【緊急投稿】MLMに勧誘された話

MLMとは、日本で言うところの「ネットワークビジネス」とか「マルチ商法」といわれる分野の話である。聞こえ良く言えば会員を募って商品を紹介するなどして利益が生める、という触れ込みのものであり、日本は勿論、世界的に見てもその存在はいくつか知られている。

4/14夜、私は実際にその勧誘を受けた。当然断ったのだが、このご時世に敢えてガッツリ話を聞いてみたので、今後の被害者を産み出さないためにも、今回はその体験を名前等を伏せながら書いていこうと思う。

先に書いておくがこれは自戒の念も込めてである。ひっかかりかけたという恥も込めてここに書いておくことにする。

※このお話に出てくる人物、団体は私以外は事実に基づくフィクションです。特定されないよう頑張って書きます。

1.ネットワークビジネスとは

まず聞き慣れない人もいるだろうから、ネットワークビジネスとは何ぞやというところから始めたいと思う。

ネットワークビジネスとは、一口に言うと、商品を口コミで販売したり、購入者を勧誘して販売員になってもらったりする形のビジネスのことであり、法律上では「連鎖販売取引」として下記のように定義されている。

1.物品の販売(または役務の提供等)の事業であって

2.再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を

3.特定利益(紹介料や販売マージン、ボーナス等)が得られると誘引し

4.特定負担(入会金、商品購入費、研修費等の名目で、何らかの金銭的な負担)を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

(以上Wikipediaから)

まあ、簡単に言えば誘って物を買わせるというイメージでいいと思う。一応整理するが「ねずみ講」とは異なる。「ねずみ講」は正式には「無限連鎖講」といい、こちらは完全に違法となっている。これに対してネットワークビジネスは(かなり厳格にはなっているが)

・ 契約締結前や契約締結時の書面交付の義務付け
・広告への一定事項の表示の義務付けや誇大広告の禁止
・不適切な勧誘行為(不実告知、威迫困惑行為等)の禁止
・クーリングオフは20日間(一般の訪問販売は8日間)
・中途解約権の付与

このあたりの条件を満たせば運営できるものとなっている。もう一度言う。これを満たせば合法である。だからやる人を止めようという気はない。ただ手法として賛成しないというだけである。

2.とら~ぬが勧誘の場に呼ばれるまで

では今度はまず私が実際に勧誘される場に呼ばれるまでについて書いていきたいと思う。

私も28歳独身。長男でもあるしあまり遅くならないうちには結婚したいと思っている。実家近くに住んでいるのも呼び出されたら駆け付けられる程度の距離感は確保しておきたいと考えているからだ。

とはいえ日常生活に近い年代の女性が現れるわけでもないし、出会いのきっかけを探すなら天鳳や対局に出るか飲んでいる方に時間を使ってしまう自堕落野郎なので、少しは端緒を準備しよう、とあるマッチングアプリを始めた。今からおよそ2年ほど前のことである。

これまでも適当に運用していて何となくいいねしてマッチングしたり、実際に2,3名とは会ったことがあった(全部それきりだったが)。

そうして運用している中で今年2月半ば、20代のAさん(仮名)という女性とマッチングした。聞けばお菓子作りが趣味で、将来自分のお店を持ちたいと考えているそうだ。

個人的にはそれ自体は夢があって頑張っているんだな、と感心していたので話が進んで、実際にあってみようという話になった。それが今年3月上旬の話である。

とあるカフェで二人でランチをし、2時間ほど談笑。その時に聞いた話はその夢の話と愛用しているサプリメントの話、あとは夢のためにやっていることとして「副業」というワードを聞いた。

この時点で「おや?」と私は思っていた。普通初対面の相手に「副業」なんてワードを出すだろうか。とはいえまあ夢のための活動資金を稼ぐために考えているんだろうな、と思っていたし、私自身も野望記事を書いた通り何か副業は持ちたいと考えていたため、特に触れようとしなかった。

それからコロナ等もあったし、うさん臭さもあったので特に連絡せずしばらく放置していると、ある日メッセージが飛んできて、自分がやっている副業としてあるネットワークビジネスを紹介したいので会えないかと言ってきた。もう少し話を聞いてみるとある師匠筋がいて、その人の協力も仰ぎながら私にもやってほしいのだ、という。

