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料理好きのための21世紀料理教室

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低温調理、エスプーマをはじめアルギン酸のカプセルなどの分子料理のテクニックを解説していきます
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#レシピ

卵黄の塩漬け(フェイクからすみ)

久しぶりの最新調理テクニック紹介。今日は卵黄の塩漬けです。 塩125gとグラニュー糖25gを用意します。 蓋ができる容器を準備し、塩と砂糖の混合物を敷きます。卵で卵黄が座る場所をつくり…… 卵黄を並べます。 上から振って、冷蔵庫で3日〜4日置き、水分を抜きます。 4日経った状態がこちら。かなり水分が抜けているのがわかります。 表面を水で洗います。 また、3日程度、冷蔵庫で乾燥させます。キッチンペーパーを敷かないで、網などのうえに置いたほうがいいです。 乾燥した

牛乳マヨネーズの作り方

「失敗しないマヨネーズの作り方」という記事でマヨネーズはエマルジョン(乳化ソース)である、という説明をしました。今回はその応用。卵黄の代わりに牛乳を使ってマヨネーズをつくります。 牛乳マヨネーズ 牛乳 60cc 塩  2g 植物油 200cc 酢(またはレモン汁) 大さじ1 牛乳は乳タンパク質であるカゼインによって水と乳脂肪分が乳化したエマルジョンなので、卵黄と同じようにマヨネーズをつくることができます。ただ、卵黄ほど強い乳化作用はないので、機械の力を借りる必要があります

酵素の力でさっぱりジャガイモのピュレ

マッシュポテトやジャガイモのピュレを作るのに〈ミキサーやフードプロセッサーは絶対に使ってはいけません〉という話を以前しました。(参考『究極のマッシュポテト』)ジャガイモの細胞が壊れ、遊離デンプンが出ることでネバネバになってしまうからです。 今回は現代料理のテクニックを使ってミキサーでノンオイルのジャガイモのピュレをつくります。鍵を握る食材は〈モルトパウダー〉です。 モルトパウダーは富澤商店で買えます。100g162円と安いのも嬉しいところ。(カルディコーヒーファームなどで

柑橘類の薄皮をアルカリで除去する

以前、『柑橘類の薄皮を酵素で除去する』では、酵素を使って、薄皮を取りのぞきました。 柑橘の薄皮の主成分はご存じ、ペクチン。ペクチンは アルカリ性の溶液でも溶かすことができます。台所で一番、簡単なアルカリ性の薬品といえば・・・・・・そう、重曹です。 みかんなどの柑橘、今回は黄金柑 適量 重曹 大さじ1 水 500cc 炭酸水素ナトリウムは掃除などにも使われますが、食品グレードの製品を選んでください。工業用も同じ物質なのですが、生産プロセスが若干、違うなどの理由から不純物

有名シェフから学ぶ〈いかのカルボナーラ風 (通称イカルボナーラ)〉のレシピ

音楽をやっている方は好きなバンドの楽曲をコピーすることもあるでしょう。同じようにたまには有名シェフの料理をコピ ーするのも勉強になります。今日はパリの二つ星シェフ、ジャンフランソワピエージ ュ(Jean-François Piège)さんのレシピ『Calamars façon Carbonara』をコピー します。 それでは材料表です。 いかのカルボナーラ風(二人前)  ヤリイカ 2杯  パンチェッタ 30g  にんにく 一片  生クリーム 50cc  パルメジャーノチ

アスパラガスの垂直ローストの作り方

『アスパラガスのゆで方を復習』 『アスパラガス、茹でるべきか、焼くべきか』 と続いたアスパラガス特集の3回目。今回はまったく参考にならない調理法をご紹介します。料理名は〈垂直のアスパラガスLes asperges à la verticale〉考案者はパリにある野菜料理で有名なシェフalain passardさんです。 ある程度の量のアスパラガスが必要です。下部の固い部分を2cmほど切り落とします。 計量カップなどにアスパラガスを立ててタコ糸で縛ります。 ほどけないよ

最新調理テクニック紹介『焼葱の土』

最新調理テクニック紹介。ここ数年、情景を表現する料理が増えたこともあり、土を模した料理(のパーツ)が増えました。(ティラミスを作ったときの植木鉢に使ったチョコレートの土もそうですね)今日、紹介するのは『焼葱の土』です。 とりあえず土だけでは料理にならないので、用意したのは牛すね肉(黒毛和牛) 500g。真空パックにして湯煎にかけます。スチームコンベクションオーブンがあればそちらでもOK。 いつもの繰り返しになりますが、タンパク質の変性について復習しましょう。ものすごくざっ

