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料理の基本

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基本的な料理を丁寧に解説します
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2017年11月の記事一覧

鶏もも肉でチキンステーキ(フライパン版)

これまで牛肉、豚肉と解説してきましたが、今日は鶏肉。いわゆるチキンソテーです。目指すのは「皮はカリっとしていて、なかはジューシーな仕上がり」です。 まずはスーパーで鶏もも肉を買ってきます。 一般的な若鶏(ブロイラー)です。選ぶポイントはやはり国産。理由としてはブラジル産やアメリカ産は冷凍の状態で入ってくる(豚肉や牛肉はチルドの状態で輸入されてくるので味が落ちないのですが、鮮度が落ちやすい鶏肉は冷凍が多い)ので、細胞が破裂し水っぽくなってしまっている鶏肉が多いのです。 買

きんぴら3種 その3 大根の塩キンピラ

きんぴら3種の最後は大根のキンピラです。 大根の塩キンピラ  大根 250g〜300g相当  柿の皮  適量 ごま油大さじ2分の1  塩  2つまみ  酒  大さじ1 大根のキンピラは普通、皮を使ってつくりますが、今回は食べ残しがあったので贅沢に使います。 繊維を断ちきるように細い棒状に切ります。味噌汁に使う時もこの切り方ですよね。 大根はレンコンよりもさらに水分の多い野菜なので、フライパンだけで加熱しようと思うと一苦労です。そこで一晩から二晩ほどザルで干して、

きんぴら3種 その2 レンコンのキンピラ

ゴボウのキンピラに続いて、今日はレンコンのキンピラ。 レンコン 二節(200〜250g前後) ごま油 大さじ2分の1 酒    大さじ1 醤油   大さじ1 米酢   小さじ1 柚子   適量 レンコンはゴボウよりも水分が多いので、早目に火が入ります。例によってできたてを食べるなら縦方向に太めに切ってつくったほうがおいしいのですが、一応作り置きの体で薄切りを炒めていきます。 皮は剥いても剥かなくてもどちらでもいいのですが、仕上がりはやはり剥いた方がきれいです。ちなみにレ

きんぴら3種 その1 ゴボウのキンピラ

これから3種類のキンピラをつくりながら、食材の水分量に応じた火の通し方を考えていきます。今日はごぼうのキンピラです。キンピラという調理法は油で水分を飛ばしたところに、調味料を入れていく手法です。 よく「日本料理の特徴は油を使わないこと」と言いますが、日本料理とはなんぞや、という話をすると、日本料理には茶懐石をベースとした懐石料理、本膳料理をベースとした会席料理、そして禅宗の僧侶の食事をベースとした精進料理があり、キンピラは精進料理の一つ。油を使わないのは茶懐石の世界で、精進料

スーパーで買ってきた豚肉をステーキに

今日はフライパンで豚肉を焼いてみます。ステーキにするならおいしいのはロース肉、それもロイン側よりもリブ側(肩ロースに近い部位)がおすすめ。一般的にはスーパーでトンカツ用として売られている部位です。 ちなみにロイン側かリブ側かは脂の入り方で見分けることができます。こんな風に脂が多く入っているのがリブ側(肩ロースに近い部位)です。 いつもは分量にうるさいのですが、今回は適量が多いです。まずは付け合せのガーリックチップスをつくります。 にんにくのチップスはスライスを揚げればで

究極のマッシュポテトのレシピ

シンプルなマッシュポテトは人気のあるメニュー。肉料理だけではなく、魚料理などにも使える万能のつけ合わせです。今日は『究極のマッシュポテト』の作り方。 究極のマッシュポテトとはどんなものでしょうか? 世界一のマッシュポテトといえばまず偉大なシェフ、ジョエル・ロブションの『じゃがいものピュレ』が挙げられます。彼は「自分が三ツ星を穫れたのはじゃがいものピュレとグリーンサラダのおかげ」と語っていますが、ロブションはじゃがいもというありふれた食材を究極の美味に変えました。 究極のマ

アメリカ産牛肉のステーキ

ステーキの焼き方には人それぞれ。一般的に知られているステーキの焼き方は『フライパンを中火に熱し、ステーキ肉を入れる。焦げ目がついたら裏返し、火を弱火に落として好みの加減まで火を通す。肉を裏返すのは一度きりにする』というもの。最近では科学的な焼き方として『低温調理』が紹介される機会が増えました。低温調理はたしかに優れた調理法ですが、本当に〈科学的〉に正しいステーキの焼き方なのでしょうか? 今日はアメリカ産のステーキ肉を焼いていきます。この焼き方はハロルドマギーのメソッドをベー

