さわらの西京焼き
さわらの西京焼きは冷蔵庫で保存できるのでつくっておくと便利です。秘密の材料は「甘酒」。西京焼きは西京味噌という麹の割合の多い味噌をつかうのが本式なのですが、実際には西京味噌として売られていてもそれほどの品質ではない味噌も。そこで麹と米の混合物である甘酒を混ぜることで味を安定させることができます。
さわらの西京焼き
さわら
塩 重量の1%
西京味噌 100g(普通の米みそでも大丈夫)
甘酒 50g(濃縮タイプ)
さららですが、あらかじめ半分に切っておいたほうが早く浸かります。
重量の1%目安の塩を振って冷蔵庫へ。
そのあいだに味噌床をつくります。西京漬けにつかう西京味噌は濾していない粒味噌をつかうのが普通ですが、なかなか売ってないので濾したタイプを使っています。味噌は他の料理に使うことは難しいのでできるだけ少量を使うのがコスト削減のポイント。
秘密の材料の甘酒です。味噌に甘酒を混ぜることは昔からおこなわれている技法で、有名な料亭なだ万のマナガツオの西京漬けにも使われている、という話も聞いたことがあります。(真偽のほどは不明ですが)ちなみになだ万のマナガツオの西京漬けは夏目漱石の小説「行人」にも登場します。
岡田はこんな事を云って、傍そばにいる母と遠くにいる父に感謝の意を表した。彼は酔うと同じ言葉を何遍も繰返す癖のある男だったが、ことにこの感謝の意は少しずつ違った形式で、幾度いくたびか彼の口から洩もれた。しまいに彼は灘万なだまんのまな鰹がつおとか何とかいうものを、是非父に喰わせたいと云い募つのった。
この時代から灘万の西京漬けは高価なものだったと想像できます。漱石の小説なので「読んだことある」という人も多いか、と思いますが、西京漬けが登場していることを憶えている人はほとんどいないでしょうが。
なかなか艶っぽい小説です。
さて、話を西京漬けに戻します。甘酒を使えば普通の信州白味噌であろうが、安価な西京風白味噌であろうが、それなりの味に仕上げることが可能です。
さわらの身の表面の水気をキッチンペーパーでふき取っておきます。
袋に詰めて表面にからめるようにすると味噌の使用量を減らせます。この味噌、一回くらいまでなら再利用できますが、さすがに二回目以降はおすすめしません。
漬け込み時間は一晩以上が目安。二日目が一番、おいしい……気がします。
冷蔵庫で寝かせておいた西京漬けはキッチンペーパーで味噌を軽く拭ってから、魚焼きグリルで焼きます。焦げやすいので少しだけ注意してください。キッチンペーパーで表面を拭っておけば心配はそれほどありませんが。
焼けました。ちなみにお店では煮詰めたミリンを表面に刷毛で塗って、照りを出したりします。(家庭ではそこまでする必要はないですけど)
西京漬けははじめにしっかりと塩で下味をつけてから、甘い味噌に漬けこむと味の輪郭がはっきりしますね。付け合せには柴漬けがよくあうので、刻んだ柴漬けをのせると結構、イケますよ。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!