私の料理の腕を磨くために祖父母の家にお邪魔する日々~1日目~

3月に入って、仕事場の最終出勤も終わり有休消化に突入。当初のメキシコ旅行は忌々しいコロナウイルスのせいで取りやめ。

この時間だけがある期間に何かしようと考えて、自炊のスキルを上げることにした。料理本を以前購入したけど結局使っておらず。というのもパラパラと中身を見たら白ワインとかみりんとか調味料をまあまあ使う必要がある。でも一人暮らしの普段料理をほとんどしない人間の家にはそんな調味料なんてない。買うにしても買った調味料が無駄になる確率の方が高いし、そんならお金出して買うのもなあ・・・。で、作ってなかったけど今は驚くほど時間がある。しかも仕事も行ってないから翌日のことを考えて慌てなくてすむ。最高の期間。

で、うちのばあちゃんがちょっと前から”物忘れ”が目立つようになった。じいちゃんや母さん、叔母さんたちと一緒に病院に行って所謂認知症の診断がでた。それについて思うことはまあ色々あったけど、本人は生活できてるし、ただまあ忘れやすくなってその分近くにいるじいちゃんにキツクあたることも多くなったそう(これは以前からあった)。普段は近くにいる孫(私から見て従妹・従弟)が色々と用事に一緒に付き合ってくれている。本当に感謝しかない、ありがとう。

で、今は私に時間がある。そして実際に料理を作って腕を磨きたいし、もし簡単に作ることができるなら自分ちでも作り続けたい。うちには調味料がないから料理するならどこか揃っている場所が必要。そして現在のじいちゃんばあちゃんが心配。


これを全部繋げて、祖父母の家にご飯を作りに行く(私+祖父母の分)⇒その間ばあちゃんの様子を見れるし、ばあちゃんの側に私がいるからじいちゃんは自分の好きに過ごすことができる=win-winの関係では!と天才的な閃きが頭の中に浮かんだので、さっそく母さんに連絡しばあちゃんたちに上記の内容を伝えてもらい許可をもらった。

食費は出してもらうことになって(助かる!)、交通費は自分持ちで(貰えるなら吝かではない。そういうの遠慮しない派)まずは約1週間通うことになった。週1回デイサービスに通ってるからそれ以外の曜日で昼~夜、2食分を作りにいくことに。料理本1冊だけ持って通う日々が始まった。


1日目

香川1人旅の帰りに寄ることになったのでこの日は夕食のみ作る事に。15時ごろお邪魔して、これから宜しくとあいさつ。2人は笑って迎えてくれた。会ったのは正月以来かな。親戚の誕生会で年3回ほど+正月くらいしか会うことがなくなったので顔を見るのは久しぶり。見たところじいちゃんもばあちゃんも”認知症”と診断が付く前となんら変わりないように見えた。

夕飯は、私が旅行帰りで高速バスに揺られて帰ってきて疲れていたので鍋にすることに。ちょっと暖かい日やったけどギリセーフやったと思う。夕飯の食材を買うためにじいちゃんと私で近所のスーパーまで買い物に行き、ばあちゃんは掛かりつけのお医者さんの所に行くことになった。

各々準備をしてたらばあちゃんが、

「かばんがない」

と言い出した。一瞬動きが止まる私。えっと驚くじいちゃん。「おかしいな~朝○○ちゃん(従妹)と医者に行った時に持ってどこやったかな」と言っているばあちゃん。このとき、正直「ああ、これか」と思った。

アルツハイマー型認知症は”物忘れ”から始まる。

その知識があったし、正月の時にも確かに”忘れている”ことが多かったけどそこまで実害はなかった印象だった。ただこの時は本当に部屋の中に鞄がなくて、午前中に診察に付き合ってくれた従妹にじいちゃんが電話すると、診察の後にスーパーに寄った時に持っていたのは覚えていると。つまりスーパーでの買い物以降~家に帰るまでに置いてきた可能性が高い。

それって見つからんやつやん・・・

外で忘れたらもう見つからんやん・・

と思っていたのは内緒。あかんやろうなと内心で思いながら、でも絶対にしなかったのは”忘れたばあちゃんを責めない”こと。「ちゃんと自分の荷物を見とかなあかんやん」とか「なんで忘れたん」とか言わないこと。これは絶対に言わないこと。責めれば反発するタイプもいるし傷つくタイプもいる。自分を”あかん人間や”って責めるタイプもいる。ばあちゃんは物忘れの自覚があるから後者の可能性が高いし、もしじいちゃんが上記のセリフを言っていたら反発して気まずい雰囲気になるかもしれん。

とにかく冷静に調べに行こうと提案するのが適当と思っていて、ここでじいちゃんもばあちゃんを責めることなく”一緒に部屋を探して””ばあちゃんを責めずに解決策を考える”行動を自然と取っていたのが良かった。長い間2人きりで一緒にいたからばあちゃんの事をよく分かっての行動だと思うけど。

じいちゃんグッジョブ!!

