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SPYAIRよ永遠なれ

今日、SPYAIRのVo. IKEさんが脱退すると発表があった。
電車の中で携帯を落とし、ただ呆然と立ち尽くしていた。そこからどうやって帰ってきたのか今ひとつ覚えていない。

SPYAIRに出会ったのは10年前。小学生の時だった。友達がいなくてクラスで浮いていた。誰かと話すのも顔を見られるのも苦痛で、夏場でも毎日マスクをして行った。ペアを組んだり、グループで何か作業するときも誰とも組めず、一人だった。

授業中はまだしも、休み時間や給食、掃除、登下校は地獄のようだった。自分だけ離れたところで俯いていて、誰かがコソコソ話している声は全て自分の悪口に聞こえた。

クラスで人気のあるいわゆる一軍のような男子に、隣の席になったときに舌打ちされ、仲間外れが悪化したことも、修学旅行で同じ班になった子に「嫌かもしれないけれど仲良くしなさい」と担任が言っていたことも、もう10年も前なのに、昨日のことかのように覚えている。行きたくなかった。しかし行きたくないなどと言えるわけがなく、頼れるところはなかった。

ようやく春休みに入り、学校から解放されたある日。やや歳の離れた従兄弟とCDショップに行った。従兄弟はガンダムが大好きで、アニメの主題歌のCDを買いに来たという。アニメ盤と通常盤両方買い、家に帰ってから二人で両方開けた。

フィルムを恐る恐る剥がし、新品のCDに触れたのは初めてだった。それがSPYAIRの6枚目のシングル、「My World」だった。

https://www.youtube.com/watch?v=HE6p0UzVNhs

僕が僕であるために…
失っちゃいけないモノはなに?
簡単にでない 答えは 辛くて苦しいよ

SPYAIR 「My World」より引用

サビのこの部分を聞いた瞬間、心が震えた。よくある「頑張れ」だとか「君ならできる」だとか、そんな歌詞も勇気をくれる。しかし、当時の私にはそんな歌詞は辛かった。

世の中には沢山そういう歌があったのかもしれない。しかし、所詮小学生の知る範囲の音楽なんて、テレビで流れてる、学校で流行っている、もしくは親の車で流れている、そんなものだろう。

故に、辛い、苦しい、と言ってくれる歌がある。
それだけで、とても、とても嬉しかった。

そこからSPYAIRに夢中になった。貯めていたお年玉を使って、リリース済みのシングルを買った。従兄弟と一緒にガンダムを見た。サムライハートを聴いて、銀魂も見た。死ぬほど大笑いした。次第に家の中で笑えるようになった。学校も、休まず最後まで通った。マスクも外した。友達もできた。

中学に入り、自己紹介欄に好きなものを書くスペースがあった。こういう自分のことを主張するものを作るときは、今までであれば、自分がなにが好きか分からなかったし、何か書いて変に思われないだろうか、揶揄われたりしないだろうか、と不安でいっぱいになっていた。だが、迷いなく「SPYAIR」と書けた。自分の好きなものに自信を持てた。

それからの学生生活はいつもSPYAIRと共にあった。家の中、登下校の長い道のり、試合前に気合を入れる時も、負けて悔し涙を流した時も、受験も。365日、毎日聴いた。3枚目のアルバム、MILLIONなんかは歌詞カードがボロボロになりすぎてもう一枚新たに購入した。ようやくできた友達に勧めて、好きになってくれたときは死ぬほど嬉しかった。

そして2017年7月29日。富士急ハイランドで行われたJUST LIKE THIS 2017。
一人でライブに行った。夜行バスを乗り継ぎ、山梨県まで行った。楽しみすぎて眠れなかった。生の歌声は、筆舌に尽くし難いほど素晴らしかった。豪雨の中、会場と一体になり楽しんだ。途中イヤモニが壊れて、最初は音と歌がズレて始まった、サムライハートは今まで聞いたどんな曲よりも素晴らしく、美しく、涙が止まらなかった。あのサムライハートは伝説であろう。

https://www.youtube.com/watch?v=KpM6xNAgRoI


偶然だろうが、My Worldをリリースした日から6年後の同日、2018年3月14日にJLT2017のライブ映像が発売された。買ってから数ヶ月間、毎日見ていた。今でも、辛くなったときに必ず見ている。

そして2021年12月4日。神戸国際会館こくさいホールに行った。地元神戸に来てくれるだけで舞い上がった。就活帰りで、到着は時間ギリギリになったので、グッズを同伴に任せ、リクルートスーツで走って会場に向かった。力強い歌声と、パワフルな演奏に鳥肌が立った。スーツの上からパーカーを着て、拳を高く掲げ、頭を振り、これ以上ないほど滾った。終わってからも高揚感が抜けず、セトリのプレイリストを作って爆音で聴きまくった。

まさかあれがIKEさんに会える最後の機会になるなんて思ってもいなかった。

IKEさんの力強い歌声にどれだけ救われたか。楽しい時も、辛い時も、落ち込んだ時も、嬉しい時も、いつもどんな時でもIKEさんの歌に支えられた。本当に、今までありがとう。感謝してもしきれない。あなたの歌が、大好きだ。
どうかお大事になさってください。

SPYAIRはここで終わりなんかではない。UZさん、MOMIKENさん、KENTAさんがいる限り、これからも、SPYAIRは前に進むと思っている。もし3人でライブをやってくれるのであれば、どこへだって行くだろう。
今までの曲が、これからも私を支えてくれることに変わりはない。いつも通り、聴き続けるだけだ。SPYAIRがきっかけで、ロックが好きになった。バンドが好きになった。様々な音楽に出逢わせてくれてありがとう。


原点にして頂点のSPYAIRへ。


永遠のヒーロー達へ。


これからも、一生ついていきます。心の底から、愛しています。

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