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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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#野菜料理

そら豆と生ハムのオリーブオイル炒め

年中、いろんな野菜が揃っている時代ですが、生のそら豆は春先だけの美味。まだぎりぎり出回っているので、今日はスペイン料理の技法を使ったそら豆と生ハムの炒めものをつくります。定番的な料理です。 スペインは世界一のオリーブオイルの生産量を誇る国。輸出量はイタリアが世界一に年もありますが、これはイタリアがスペインからオリーブオイルを輸入し、出荷しているため。余談ですが、イタリア人は小麦粉を輸入し、パスタに加工して出荷するなど、昔から付加価値をつけるビジネスが得意なんですね。 さて

氷でおいしくなる〈かいわれ大根の煮浸し〉

煮浸しは〈煮て〉から地(味のついた出汁)に〈浸す〉複合調理で、ナスや小松菜などをやわらかく食べるときに用います。今回、紹介する〈かいわれ大根の煮浸し〉はそれとは違い、サラダ感覚で楽しむ料理です。秘密は氷水で出汁を急冷すること。加熱を止めることで、シャキシャキとした食感を残します。 かいわれ大根の煮浸し かいわれ大根 1パック 出汁     200cc 醤油     大さじ1/2〜 この料理、かいわれ大根以外にもセリや大根などいろんな食材でつくれるのですが、ぼくはかいわれ大

新玉ねぎのバター煮

新玉ねぎの季節なので、今日はバター煮にします。 通常のバター煮はバターと水で蒸し焼き状態にしますが、文明の利器の電子レンジを投入することでバターの使用量や焦げるリスクを下げることができます。 バター煮にする場合は表面の皮を一枚剥くと贅沢。一番外側の部分は先端に薄い部分があり、それが口に残る場合があります。 十字に切り込みを入れました。 玉ねぎ1個に対してバター10g〜15gをさきほどつくった十字の隙間に押し込みます。バターは有塩がベターですが、無塩でももちろんOK。発

ベストロールキャベツの作り方〜パンかご飯か問題〜

洋食の定番、ロールキャベツ。起源はロシア料理のガルブツィという料理とされていますが、キャベツで肉ダネを巻き、煮込んだ料理は世界中で作られています。例えばフランスではシューファルシという料理があります(シューはキャベツ、ファルシは包んだという意味です)でも、日本の洋食であるロールキャベツはそのなかでも特別に美味しい。今日はベストロールキャベツの作り方を探ります。 まずは具材の検討 ロールキャベツの肉だねは挽き肉+玉ねぎが基本で、ハンバーグに似ていますが、ロールキャベツの場合は

玉ねぎのみじん切り考

今日は玉ねぎのみじん切りについて考えます。玉ねぎのみじん切りは切り方の基本の一つで調理師学校でも課題としてよく出されているか、と。(代々木にある某調理師学校でも課題で、試験中一人は指を切る学生がいたものです)慣れればなんてこない作業ですが、そうでないと面倒かもしれません。 世界の料理を見渡してみると玉ねぎのみじん切りが要求される場面はさほど多くなく、リゾットなどメインとなる食材(この場合は米)が玉ねぎよりも大きくなると困る、という場合に限られます。あとはコロッケ(この場合は

にんにくのみじん切り(普段遣いと丁寧)

あらゆる料理をおいしくしてくれるニンニク。硫黄化合物が豊富なので、特に肉料理の風味を引き立ててくれます。似た食材に玉ねぎがありますが、鱗片(りんぺん)が何層にも重なっている玉ねぎの鱗茎(りんけい)とは異なり、一本の若芽を貯蔵葉が取り囲む形をしています。 玉ねぎは90%以上が水分ですが、ニンニクはそれよりもぐっと少ない60%未満。さらに果糖や単糖の鎖がたくさん含まれているので、料理としているとちょっと焦げやすいので、注意が必要です。ちなみに国産のニンニクと言えば青森が有名です

ナスのロースト、赤ワインソース

なすには細長い形と丸い形がありますが、ローストに向いているのは丸なすの方。身がしっかりしていて、食べごたえがあります。田楽にするのが一番、おいしいのですが、今日は洋風の料理に。 丸なす(水分の多いもの) 1個 小麦粉(できれば強力粉が楽) 適量 赤ワイン 200cc ブルーベリージャム 30g 醤油   小さじ1 塩    適量 まずはソース作りから。煮詰めた赤ワインをソースにしますが、ワインだけだと酸っぱくなってしまうので、なにかで味のバランスをとります。今回はブルーベ

