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お刺身は一塩の手間でもっちり美味しく

お刺身は切った状態でも販売されていますが、家で食べる直前に切った方が美味しく食べることができます。(ただし、それなりに切れる包丁が必要です)

こんな状態で売られていますが、この切り身を『柵』と言います。パックのまま冷蔵庫に入れると、魚の表面(及びトレイの下に保鮮シート)に溜まったドリップに細菌が繁殖し、臭みが出ることがあります。そこで家に帰ったら一度、トレイから外すのがベター。

こういったシートで魚を包みなおしてから、さらにラップで包みます。ラップだけだと内側についた水分から細菌が繁殖し、味が落ちるのでNG。普通のキッチンペーパーでもいいのですが、出たドリップを魚が再び吸収してしまうことと魚にくっついてしまうことがあるのが難点で、専用のシートは再吸収されないように加工してあります。

昔ながらの方法は経木を使うこと

昔は『木の匂いがつく』ということでなぜか嫌われていましたが、この経木は臭みをとる効果が抜群。

経木で挟んでから

ラップでくるんで冷蔵庫にしまいます。

この時、経木に挟む前に塩を軽く両面に振って水分を抜いておくと、もっちりした食感に変わり、ひと味違ったお刺身が食べられます。タンパク質の組成が変わって、言ってみればかまぼこ状になるので、もっちり感が増すわけです。また、塩を振ることによってアミノ酸が表面に移動するので、旨味も強く感じやすくなります。(塩を振っても旨味の総量は増えず、移動するだけです)

塩を振ってからは1時間もあれば大丈夫。魚から水気が出ますが、それは経木が吸収してくれます。

お刺身を食べるときに大事なのはつまです。スーパーのパックに入っているつまはドリップを吸収するための台になっていることが多く、味も素っ気もないので自分でつくるしかありません。今日は大根の剣を用意しますが、桂剥きにするのが基本。大根の桂剥きについてはいつか説明します。こんな風に短く切った大根を使えばそんなに難しくないのですが、慣れるまではやっぱり練習が必要なので。

桂剥きにした大根を丸めて切れば出来上がり。

別に普通の千切りでもいいのです。あまり水に晒しすぎないほうがおいしいでしょう。他にクレソンをたっぷりと添えても現代的でいいか、と思います。クレソンをワサビ醤油で食べるのも乙なものです。

さて、お刺身の切り方ですが。まず包丁は人差し指を峰にかけた持ち方をします。こうすることでヘッドのコントロールが効くからです。手首は完全に固定。肘の動きだけで切るようにします。根本の部分を魚に当てて……

スーと引いて切ります。お刺身は引き切りが基本です。

切れたら右に持っていく作業を繰り返します。

ちなみに奇数盛るのが基本です。マグロと鯛という風に合盛りする場合はどちらが主役かを決め、主役は奇数にして、脇役を偶数にして盛ります。

七切盛り、右手前にわさびと紅たでを添えました。鯛のお刺身はわさびと塩で食べるのがおいしい。でも、それだけだと飽きてくるので、気分を変えるために醤油をちろっとつけて食べます。切った状態で販売されている刺身は当日中が賞味期限ですが、柵で買い、塩を振っておけば「買った日が忙しくて食べられなかった」という場合でも翌日まではお刺身でおいしく食べられます。もっと長く保存するなら酢で仕事をするか、火を通すという形になります。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!