合成した一口海鮮丼
ある人から海鮮丼を合成できないか、というリクエストがあったので、つくってみました。
海鮮丼はいろいろな種類のお刺身がご飯の上に載った料理ですが、言われてみればたしかにマグロとご飯、鯛とご飯という具合にそれぞれ一種類ずつしか味わえません。これならマグロの刺身をのせた鉄火丼とサーモンの刺身が載ったサーモン丼を注文しても同じこと。今回は一口で海鮮丼まるごとを味わう料理をつくります。
具材を用意しまあひた。今回はサーモン、鯛、ハマチ、エビ、イカです。結果的には、の話なのですが、イカはややくっつきにくいようなので使わないことをおすすめしますし、鯛やハマチよりもマグロのような身のやわらかい魚がご飯とあうようです。腸炎ビブリオ対策として真水で洗い、キッチンペーパーで拭き取っておきます。
すべての具材を同じ太さに切り、茶こしでトランスグルタミナーゼをふりかけます。トランスグルタミナーゼはタンパク質同士を結着させる酵素です。なるべく均一に振るのがポイント。吸い込むと有害なので、可能であればマスクをすること。目も粘膜なので、ゴーグルもつけたほうがいいでしょう。あとは手袋はマストです。
ラップで合成していきます。
ぐるぐる巻きにした後、ハリで穴を開けてから、真空包装機にかけて空気を抜きます。これで魚の身同士がくっつきます。真空包装機がない場合はなるべく空気が入らないようにラップでぐるぐる巻にすれば大丈夫だと思います。冷蔵庫で2〜6時間置きます。
その状態がこちら。ぴっちりくっついています。
言ってみればサーモン、鯛、ハマチ、エビ、イカのキメラ肉です。
ばっちりくっついてバラバラになりません。酵素の反応が終わっていれば食べても害はありませんが、加熱していないので、加工品として売る場合には食品成分表示義務などが出てくるみたいです。実験なので別にいいでしょう。
海鮮丼のご飯の上にはよく海苔が載っているので、海苔で巻きます。ぬま田海苔の早津江壱○1を使いました。早津江川の河口でとれる海苔らしく、コクが非常にある印象です。おそらく鯵のなめろうなどにもあうと思います。
くるりと巻きました。
スプーンに酢飯(またはご飯)をのせて、、、
のせます。表面に塩をのせたら完成です。海鮮丼は醤油をかけることが多いか、と思いますが、一口サイズなら塩がおいしいようです。あと、わさびは好みで。
味の感想ですが、イカの味は意外と強いので、かなり引っ張られました。食感的にも口に残るので、入れないほうがいいかも。入れたほうがいいのは甘海老です。甘海老を中央付近に入れたのですが、他の魚の味を引き立ててくれます。エビにはグリシン(はっきりした甘みを呈するアミノ酸)など他の魚にはない旨味が含まれているからですね。キメラ肉は魚介+エビで、例えば中心にエビを入れて、フライにするなどすると可能性が広がる予感がします。
撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!