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塔 月詠/2023.09


眼鏡屋にあるサングラス 気づいたら薄ら暗くなっていた日々

あかるさを話していちど閉じかけたドアを夕立ちの駅に出る

眼が雪に焼けることあり 見えすぎるゆえの頭痛を心配されて

深く長い呼吸のための猫背だろう枯木立その胸に抱えて

傷跡にもういちど針落とすたび音楽は再現されてゆく

そこにいる エピソードから遠ざかるほどにミモザは仄光りだす

文脈と背景 みんな目を閉じた信号 歩行者天国へいく



 今月は7首掲載。鍵外、欄の先頭に置いていただけたので目次の目立つところに名前があってなんだか嬉しい。ありがとうございました。(まあそれはそれとして誤植があったので訂正依頼を出さねばならないが……)

 気づいたらもう9月、立派に秋のはずなのだけど気温が連日30℃超の晴天と豪雨を繰り返す天候のせいか、ずっと夏が続いているように感じる。エンドレスサマー、この暑さのまま今月を終えてしまうのではないかと薄っすら心配になってきた。
 気温がそんな有様なので体感としてまったく月日の流れを実感できず、2023年が実はもう3か月余りしかないことにまったく納得できない。ほんとうに? 昨年末にパートナーと別れてバタバタと引っ越しを決め2年ぶりの一人暮らしを始めて、日々が慌ただしく過ぎたのは確かだ。仕事もそのすこしまえ10月ごろから始めた案件にずるずると参加し続けて、もう1年突破が確実なものになった。いまの仕事のことはかなり好きなので、この方向で年明けには転職活動とかしてみようかな……。しない気がする。

 幸いなことに公私ともに(と言っても会社員に公などはないので不正確な表現は改めて字面が似ている会私として、その会私ともに)人間関係と期待に恵まれ、充実した日常を過ごしている。
 一方でその忙しさにかまけて、いや精一杯やっているのだが、とにかくその忙しさに追いやられるままのこの図体でさらに追いやってしまっているあれやこれやがずっとあり、頭と胸の片隅で薄っすらとほこりを被せてしまっている。いつまでここに置いておくのだろう。

 とかくケリをつけたい事象はいろいろとあり、そのうちのひとつはつい先日の深夜に大騒ぎしたうえで解決したのだが、その解決については、ああそんな剛腕でもいいのかと鼻白んでしまうような思いだった。
 自分自身と向き合いましょうね、と話すにはもう立派な年齢になっている。立派な大人としての振る舞いには遠く届かない。懸念も負担も幸福も、すべては薄っすらと、毎日すこしずつ陽が長くそして短くなっていくようにだけ見ることができる。
 エンドレスサマー、宿題を終えないと。


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