【一次創作】ある書物の写本化記録 (2)

 以前、とある管理書籍の件で協力した修復師に、先日の汚損個所の修復方法について相談した。彼自身に修復ができるものではないそうだが、「修復可能な人物」について紹介を受けることになった。原本の情報を伝え、その連絡を待つことにする。
 読み進めていくうち、不自然に汚されている箇所が多数存在した。解読できた限りでは、恐らく第三者による意図的な汚損が行われた可能性が高い。戦や政変など世情の乱れた頃に散見される行為だが、全く以て愚の極みと怒りが込み上げる。焚書に成る前に救えたのはまだ幸いとも言えよう。これが話の修復可能な人物とやらの力で解決すればいいのだが。

 W-A.R. ■35 青葉の月 20日
 現在地:クルビス領サルベ■■
 屋外:大雨 域内:小雨
 
 半月■■■■■滞在していたメベラ■■■、察するに■■■■惨状であった。■■■死人■■■■■■■■、奇跡■■■■■■■■。
 辛うじて■■■話■■■■■■、魔王■■■■解き放たれ■■■間違いない■■■■■。その■■■“■■”が現れた■■■■。■■■危害を加え■■■■■■、■■■■■指示か。■■魔王の狙いは■■■■■■■■■■■、■■■。
 今頃聖都に向かって■■■■■■■。聖王に宛て■■■■■■■、間に合うものか■■■。メベラ■■■■■ヴァルダーヤ■届け■■、すぐに■■■■■■ならない。

 ところで、以前の記録にもあった『魔王』という記述が気に触れた。王国歴3001年に、北の王国を蹂躙した魔性の軍勢の事だろうか。
 現状、W-A.R.……世界歴のことと思われるが、これが厳密に判明しない限り、いつの出来事かを判断することは難しい。但し、この書物が『魔王』に関するものだということだけは、報告するべきと思われる。既に千年以上に渡り、世界各地に現れるこの存在を知るための手がかりとも成りうるのだから。

 ……もしやこれはアレだろうか。見習い半年にして、部屋持ちになるという流れだろうか。
 いや流石にそんなことはなかろうが。

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