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フライパンで魚を焼く 第2回 ~ソース編~

焼いた魚にかけるソースをつくります。強火で焼いた魚は皮の下の部分がどうしてもパサつくので、それを補うためです。今日はフランス料理の基本、ブールブランソースにしましょう。今回も基本の話ではありますが、家庭ではあまり作らないであろうと思われる料理です。液体の乳化、そのメカニズムを復習します。

ブールブランソース
 エシャロット 小さめ1個/ 45g(今回は玉ねぎを使用)
  白ワインビネガー(今回はシャンパンビネガーを使用)  50cc
  白ワイン  100cc
 バター 100g
 塩、胡椒

ブールブランソースは白いバターソースという意味。魚にあわせるのが定番です が、野菜にもあいます。フランス料理のソースといえばルー(小麦粉とバターを 炒めあわせたもの)でとろみをつけたものが一般的だった時代を経て、70年代に新しい時代のソースとして脚光を集めました。かつての日本では良質なバターが入手しずらかったことから『幻のソース』と呼ばれていたこともあったそうです。たしかにバターがたくさ ん入るソースなので、エシレなどのいい発酵バターをつかうと美味しく仕上がります。

ワインと白ワインビネガーを両方使っています。その理由は酸味を抑えるため。意外かもしれませんが、煮詰める系のソースには100%白ワインを使うよりも、一部をビネガーに置きかえた方が逆に酸味が抑えられます。ワインの酸味の成分である酒石酸やリンゴ酸は熱に強いですが、ビネガーの酸味の成分である酢酸は熱に弱いからです。

小鍋に玉ねぎ、白ワインビネガー、白ワインを入れて、火にかけます。

沸いてきたら弱火に落として煮詰めていきます。

水分がなくなる手前、これぐらいまで煮詰めたら……

弱火のままバターを少しずつ加えて溶かしていきます。バターを入れる前に生クリームをすこし入れる人もいます。あらかじめ乳化された液体を加えることで後から入れるうバターがつながりやすくなるからです。

溶けたら次をくわえるという具合にどんどんバターを溶かしていきます。ブールブランソースは水の中に油が分散している 水中油滴型(O/W型)の状態。水と油が乳化剤(バターのタンパク質)を挟んで繋がっていくイメージです。

乳化の原理はマヨネーズを作ったときと同じ。マヨネーズをつくる時に少しずつ油を加えるのと同じようにバターを溶かし込んでいきます。ところでこの工程は火を止めておこなうようすすめている料理書が多いですが、その理由はなんでしょうか? 強火で加熱し続けると水分が蒸発し、ソースが分離する原因になるからです。マヨネーズづくりを思い出してください。マヨネーズは水分さえ足し続ければ1個の卵黄で10カップ以上の油を乳化させるこ とができるのです。ブールブランソースも同じことで、大事なのは水分です。もしも分離しそうだったら水を加えてみてください。

かなり溶けてきました。裏技としてはバターも含めたすべての材料を鍋に入れて、強火でガンガンに煮詰めながら乳化させていくという荒技もあります。ある時、あるお店のシェフがこのやり方で作っているのを拝見。驚きましたが、たしかに効率的です。液体が対流する力で攪拌し、乳化させるというプロ向けの技です。

すべてのバターが溶けました。

しっかりと漉しましょう。ちなみにこの玉ねぎ、酸味が効いていて結構おいしいので漉さなくてもOK。

これくらいのとろみが理想的だと思いますが、もう少し緩いほうがいいという人もいます。このあたりは好みです。

焼き上げたサワラにかけて、周りに塩茹でした野菜を添えました。簡単なランチメニューという感じ。バターソースは大量のバターを使うので身体に悪そうな感じがしますが、一皿にかけるのはスプーンで数杯という感じなので、一回の食事で量を摂取しすぎということはないはず。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!