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ワインとドラマ

ドラマや映画にワインが登場すると思わず身を乗り出してしまい、何を飲んでいるのか、ワインについて何か語るだろうかと気になり、肝心のストーリーが頭に入らないことがあります。

米ドラマ『メンタリスト』シーズン4第14話はまさにそんな展開。

『メンタリスト』の概要はこちらです。http://www.superdramatv.com/line/mentalist/story/

あらすじは、ナパ・ヴァレーと思われるワイン産地で小規模ワイナリーを経営する女性イヴに、彼女にダンスを教えていたダンス教師の男性を殺した容疑がかかり、主人公パトリック・ジェーンが直感的にイヴが無実だと判断し、おなじみの鋭い観察眼を駆使して事件を解決するというもの。

捜査の一環で、ジェーンはイヴのワイナリーを訪れ、テイスティングルームに行って赤ワインを試飲する。試飲カウンターで対応するのはイヴの妹グレッチェン。このとき彼女は"That's a new Cabe."と言っているように聞こえます。カベルネ・ソーヴィニョンをこのように略して呼ぶのですね。

新作カベルネ

姉と違ってワインにあまり興味がなさそうなグレッチェンは、赤ワインを白ワイン用グラスに注いでしまいます。しかもボトルをわしづかみにしてドバドバとグラスの7分目ほどまで大盤振る舞い。

雑に注ぐ妹グレッチェン

ワインが跳ねあがりそうな勢いに、さすがに手で制止するジェーンの様子がちょっと笑えます。もし私だったら「こんなに注いでもらってラッキー♪」と喜んでしまいますが……。


余りに多く注がれ止めるジェーン

グレッチェンの雑な対応にややひるみつつも、見事な味わいのワインにうっとりしたジェーンはテイスティングコメントを語ります。

"It's beautifully earthy with a hint of acid."

テイスティングコメントするジェーン

するとそこへ保釈中のイヴがやってきて、ワインの余韻についてジェーンに問いかけます。

"Do you notice a Tobacco noted at the end?"

イブ テイスティングで付け足す

人間観察眼の鋭いジェーンのことですから、きっとワインについても繊細かつ鋭敏な感覚をもっているのでしょう。

ちなみにダンス教師を殺害したのはイヴの長年の親友でありワイナリー運営の片腕の女性ダイアンだったという、やるせない結末です。動機は、イヴのワイナリーが大手企業から投資の誘いを受けていたのに、「大型化するより、小規模ワイナリーとして優れたワインを造り続けたい」と投資に後ろ向きだったイヴへの怨恨でした。黒髪のダイアンは金髪のウィッグをかぶって遠目には金髪女性つまりイヴに見えるよう偽装してダンス教師宅を訪れ、イヴを殺人罪に陥れようと仕組んだのです。このような殺人事件にまで発展することはないにしても、素晴らしいワインを造る小規模ワイナリーが大手の投資話に揺さぶられる事態は実際にあるかもしれません。

ジェーンをうっとりさせたカベルネ・ソーヴィニョンはどんなワインだったのでしょう。ドラマのテロップにはロケ地や撮影協力したワイナリー名が登場しないため予想もできませんが、こんなふうにドラマを味わうのも楽しいものです。

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