最新調理テクニック紹介〈お米のクリスプ(ライスパフ)〉

一皿の食感(テクスチャ)にバリエーションを持たせることは現代料理のテーマの1つ。今回紹介するクリスプ(パフ)には魚介類や肉のタルタルに食感を足したり、野菜のピュレを絞る台として用います。 米  100g 水  400cc 味付け用の塩 米を水で煮て、お粥をつくります。余ったご飯でも同様につくることができます。 冷ましておくと作業が楽です。煮る液体を変えれば違う風味をつけることもできます。(例えばエビの出汁で煮ればエビ風味のチップスに) お米の部分をすくいとってミキサー

三つ星店風の野菜のラビオリ

今日は野菜のラビオリ。ワンタンの皮を使うことで、具材である野菜の色が透けたきれいな仕上がりになります。パリの三つ星レストラン、アルページュでもワンタンの皮を使っているそうです。 野菜のラビオリ ワンタンの皮 30枚 具材 新玉ねぎ 1個 バター 20g 塩 グリーンピース 100g バター 20g キャベツ 四分の一 にんにく 半分 バター 20g ミント 少々 好みのコンソメ まずはラビオリの具材から。 新玉ねぎは繊維を

最新調理テクニック紹介『黒ニンニクのキャラメル』

最新調理テクニック紹介。今日はオブラート+新素材系のレシピ。はじめに書いておきますが「すごく美味しい」というレシピではないです。 新素材の黒ニンニク。黒ニンニクはニンニクを長時間加熱することで真っ黒くしたものです。時々『発酵させている』と書いてあるホームページがありますが、菌(微生物)が介在している反応ではない(どちらかというと酵素は関係あり)ので、それは誤りでしょう。 実はニンニクは野菜類のなかでも突出して糖度の高い野菜。例えばトマトが6度、たまねぎが8度〜10度(生の

最新調理テクニック紹介『トランスグルタミナ ーゼを使ったロールサーモン』

以前『トランスグルタミナーゼを使った成形 ローストビーフ』では肉の結着をご紹介しましたが、今回は魚篇です。 切り身があるけれど「ちょっと薄くてボリュームがないなぁ」という時はあるのでは ないでしょうか。薄い切り身を焼くと火が通り過ぎてしまいます。そんな時に使うテクニックです。今日は刺身用のサーモンを使って いますが、基本的にどんな切り身でも同じようにロール状に成形することができま す。 注意点は肉の場合と同様に細菌対策です。すでに掲載している以下の記事を参考にしてください

オブラートを使ったテクニック〈透明ラビオリ〉

最新調理テクニック紹介シリーズ。エルブジのシェフ、フェランアドリアが日本から吸収した素材は柚子、寒天、そしてオブラートでしょう。一時期のエルブジのメニューにはオブラートを使った料理が並びました。今回はオブラートの基本的な使い方の一つ〈透明ラビオリ〉です。 オブラートは数種類のデンプンを水で糊状にし、シートに伸ばして170℃で熱したもの。アメリカなどでは「Edible Paper Obulato」という名前で流通しています。食べられる紙というのが面白いですよね。 オブラート

柑橘類の薄皮を酵素で除去する

柑橘類の薄皮、いわゆる瓤嚢(じょうのう)を除去する際、工場では塩酸と水酸化ナトリウムを使いますが、モダニストキュイジーヌのテクニックではペクチナーゼを使います。 ペクチナーゼはペクチンを分解する酵素の総称。一般的には細菌から抽出するか、回収したものです。コスト的に考えると大規模での使用は難しいですが、キッチンで使う分には手軽です。写真のペクチナーゼはモダニストパントリーから購入したものですが、ペクチナーゼ自体は日本でも粉末状の製品が比較的、簡単に入手できます。 さっそく試

圧力鍋を使ったテクニック『カラメルニンジンのポタージュ』

最新調理テクニック紹介でとりあげた『カラメル化』の応用編です。圧力鍋を使ってカラメル化させたニンジンでポタージュを作ります。 カラメル化させたニンジンのポタージュ  ニンジン   500g  バター     80g  塩       4g  重曹      2.5g  ニンジンジュース 300cc  オプション ギリシャヨーグルト バジル        生姜のみじんぎり 花山椒 茹で野菜 レシピの元ネタは『modernist cuisine』の『カラメル化したニンジンの