スクリーン・リーダーでNoteを試す:テキスト投稿編
以前1度Noteのアカウントをとある事情で作ったことがある。
でもスクリーン・リーダーで使いにくくて利用に至らなかった。
あまりにアクセシビリティーを考慮してないように感じて、結局腹を立ててアカウントを消した。
今回、これまたとある別の事情で、あれから状況が改善したかどうか試してみることにした。
結論から言うと、「大きく変わっているようには見えない」という感じだ。
とりあえずテキストの入力はできるけど……
テキスト投稿の編集画面で、普通にテキストを入力することはできる。
でもこれは以前もできてたと思う。
では上のように見出しを作ったり、リンクを挿入したりするのはどうか。
Shiftキーとカーソルキーで文字を選択して、NVDAのブラウズ・モードに切り替えた上で、当該アイコンを探してEnterキーを押せばできる。
はずなんだけど、問題のアイコンが出て来たり出て来なかったりする。おそらくはホバーしないと出て来ないとか、そういうことではないだろうか。
つまりアクセシビリティーに対する考慮は相変わらず少ないと見て良さそうだ。
では上の見出しはどうやって設定したのか。
キーボード・ショートカットを使えばできる、が……
そう、キーボード・ショートカットを使えばできる。
ただ、キーボード・ショートカットに関する情報は決して見つけやすくない。
投稿画面でできることというページには、以下のような記述があるだけだ。
あとは、記事を書くときに覚えておくと効率が上がるショートカットキーをいくつかご紹介します。
• 元に戻す : ⌘(Ctrl) + Z
• コピー : ⌘(Ctrl)+ C
• 切り取り : ⌘(Ctrl)+ X
• 貼り付け : ⌘(Ctrl) + V
• 文章の改行 : Shift + Enter
• 段落変更 : Enter
そしてその直後には、Google Chromeのキーボード・ショートカットに関するヘルプ・ページのURLが特に説明もなく掲載されている。
試しにhelp.note.comで「ショートカット」で検索してみても、上記のページしかヒットしない。
でもこれでは見出しやリンクは作れない。
たぶん以前はここであきらめたのだろう。
でも今回は、Googleで「note ショートカット」を検索してみた。
すると、テキストのショートカット表というページが一番上に出てきた。
ふつうは上のように、テキストを選択して表示されるアイコンの中から選択するのですが、実はアイコンを選択しなくてもスタイルを追加できてしまう、キーボードショートカットをこっそりと用意していたので、お知らせします。
とりあえずこれを見ると、最低限のことはできそうで、実際にこうしてできている。
でもなぜこっそりやる。そしてなぜヘルプに掲載しない。(こっそりだからか?)
ただ、ブラウザーのタブ切り替えのショートカットであるCtrl+数字キーを割り当てているところなどは、正直アクセシビリティーどころかユーザビリティーも意識してないのだろうと感じてしまう。
ヒントにならないヒント
投稿画面には、使い方のヒントみたいなのが表示されている。視覚的に表示されているかどうかは分からないが、スクリーン・リーダーでは表示されているように読み上げられる。
ここには、基本的な使い方のページへのリンクがあって、これは初めての人には便利なのだろう。
そして、その次にキーボード・ショートカットの一覧がある。上で紹介したページなんか探さなくてもこれを見れば良さそうなものだけど、これが役に立たない。
改行はShift+Enter、段落を替えるのはEnterまでは全く問題ない。
ところが、そこから先をスクリーン・リーダーで読ませるとこんな感じだ:
editorBold 太字
editorCenter 中央寄せ
editorLink リンク設定
おそらく、入力すべきキーの部分がアイコン・フォント的な手法で示されているのだろう。(ソース確認してないから知らんけど。)
これでは何も分からない。
そして押せないcloseボタン
そんな訳で、毎回参照するわけでもないヘルプへのリンクと、全く役に立たないショートカットの一覧は必要ないので非表示にしたい。
都合が良いことに、"close"というラベルが付いたボタンが2つばかりあるので、これを押してみた。
が、何も変化はない。
画面上はもしかすると非表示になったのかもしれない。いや、そもそも表示されていなかったのかもしれない。
でもスクリーン・リーダーで確認すると、closeボタンを押す前も押した後も、同じものがそこにある。
結論:スクリーン・リーダー・ユーザーにNoteはお勧めできない
でも使える人は使ってみようぜ
ここまで紹介したこと、ヘルプ・ページにaltテキストがない画像が散見されることなどから見ても、Noteのアクセシビリティーに対する意識は高くないのだろう。
スクリーン・リーダーを使うクリエイターの存在可能性は意識していないのだろう。
そこのところは以前と変わっていないということのように思える。
以前の僕は、そういう姿勢の企業と自分が関わることを許容したくなかった。なのでアカウントも消した。
が、今回は少しスタンスを変えて、しばらく文句を言いながら使ってみようかと思う。
スクリーン・リーダーを使うクリエイターを意識していないのか、そういう人を知らないだけなのか。後者の可能性は低くないだろう。
僕がクリエイターかはともかく、実際に使っていて、困っている人がいるという事実をまずは作って可視化していくのが良いだろうと考えたからだ。
Noteを使った発信は、普通にブログを書くよりもおそらく多くの人に届くという傾向があると思う。だから、視覚障害者も普通にこのプラットフォームを使えるようになれば、それは僕たちにとって有益なことだと思う。
Note側がそういう可能性に気づいて、少しずつでも改善してくれることを願いながら、しばらく使ってみようと思う。