基本のソフリットの作り方

ソフリットは玉ねぎ、にんじん、セロリが基本の香味ベースで、フランス料理だとミルポワ、スペイン料理ならソフレジという具合に世界中で共通言語として使われている基本パーツです。イタリア料理の本を読んでいると「ソフリット 大さじ2(作り方 p204)」みたいな感じでよく登場します。ちなみにルイジアナ料理の場合はニンジンの代わりにピーマンが入ります。 ソフリットは野菜の糖分、酸、塩分、旨味アミノ酸、芳香成分などを料理に加えることで味に厚みを与える存在です。イタリア料理のシェフのなかに

トマトのカルパッチョ、いちじく添え

スマート新書『料理のキホン』では煮る、茹でる、焼く、蒸す、揚げると調理法を区切って説明しました。 もうひとつ大事な調理法は『切る』ということ。きゅうりは畑に植わっている段階では作物ですが、ハサミで枝付きの部分をチョキンと落とした段階から料理はスタートします。日本料理の世界でも五味、五色、五法という考え方があり、五法とは「 生・煮る・焼く・揚げる・蒸す」のこと。この生は「切る」と言い換えることができます。 上手に切るためにはよく切れる包丁が必要です。包丁の研ぎ方については簡

小豆シリーズ『かぼちゃのいとこ煮』の作り方

かぼちゃのいとこ煮の作り方のリクエストがあったので、ご紹介します。今回のいとこ煮は奈良の郷土料理です。これ、昔の料理なので時間がかかります。しかし、時間を短縮しようと缶詰の煮小豆でつくったりするとまったく別の味になるので、のんびりとリラクゼーションのつもりでつくりましょう。 いとこ煮は日本国語大辞典によると「小豆、または豆と野菜の寄せ煮料理。全国に広く行われ、正月、事八日、盆、祭礼、収穫祭などに食べる。新撰を集めて煮ることにはじまり、雑煮と同じ風習」とあります。料理屋さんで

よく冷えた白ワインとの相性抜群の『ズッキーニのポワレ、ミント風味』

夏野菜のズッキーニのシーズンもそろそろ終わり。しかし、本当においしいのは名残の今の時期だと思います。 このズッキーニ、成長が早いので収穫時期が難しい野菜ではありますが、あまり小さいものや味がのっていないのでトマトなどと組み合わせたりする必要があります。あまいにも大きいものはとろけるような食感になるので、長時間加熱すると性質が生きてきます。とはいえ、写真くらいの大きさがベスト。 まずはズッキーニをどう切るか、という部分で判断が問われます。 こちらの本の野菜の章で 茎や根

シンプルポテトサラダの作り方

先日、いただいたごうしゅいもの話の続き。 ごうしゅういもの特徴は『小さい』ということ。じゃがいもって大きいと使いづらい部分もあるのですが、小さいというだけで料理が簡単になるので好都合。(皿にも盛りやすいし)というわけで今回はポテトサラダにしますね。 シンプルポテトサラダ じゃがいも 300g にんにく  1片 オリーブオイル 大さじ3 米酢      大さじ1 マスタード   小さじ1 塩       小さじ1/4 胡椒    マヨネーズの入らない基本のポテトサラダです

トマトの冷たいスープ、ヨーグルト風味の作り方

トマトの色とほのかな酸味、ヨーグルトのクリーミーな酸味を味わうちょっとレトロなスープです。 今回、紹介するトマトの冷たいスープは僕が尊敬する辻静雄の著作からのアレンジ。こちらの本に掲載されているオリジナルは玉ねぎ以外ににんじん、セロリなども用いるなど材料が多いので(出来上がりの量も相当できます)、香味野菜の量もぐっと減らし、ざっくりとシンプルにしています。それでもこのスープを作ることで、なにかを学べるはずです。 トマトの冷たいスープ、ヨーグルト風味 材料 トマト    4

にんにく丸ごとスープの作り方

にんにく一個を丸ごと使ったスープです。ニンニクといえば強い匂いが特徴ですが、この調理法ではそれを抑えることができます。原理はこうです。 ニンニクをはじめとするネギ類の独特な風味は植物自身が持っている防御機構の働きによるもの。植物を切ったり、噛んだりして、細胞を傷つけると、細胞のなかの酵素が硫黄化合物をつくります。ニンニクの臭いが特に強いのはこの反応生成物が他のネギ類に比べて100倍もあるから。この反応生成物の量は細胞の損傷程度、反応に関係する酸素量、反応の長さなどによっても