【再録】あんステ ML 書き散らし
※2021年4月17日にふせったーへ投稿したものの再掲です。
個人的に今回のあんステで1番印象に残ってるところ、スバルの代わりにもりちあが自身の弱さを吐き出して八つ当たりする相手が紅郎さんってところなんですが、あのシーン、原作のスバルはもりちあを突き放すじゃないですか。今までもりちあがしてきたこと、やろうとしたこと、叶わなかったこと、挫折したこと、スバルはそれらを薄々知ってはいるけれど、もりちあの「正義は必ず勝つ」「ヒーローが助けてくれる」っていう自身への呪詛に近い鼓舞を聞いている時間の方が圧倒的に長かったから、あそこでもりちあに幻滅してしまう。誤魔化してボロボロになってどうしようもなくなったもりちあの心からの叫びを、「カッコ悪い」と突き放してしまえるし、「悪いことしてもいいよね、ヒーローはいないんだから」って嫌味を言えてしまう。
あのセリフは結果的にもりちあにはっぱをかけることになったし、メインストに続くストーリーで何があってももりちあがスバルを守ろう、助けようとするきっかけにもなる言葉なので、どれだけ残酷な言葉でも、スバルがそれをいうのは正しいと思うんです。でも、今回のステではスバルの代わりに、あそこでもりちあ溜まりに溜まった負の感情を浴びるのは紅郎さんになってて。
紅郎さんは、スバルと違って、もりちあが今までやってきたことを知っている。怖がりのもりちあが怯えながら自分を手当てしてくれたこと、肩を貸してくれたこと、心配してくれたこと、本気で怒ってくれたこと、本音では奏汰くんを心配していることを知っていて、もりちあが過小評価しがちな、もりちあのヒーローたる部分をちゃんと認めている。だからこそあのシーンで、紅郎さんがもりちあを「カッコ悪い」って突き放してしまったらどうしよう、ってとても不安だったんですよ。でも、紅郎さんはそうしなかった。もりちあの強さと弱さどちらも知っていて、心が折れかけている理由も知っていたから、「期待かけて悪かったよ」って言うだけで去っていく。あのシーン本当に、演者さんが限られている舞台として最高の演出だったと思ってます。
篝火のストーリーって、今回のイントロダクションにもあるように、ヒーローになりたかった少年と、かみさまだった少年の出会いの物語で、実際にストーリーを読んだときはもりちあと奏汰くんの話、というイメージが強いんですが、今回ステを見て、ああ、この話は「ヒーローになれないとどこかで諦めていた少年が、闇の中でもがいていた不良にとってのヒーローになった」話でもあるんだなあ、とも思いました。もりちあと紅郎さん、クラスも違うし、あまり絡みがないイメージだったので、ときどき匂わせられるふたりの絡みが結構不思議だったんですけど、今回のステで、篝火で語られるメインのふたりの裏にあった絆をしっかり認識できたというか。とても綺麗にもりちあと紅郎さんの関係を描いてくれて、本当に嬉しかったです。
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