煮含め型の肉じゃが

人気メニューの肉じゃが。肉じゃがとして公表されているレシピを大きく分けると 1 煮含め型 2 すき焼き型 3 蒸し煮型 の三種類が存在します。『煮含め型』はお肉とじゃがいも、タマネギを炒め、出汁を注ぎ、醤油を中心とした味付けでことこと煮た物。作り置きをしても味の劣化が少なく、優しい味に仕上がるのが特徴。 次の『すき焼き型』は同様に炒めた具材に割り下に近い配合の調味料を注ぎ、短時間で煮上げる方式です。ご飯によく合う濃い味に仕上がります。肉じゃがの歴史を紐解いていくとこの形が

カツオと昆布の1.5番出汁

今日はカツオと昆布の合わせ出汁について考えていきます。2002年、大学の研究者と日本料理アカデミーによる実験で「昆布のグルタミン酸を最大限に抽出するには60度で1時間加熱するのがいい」「鰹節は85℃で旨味が短時間で抽出される」という結論が出たことによって、従来の『昆布と水を鍋に入れて沸騰直前に取りだし、鰹節を加え一煮立ちさせる』という方法では鰹節の旨味成分は充分に引き出せないことがわかりました。 科学的に旨味を最大限、抽出するための出汁のとり方は以下の通り。 まず鍋に昆布と

目玉焼きの作り方

目玉焼きは簡単な料理の代名詞ですが、なかなか難しいものです。プロセスを確認しながら目玉焼きの作り方を確認していきます。 まずは〈卵の保存〉から。卵は通常、冷蔵庫に保管しますが、野菜室は避けた方がいいでしょう。卵の殻には気孔という細かな穴があり、ニンニクやタマネギのような匂いの強い野菜と一緒にしておくと、匂いがすぐにうつってしまうからです。余談ですが、トリュフと卵を一緒に保存して、香りを移したトリュフ卵はその性質を逆に利用したものです。 購入した卵はできれば包装のまま、冷蔵

生クリーム入り日本風カルボナーラの作り方

カルボナーラは人気のパスタ料理。「本場では生クリームは入れない!」「パンチェッタではなくグアンチャーレじゃないと」「パルメジャーノじゃなくて本場ではペコリーノロマーノ」となぜか議論の対象になることが多い料理ではあります。 たしかにイタリアでは普通、カルボナーラに生クリームはあまり使わないそう。本場では・・・・・・という意見は正しいようです。しかし、本場イタリアにも生クリーム入りのリチェッタ(レシピのこと)はあるようです。 (参考dissapore.com『Panna nel

煮魚について考える『サバの生姜煮』

焼き魚と比べてイマイチ人気のない煮魚。その理由を考えながら新しい煮魚のレシピを考えます。ちなみに煮魚は日本料理屋でもほとんど作らない料理の一つ。どちらかというと家庭料理です。焼き魚よりも作り置きが利くのが特徴。 煮魚を作るとき、まず考えるべきは甘みの選択肢です。高級につくるなら砂糖ではなくみりんで甘みをつけます。砂糖は単純なショ糖の甘さですが、みりんは様々な糖類が混ざった上品な甘さ。さらにメイラード反応に由来した香気成分が魚の臭みをマスキングしてくれます。しかし、みりんは高コ

失敗しないマヨネーズの作り方

市販のマヨネーズは便利ですが、手作りもまたおいしいもの。一度、つくると乳化のメカニズムの理解に繋がり、様々なソースを作るときに参考になります。 手作りマヨネーズ  卵黄 1個  マスタード(ディジョン) 小さじ1  サラダオイル 160cc  レモン汁 大さじ1   塩 小さじ4分の1 材料です。酸味にはレモン汁ではなく酢を使うのが一般的ですが、今回はレモン汁を使用しています。両方使っても複雑な酸味が出ておいしいです。 マヨネーズ作りにはいくつかのコツがありま

お米の炊き方の復習

2017年の食のトレンドは一汁一菜だったのではないでしょうか。たしかに米が炊ければとりあえず食事としての体裁は整います。今日はお米の炊き方の復習。 ご飯  米 二合(300g)  水 360cc まずはお米を量ります。 炊きあがりを揃えるためにはまず正確な計量です。普通、米専用の計量カップを使うと思いますが、丁寧にするなら計りを使います。試しに一カップの米を計ってみ たところ、151gでした。誤差1gでも5合炊くと5gの誤差になります。 軽くすくってしまうと、ほらこ