ディズニーシーで、キャラメルポップコーンに人生を感じた(かもしれない)
先日、姉一家と一緒にディズニーシーへ行った。
メンバーは、姉、姉の夫、姪(もうすぐ5歳)、そして私の合計4人である。私は独身で子どももいないので、こうして家族イベントに参加させてもらえるのはとても嬉しい。
ディズニーシーに来るのは約4年半ぶりだ。いつのまにか色々と仕組みが変わっていて、全然ついていけない。ファストパスってもうないんですね・・・・・・。それにしても、まだスマホのなかった学生時代、アトラクションの待ち時間をわざわざ歩いて確認しに行っていたのが嘘みたいだ。
当日は土曜日。朝から気持ちのいい秋晴れだった。
午前7時過ぎからゲート前でスタンバイしていた我々は、オープンと同時に意気揚々と入園した。入口の巨大な地球儀みたいなやつ(正式名称が分からない)を見ると、ディズニーシーに来たっという実感が湧いてくる。
うきうきする音楽と、どこかから漂う甘いお菓子の匂い。周りを見ると、ディズニーキャラクターの格好をしている人もたくさんいて、みんなすごく楽しそうだ。
ちなみに私は、ディズニーランドよりも断然ディズニーシー派。
歩いているだけで心が躍る、20世紀初頭のアメリカを模した街並み。コロンビア号の大人ラウンジ。不思議な近未来感の漂うポートディスカバリー。くるくる回るアクアトピア。プロメテウス火山を有するミステリアスアイランド。スリルと疾走感溢れるインディ・ジョーンズ・・・・・・。
ちなみに、個人的にかなり好きな海底2万マイルはこの日運休中だった。残念。
*
さて、ディズニーシーの楽しみのひとつが食べ歩きだ。
さっそくポップコーンのフードトラックに並び、姉の夫と姪はキャラメル味、私と姉はガーリックシュリンプ味を購入。みんなでシェアしながら食べることにした。甘い×しょっぱいの組み合わせにすることで、途中で飽きることなく無限ループしようという作戦だ。
かわいいハロウィン仕様のバケット(ポップコーンの容器)とセットで購入し、アトラクションの列に並びながらひょいひょいとポップコーンをつまむ。
「ねえねえ、こっちのも食べていいよ」
こちらに向かって腕を伸ばし、姪が自分のキャラメルポップコーンを差し出してくれる。可愛い。
4年半前に私と姉の2人で来たときは、この姪はまだ赤ちゃんだったのに・・・・・・(パパと家でお留守番だった)。我々大人にとっては4年前はわりとつい最近という感覚だけれど、彼女からすれば想像もつかない昔だろう。改めて、子どもと大人では流れている時間が違うんだなと感じる。
さて、キャラメルポップコーンを頬張りながら、私はふとこう思った。
全部のポップコーンに、まんべんなくキャラメルがかかっていればいいのにな・・・・・・。
映画館で売られているキャラメルポップコーンにも共通することだけれど、キャラメルソースの絡み方というか、味の濃さにはけっこうムラがある。しっかりキャラメル味のポップコーンがあったかと思えば、あまり味のしないものもあったりして。
時々、ソースが絡みすぎてカリカリになった「焦がしキャラメル状態」のポップコーンを見つけると嬉しい。口に入れると、浸み浸みになったキャラメルの味わいがじゅわっと広がる。めちゃくちゃ甘くてほろ苦くておいしい。バケットに入っているポップコーンが全部、これだったらいいのに。
しかし、「焦がしキャラメル状態」のポップコーンをなんとなく眺めているうちに、こうも思った。
もし全部が全部これだったら、それは案外つまらないのかもしれない。
シンプルで控えめな味わいのなかに、ときどきアクセントのように紛れ込んでいるから嬉しいのだ。もしもバケットの中身が全部この甘々ポップコーンだったとしたら、ありがたみも新鮮さもなくなるだろう。なんていうか、けっこう胸焼けしそう。
―—それって、なんだかそのまま私たちの人生にも当てはまりそうだ。
何気ない日常の生活があるからこそ、時々ある非日常の喜びがきらめく。それこそ、私が今いるディズニーシーがそうだろう。今日園内ですれ違う人たちは、皆笑顔で楽しそうだった。きっと誰もがそれぞれに、会社や学校や家庭で、不愉快なこともあれば大変なこともあるに違いない。普段の生活では、そうそうドラマチックな出来事も起こらないのだし。
だから皆、こうして「夢の国」に来るんだな、と思う。きらめく非日常を味わって、また明日から日常に戻っていくために。
ちなみに余談だが、この日私は、初の「1人ディズニーシー」を経験した。といっても1時間ほどの間だけれど。
というのも、姪が小さいことと姉の夫が明日仕事だということで、姉一家とは18時頃に解散した。そのまま私も一緒に帰宅してもよかったのだが、せっかくなので1人でそのままパークに残ってみたのだ。
1人でアトラクションに並ぶ勇気はなかったので(シングルライダー制度があるぐらいなので、別に誰も何も思わないだろうけれど)、ライトアップされた夜のパーク内をぶらぶら歩き、写真を撮ったりおとなしくしていた。
幻想的な夜のディズニーシー。
私は1人ぼんやりとベンチに座って、遠くで妖しく照らされるプロメテウス火山を眺めた。
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