜きするのが普通です。貝の上が少し出るように水を注ぎ、平らに並べます。できたらザルなどを下にかましておくと、一度吐いた砂を吸い込まないのでいい、とされています。アルミホイルか新聞紙で蓋をして(ラップだと窒息するので)、暗くて冷たい場所(つまり冷蔵庫)に2時間くらい入れておくと砂を吐きます。

『蓄養水の塩分がヤマトシジミCorbicula japonicaの呈味性に及ぼす影響』という論文によると、シジミは塩分濃度1%くらいの場所で育てると旨味が最も増えるようです。貝類は浸透圧を調整して環境適応を行うので、育つ環境の塩分濃度によって味に差が出ます。例えばホタテ貝などは海水よりも濃い塩分の環境で養殖することで、歯ごたえと旨味を増やす技術などが確立しています。

1%という塩分濃度はちょうど宍道湖でおいしいシジミが育つという場所の塩分濃度と一緒。昔からおいしいシジミが採れるという場所にはどうやらこんな理由もありそうです。

だいぶ吐きましたね。これをよく洗います。

貝類は拝み洗いといって両手でこすりあわせて洗うのが普通です。生のまま冷凍すると旨味がアップ、とよく雑誌に載っていますが、旨味が増えるわけではなく細胞が壊れて抽出しやすい状態になる、という言い方のほうが的確か、と思います。雑味も増えるので僕はあんまりオススメしません。

鍋に分量の水としじみを入れて強火にかけます。

沸騰してきました。アクをとりたくなりますが、とらないほうが味は濃くなります。アクを残したまましばらく弱火で煮ていると、煮汁が透明になります。

泡が消えればいい状態。もしも、冷凍したいならこの状態でジップロックなんかに入れて冷凍庫にいれておくと便利です。

味噌を溶き入れれば完成です。しじみ汁には赤だしがよくあいますね。ちなみに料理屋さん風につくるなら、もっと貝の量を増やし、貝の口が開いたらすぐに漉して、味噌を溶き入れます。シジミに火が入りすぎるのを防ぐことができるからです。

吸い口に粉山椒を振ります。シジミの出汁は強い味なので、もしもシジミが安売りされていたらまとめて買って、出汁とり冷凍しておくといいと思います。料理屋さんなんかでもしじみ出汁はペットボトルに入れておいて、お酒を飲んでいる人の最後の食事の赤だしにちょっと混ぜたりします。味噌汁に仕立てずに、シジミのお出汁を熱くして、お猪口かなにかでちょっとだけ出すのも洒落てます。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!