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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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#デザート

アメリカンチェリーのカラメリゼ、バニラアイス添え

先日、スーパーで安くなっていたアメリカンチェリーを購入。 シーズンも終盤ですが、じつはこのアメリカンチェリー。加熱したほうが持ち味が出てくる果物だと思います。日本の果物は生で食べるのが一番、という傾向がありますが、基本的に輸入フルーツは手をかけておいしくなるものが多いですね。今日はアメリカンチェリーをカラメリゼしたデザートをつくります。 作り方はシンプル。二人前でチェリーは半パックほど使います。フライパンにバター10gを投入し、弱火にかけゆっくりと溶かします。このとき、バ

リムーザン風クラフティーの作り方

今日はデザートのクラフティーをつくります。ブラックチェリーを使ったリムーザン風と呼ばれるものです。クラフティーという言葉はリムーザン地方の古語であるオック語の"claufir"(詰める)に由来するという説が有力。火を通した果物にクレープ生地を流し込んで焼くだけの簡単なお菓子で、モチモチの食感が魅力。あまり料理の本には載っていないのでnoteで紹介します。 リムーザン風クラフティー ブラックチェリーの缶詰  全卵     3個 グラニュー糖 80g 塩      1つまみ 小

アンズのコンポートとグラニテの作り方

先日、ドライアプリコットを使ったキャロットラペをご紹介しましたが、残ったアンズを甘く煮て、冷凍庫で凍らせます。干し杏は煮るとおいしさがアップするんですよ。 ドライアプリコット 100g グラニュー糖    35g 水         300cc すべての材料を鍋に入れて、火にかけます。 沸騰してきたら可能な限り弱火に落として、10分間、静かに煮ます。 火を止めて1時間。これでアンズがやわらかくなります。 この状態で保存。この状態で、よくあんみつとかにのっているアンズ

ブラマンジェのポイントは11℃という温度

今日は『コーヒーのブランマンジェ』をつくります。コーヒー風味なのに仕上がりの色は白という意外性がポイントです。 ブランマンジェは『白い食べ物』という意味のデザート。歴史的には砂糖とアーモンドでつくるのが起源で、中世の頃は鶏肉や蛙肉などを使った液状のスープとしても楽しまれていました。イギリスの三ツ星シェフ、ヘストン・ブルメンタールはその頃のレシピをアレンジし、蛙を使ったブランマンジェを創作しています。 アントナム・カレームが活躍した19世紀になるとブランマンジェはほぼデザー

冷凍パイシートを使ってミルフイユづくり

今回は冷凍パイシートの使い方をマスターします。 一昔前まで冷凍パイシートといえばマーガリンやショートニングを使った風味に乏しいものが多かったですが、最近はバターを使った製品が主流になりました。さすがに手作りよりも風味は劣りますが、便利です。 色々と試食してみましたが、パイシートはメーカーによる味の差はそれほどないようです。写真の冷凍パイシートはニュージーランド、BELLAMYS社のもの。 ところで今回はミルフイユ(ミルフォイユ)をつくりますが、いきなりですが冷凍パイシー

キンモクセイのシロップ漬け「桂花醤」の作り方

秋になると庭先などで咲いているキンモクセイ。中国の有名なリキュール、桂花陳酒は白ワインにキンモクセイの香りをうつしたものですが、今日はシロップ漬けにします。桂花醤という名前で市販されていますが、自家製した方が色も香りもいいです。 まずはキンモクセイの花びらを採取します。枝などはなるべく入れないように丁寧 に。あとの工程が楽になります。 100gぐらいつくってもいいのですが、とりあえず10g採ってきました。 写真では枝などが入ってしまっていますが、口当たりが悪くなるので花び

バラのジャム(試作品)

撮影の仕事で使ったバラの花びら(食用花です)。余った物を持って帰ったのですが、そのまま食べるのにも限界が。冷凍することも考えたのですが、ジャムにしてみることにしました。 きれいですね。ちなみにここから購入しました。農薬不使用のエディブルフラワー。 花びらを計ったところちょうど50gありました。レモン汁大さじ1を振りかけて、手で揉みます。本来は冷凍→解凍して組織を壊すか、砂糖とレモン汁をかけて放置したほうがいいと思います。 一応、出てきたエキスはとりおきました。最終的に加

