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料理好きのための21世紀料理教室

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低温調理、エスプーマをはじめアルギン酸のカプセルなどの分子料理のテクニックを解説していきます
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2020年8月の記事一覧

ほんだしのテクニック

うま味調味料についての記事で「うま味調味料は出汁ではない」と書きました。そのときに紹介したのが即席だし。業界的には『風味調味料』と呼ばれているジャンルです。日本農林規格では「調味料(アミノ酸等)及び風味原料に砂糖類、食塩等(香辛料を除く。)を加え、乾燥し、粉末状、か粒状等にしたものであつて、調理の際風味原料の香り及び味を付与するものをいう」と定義されています。 日本で最もポピュラーな即席だしは味の素社が販売している『ほんだし』です。発売は大阪万博が開催された1970年。発売

うま味調味料のテクニック

うま味調味料は使い方がわかりにくい調味料で、家にあるけど何年も戸棚にしまいっぱなしというケースも多いと思います。外食産業の現場では昔から使われていますが、その使い方が経験則的に伝わっていることが多く、体系化されてないことが原因でしょう。 はじめに結論を述べてしまうとうま味調味料は家庭では使いづらい調味料です。よく「味の素を入れると同じ味になる」のような意見を聞きますが、それは入れ過ぎです。業務用のようにつくる量が多ければそうした事態は起きづらいのですが、家庭では一回につくる

切り方で味が変わる〈ホタテのカルパッチョ、シブレット風味〉

ホタテの旬は2回あり、一度目は産卵後の5〜8月にかけて貝柱が大きくなる初夏と、産卵前の冬。とはいえ養殖の冷凍物が出回っているので年間通しておいしく食べることのできる優等生食材です。昔は30cmくらいの大きな天然物が穫れたらしく、今でも大事に保存している貝殻だけは見たことがあります。今では一年もの10cm〜二年もの15cmくらいが普通 2人前でこれくらいの分量。今日はシブレット風味にしました。 シブレットというハーブはネギの一種。あさつきに似てますが、それよりもちょっとだけ

ピーマンの30分焼き

まったく参考にならないシリーズです。 ズッキーニを1時間焼くと美味しい、という記事を書きましたが、今度はピーマンを焼きます。今の時期の種のやわらかいピーマンが適しています。 ピーマンの場合はズッキーニと違ってカラメリゼ(糖分を焦がす)するのではなく、ピーマン自身の水分で蒸し焼きにするようにして火を通します。ズッキーニと違ってバターは使わず、加熱に強いオリーブオイルのみで焼いていきます。 この料理、ピーマンの薄皮が役割を果たすので、まずは傷のないピーマンを選ぶことから。フ