SHAMPOO SHAMPOO
高2の修学旅行で台湾に行った。修学旅行のしおりには「宿泊先のホテルはアメニティ完備」と書いてあったので、荷物を極力減らしたい私は当然の如く、シャンプー類を持っていかなかった。
ホテルに到着。全面ガラス張りのシャワールームを見てラブホやん!!と友達と騒ぎつつアメニティに目をやる。
大理石の洗面台に置かれた3つの金色のパウチ。シャンプー・コンディショナー・ボディーソープだな、と特に気にも留めなかった。
いざ風呂に入り、シャンプーを手に取る。
開封したのち、PANTENEのCMのように優雅に髪を洗い流す。
そして、別の袋を手に取るとボディーソープ。
あ、こっちか。
手を伸ばし掴んだのはシャンプー。
???
ん?
どこを探してもコンディショナーがない。
このままでは髪がギッシギシになる。当時は腰あたりまで髪があったので、コンディショナーがないのは死活問題であった。
フロントに電話をかけ、コンディショナーがない旨をしどろもどろの英語で伝える。申し訳なさそうにWe apologize for the inconvenience. と言われ、新たな金色のパウチを渡された。
はーやれやれとシャワールームに戻り、封を開けかけた。
電話で口籠もってしまった私も悪い。英語だから、外国だからとビビってどうするのだ。何のために某国際科なんてところに入ったのだ。英語漬けの監獄生活は今ここで実力を発揮するためであろう。曖昧な表現が美徳とされるのは日本だけであろう。自分の意思をはっきりと示すことも時には大切だ。
だがしかし。
これはどうするのが正解なんだ。
そんなことを考えつつ、ただ呆然と見つめることしかできなかった。
手の上で光り輝く、三つ目のシャンプーを。
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