賢明な読者諸君なら気づくだろう。もうこの時点で十分に怪しい。普通ならこの時点で通報・ブロックした方がよいだろう。

私自身は「ネットワークビジネスって名前くらいは聞いたことあるなあ」という程度の理解度だったので一度調べてみることにした。そこで出てきたのが1.に書いたWikipediaの内容だった。心の中ではクロと判定しておきながら、「とはいえ儲けのしくみというのは聞いてみたい」と思ったため、ひとまず会って話を聞いてみようという結論に至った。これが4/14の夜のことである。

3.実際の勧誘の現場

そんなこんなで自宅から車で20分ほどのとあるファミレス(場所は伏せさせてほしい)に呼ばれたとら~ぬ。

席に座り、飲み物でも飲みながらとAさんからその師匠筋の人となりを聞く。聞いた話を差しさわりのない範囲で整理すると、

・大学を卒業し、営業としてある会社に入社したが数年して今後も稼げないとわかり退社

・実業を始め、月収もそこそこ稼いでいたがこの時に営業時代の知り合いから今回紹介するネットワークビジネスの話を受け始めた

・以来コロナの影響もあり実業を休業してこれ1本でやっている

こんな30代男性という。話を聞く限りでは変わり種の野郎だな(お前が言うのか)という印象。

この紹介の後はAさんも「自分の夢をかなえるために資金を稼ぐためとして始めて1年半になる。協力者を募っていて、普段はすぐには紹介しないんだけど、知識もあって頼りになりそうだからとら~ぬさんにぜひやってほしい」と押し始める。まるで私がリーチ後に無筋を放り投げるように。この時点で死んだ眼をしていた私は、慌てず話を流しながら師匠筋の到着を待つことにする。

それから15分ほどして師匠筋(以下B氏(仮名)としよう)が到着。Aさんに隣に座られ逃げ道もふさがれたので、先手を切って「AさんからB氏はこんな人だと聞きました」と押し、手短に仕事の話を始めさせる。

B氏が所属しているネットワークビジネス団体(以下AX(仮名)とする)は10年ほど前にアメリカでできて、数年前に日本にも支社ができ、現在驚異的なスピードで会員数を伸ばしているのだという。東京と大阪ではそこそこ流行していて静岡はこれから伸ばそうとしているのだそうだ。実際このご時世若い人を中心に少しずつ会員数が増えているようである。最近はある都市で数万人を集める大規模イベントもあったのだという(アメリカの会社なのに日本でやたらやっている辺りでも妖気アンテナが働いた)

AXはCEOにアメリカの超有名な実業家を据え、そのほか豪華な経営陣を整えて商品を開発し、化粧品やサプリメントなど高品質な商品を安く会員に提供しているのだという。私の「ああ、これはもうだめだ」モードで話をディフェンスしながらひとまず話を聞いてみる。

制度を聞くと確かによくできている。

特定されない程度にまとめると

・登録料を払ってポイントで商品を買い、実際に使ってもらったりする(これはよくある)

・登録を維持するためには毎月一定のポイントの商品を購入すること

・自分が人を紹介すると紹介料として子会員が登録料として払ったポイントの「小さい方の15%」がもらえる(これがまずポイント)

・稼いだポイントの15%は別にプールされていき、一定額たまるとペイされる(モチベーション管理というか逃がさないようにできている)

・週給制度(毎週振り込まれる)

・簡単に言うと世代制限がある(ねずみ講防止)

・商品の品質は確かに担保されており、いくつかの賞も持っている(実際結構ちゃんとした賞も取っていたりする)(当然ハラール辺りも取っているのだが僕に説明した二人は何か知らなかった。この時点でもう話を信じる気はなくなった)

・ポイントで旅行とかにも行ける

このあたりだろうか。

私は確かに感心した。確かに合法的にお金を稼げる絶妙にギリギリなところを突いている。そのうち法規制されそうなくらいに。合法は確かに合法。組織としてのモチベーション管理やとりあえず始められる環境なども含めて確かによくできている。

しかしお金儲けの世界でこんなできすぎた話が出たら疑ってかかるのは基本であると私の中の信義則が伝えてきた。

ここからとにかく適当に回答をはぐらかす。即決を促されても「この場で回答はできない」と言い切り時間を稼ぐ。

結果コロナのおかげで店の閉店時間(本当は24時間営業)が来たおかげでパフェだけ食べて飲食代だけ置いて帰ってきた。

皆さんも気を付けよう。金儲けはしたくても、うますぎる話には乗らない方がよい。

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