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BBQにはラブ~スパイスミックスのレシピ~

食事のあり方が娯楽やコミュニケーションツールへと 変わってきている証拠なのかもしれませんが、BBQが相変わらずの人気です。

ところでBBQの本場アメリカではそれぞれ自慢のスパイスミックスを用意するのがポピュラー。このスパイスミックスのことをラブと言います。(スペルはもちろんloveではなく、Rubです)

ドライラブ
 塩 15g
 黒胡椒 8g
 マスタードシード 8g
 パプリカ 8g
 砂糖 8g
 クミン 4g
 ナツメグ 2g

スパイスを色々、使います。

スパイスは袋をあけると風味がど んどん劣化していくため、使用頻度の低い家庭では扱いにくい食材の一つです。スパイスの敵は光と熱、それに湿気です。蓋をきちんとしめて、冷蔵庫に保管するのがおすすめです。

ラブは『塩+砂糖+香辛料』で構成されています。重量の割合は塩1:砂糖0.5:スパ イス2~2:5で、スパイスの部分は自由にアレンジすることができます。

スパイスには色と風味を出すタイプと辛味など、それぞれ役割があります。ラブに欲しいのは色出しのパプリカ(スモークパプリカがあれば言うことありません)と辛味(黒胡椒やマスタードシード、カイエンヌペッパー、チリパウ ダー)です。上記の分量を参考に色々を試して、オリジナルの味をつくってみましょう。

例えば簡単にするなら

塩 15g
パプリカ 15g~20g
カレー粉 5g
砂糖 8g
(チリパウダーかカイエンヌペッパー 5g

なんていうラブも作れます。カレー粉なら家にあるでしょうから、パプリカを買うだけで大丈夫。そこにチリパウダーかカイエンヌペッパーを少し加えると、ケイジャン風のスパイスになります。

ちなみに今回はホールスパイスも使っています。というのもスパイスの風味は粉末に するとどんどん揮発していきます。ホールのほうが保存性が高いからです。こんな風 にすり鉢で潰すか、スパイスミル、コーヒーミルなどで潰します。

出来上がり。砂糖は今回、グラニュー糖を使っていますが、黒砂糖を使うとコクのあ る風味が味わえます。あとは鶏肉など薄い肉であればたっぷりとまぶして焼くだけで す。

せっかくのバーベキューなら塊肉も焼きたいところ。今日は豚肩ロースを買ってきました。ところが塊肉は炭火で焼くと中心が生、という失敗も多い食材。特にBBQは温度調整が難しいんですよね。そこで今日は事前に加熱してしまいます。

肉の重量の0.5%の塩分をすりこみます。肉にはきちんと下味をつけたいのですが、表面のラブにも塩分があるため、これくらいの重量の塩がベストです。

ここで2通りのアプローチがあります。一つは120度のオーブンで2時間焼き、その まま火を止めて5時間放置するパターン。低温長時間加熱によって熟成とコラーゲンの分解が進み、肉が柔らかくなります。その場合は均等に火が入るよう、肉は必ずラックなどに置いて、少し浮かせるようにしましょう。125℃以下のオーブンで加熱すると気化熱によって肉が冷やされるので、結果として70℃〜80℃で低温加熱していることになるのです。(参考『マギーキッチンサイエンス』p.154)

Anovaのような湯煎器があればより安定した仕上がりが期待できます。真空包装袋に 入れるか、ジップロックに入れて、60度で12時間加熱します。(フォークで崩れるほ ど柔らかい仕上がりが欲しければ70度で8時間加熱します)
加熱が終わったら氷水で冷却してから、バーベキューの現場に持ち込みます。肉にはすでに火が入っていま すので生焼けという心配がなくなります。

スパイスをまぶす前には表面に浮いた水分を紙ペーパーなどで拭き取ってか ら、、、、

ラブを表面にたっぷりまぶします。あとは炭火で香ばしく焼くだけです。家なら最高温度 250度に余熱したオーブンで10分間焼きましょう。

焼き上がり。

包丁でカットしてみますね。

断面から、香ばしい表面のスパイスと内側のジューシー感が伝わるか、と。鶏肉や牛肉なども同じように加熱してから、バーベキュー場に持っていくと、加熱時間も 短くなりますし、失敗も減ります。ただ、夏になったら温度と衛生管理には充分 に注意してください。

残ったラブは瓶詰めにします。

ところで家のオーブンだとバーベキューのような香ばしさが出ません。そこで使うの が燻製塩。富澤商店やカルディコーヒーファームなどの輸入食材店で購入することができますが、これを使うと家でもバーベキューっぽい風味の肉が手軽に味わえます。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!