そんなこんなで「持って帰ったつもりやったのにな~」というばあちゃんを掛かりつけのお医者さんへ送り出し、じいちゃんと2人でスーパーのサービスカウンターへ向かうことに。道中、じいちゃんが「ばあちゃん忘れやすくなってな。荷物とかをよく置いてくるんや。鞄には保険証が入ってたからな。財布は中身そんなにないと思うねんけど、保険証だけが心配や」って、ここでもばあちゃんが鞄を忘れたことを一切責めてなかった。

じいちゃん、ありがとね。よく見ててくれてありがとね。


優しい2人をちゃんと神さま仏様は見ててくれているのか、鞄は無事サービスカウンターに届けられてた。

届けてくださった方、本当にありがとうございます。こんなインターネットの隅っこなんて見てはれへんやろうけど、本当にありがとうございます。


無事見つかったことを従妹に連絡するようじいちゃんに伝えて、その間私はばあちゃんのとこへ鞄を届けにひとっ走りすることに。中に保険証入ってたから。クリニックの中に入ってばあちゃんに鞄を渡したら、受付の人も「ああ~良かった、あったんやね。先生に言ってくるわ」って奥に引っ込んでいった。そこでばあちゃんが何故か持っていた空の鞄と交換して、空の鞄を下げてじいちゃんの待つスーパーに戻ることに。ばあちゃん、診察受けるだけやのになんで空の鞄持ってきたん?

買い物中はさほど大きな出来事もなく・・・って書こうとしたけど、鍋に入れるお肉を探してて、最初はじいちゃん希望で牛肉探してたのに突然「この豚肉にしよう(断定)」ってなったよね。通常運転で気にしてないけど。

あとオールドエイジ2人とちょっと走っただけで息切れする私の3人で500gの豚肉買おうとしたからそれは止めた。無理、500gは無理。300gを買って、結果なんとか食べれた位やから。500gを3人は絶対無理、特にこのメンバーでは完遂は難しいです。

そのあとは平和に、自分の好きなトマトをカゴに入れたり人参が冷蔵庫にあったか2人とも思い出せず、”買い物前に冷蔵庫の中身チェック”という初歩的なことすら忘れていた自分を恥じ、とりあえず買った3本入りの人参が、冷蔵庫の中にすでにある3本の人参と合わさって野菜室の中で凄い存在感を示すことになるとは誰1人予知できず。ついでに自分の明日の朝用の食パンを買ってもらい、山崎のシールを集めてるからとじいちゃん宅の朝食のパンも山崎製品にしてもらい。そんなこんなで買った物を袋に詰めてたら(この時にばあちゃんの謎の空鞄が活躍)、空の鞄に家の鍵がくくりつけられていることに気付き、ばあちゃん鍵持ってない状態やん!と薬を貰いに行くだけやったばあちゃんが先に帰っている可能性が高いため2人して急いで帰ることに(気持ちだけ急いだ)。

そしたら、玄関扉の前で中腰でごそごそしてるばあちゃんと会う。鍵忘れたかと思ったわと笑うばあちゃんに心の中で謝る。ごめん、空の鞄を不思議に思ったら中身チェックすればよかったよな、ほんとごめんばあちゃん。


料理を作るまでにひと騒動あって、これはもしかしたら中々波乱万丈な期間になりそうやな、と1人心の帯を締めなおして鍋にとりかかることに。途中、何度もばあちゃんのご飯を炊くか炊かんかの質問に「今日の〆はうどんやで」と返しながら作業を進めていく。最初の方に入れた人参と大根をばあちゃんがこれでもかと煮え滾らせていて大丈夫かなと思ったけど、出来てみると絶妙な柔らかさになってて感動。人参の甘味も最大限出てたように思う。さすが。生姜鍋の元を使ったけど、

じいちゃんは気にせずポン酢に付けて食べてた。

生姜の味消えたんちゃうかな・・・。

画像1

ちなみに鍋の上に乗ってるのは賞味期限が今日までのカニかま。

温めても美味しいな、って2人して驚異の適応力で受け入れてくれました。感謝。ちなみに味はまあまあ。カニかまは温めなくても美味しいかとおもいます。

私の力5%くらいしか使ってないけど、2人とも美味しい美味しい言ってくれて凄くうれしかった。食事の席でじいちゃんが「今週、ばあちゃんと○○ちゃん(従妹)に送ってもらって受診に行く日があるからその日の昼ごはん頼むな。かえってきたらご飯できてるようにやっといてもらえると助かります~」って、料理をばあちゃんに教えてもらいながら作ろうと思ってる身からすると物凄いハードルを設置してくれたりしたけど、私は元気です。


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