ぶどうの皮を早く剥く方法(あと桃も)

もう、ぶどうの季節ですね。ぶどうは紀元前3000年ほどから栽培されていた歴史のある果物。日本のぶどうは糖度が高く、生食に適しているのが特徴ですが、皮を剥くのが面倒という方も多いのでは? 今日のテーマは手早くぶどうの皮を剥くテクニック。 ぶどうの保存方法について。理想は小さな房に分けて、重ならないように冷蔵庫にしまうことですが、現実的には不可能なので、新聞紙かキッチンペーパーで包み、ラップをかけるか、ビニール袋に入れて保存します。ただし、収穫してから味が落ちていく果物ですの

自家製リコッタの作り方(生クリームなしバージョン)

昨日、紹介した自家製リコッタ(カッテージチーズ)は生クリームを使ったリッチなバージョン。今回はローコストで、つくります。いってみれば家庭向けバージョン。また、リッチバージョンに負けない味にする秘密の工程もご紹介します。 材料 牛乳      500cc ポッカレモン 大さじ2 スーパーシンプルです。色々といじった結果、最後にある工程を加えれば、これでいい、という結論に達しました。 作り方の要領は昨日、紹介したリッチバージョンと同じです。鍋に材料をすべて入れ、弱火にかけま

自家製リコッタの科学(リッチバージョン)

リコッタチーズはイタリアのフレッシュチーズの一種。チーズという名前ですが、作り方が違います。リコッタとは再び加熱された(パンナコッタの〈コッタ〉です)という意味で、ホエー(乳清)を煮詰めてつくります。レンネットではなく、熱と酸によって乳タンパク質を結合させるわけですね。 自家製する場合は乳清ではなく、牛乳を使います。この段階で本物とは違うのですが、味的には近い物ができます。家庭でリコッタチーズを自家製する場合の変数は二つ、〈酸〉と〈脂肪分〉です。 レモン汁か酢か、問題まず

アイスクリームメーカーいらずのアイスクリーム

アイスクリームを作るにはアイスクリームメーカーが必要です。アイスクリームメーカーには内蔵されたコンプレッサーで冷却するタイプと、あらかじめ冷やしていた冷凍容器で冷やす二つのタイプがあります。家庭用として普及しているのは後者。僕が子供の頃、家にはペンギンの絵が描かれた『どんびえ』というアイスクリームメーカーがあって、夏になると準備して色々とつくった記憶があります。 事前に冷やしておくタイプは冷凍庫で場所をとりますし、コンプレッサー式は高価で、場所もとります。一度か二度しか使わ

メレンゲの科学『淡雪卵の作り方』

今日はメレンゲが泡立つメカニズムを復習します。つくる料理は「淡雪卵」(ウフアラネージュ)です。フランスでは浮島という意味の「イル・フロッタント」という名前で、アメリカやイギリスなどに行くと英語のフローティングアイラン ドという名前で提供されています。 材料 四人前 卵白 3個分 グラニュー糖 45g アングレーズソース カラメルクリーム アングレーズソースとカラメルクリームの作り方はそれぞれ カスタードソースの科学『アングレーズソースの作り方』 カラメルの化学「カラメルク

ティラミスの作り方

ティラミスはイタリア料理の定番デザート。オリジナルを考えだしたのは トレヴィーゾの有名リストランテ、レ・ベッケリーエとされています。(異論もあるようなのですが、とりあえず一番有力とされる説です)ワシントン・ポストの記事には信頼性のある話として「子供が生まれた女性(とその子供)に元気をつけるために考案した」という風に書かれています。店で出されたの は1970年代のはじめのこと。歴史のない新しいデザートがあっという間に世界に広まったのですからすごいものです。 ところでレ・ベッケ

基本のマンゴープリンの作り方

マンゴープリンはプリンと名前がついていますがゼリー系のデザート。八十年代の香港生まれとされていますが、日本に入ってきたのはマンゴーの輸入が解禁された90年代のこと。 マンゴープリンのレシピには大きく分けると「卵(カスタードソース)入り」と「卵なし」「マンゴーがピューレ状」「マンゴーの果肉感あり」があります。今回、紹介するレシピは卵なしで、果肉感を残すパターンです。 マンゴープリン  冷凍マンゴー  200g(今回は写真の冷凍マンゴー2袋)  グラニュー糖  30g〜40g