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【一問一答】子供の不登校について。

代表の橘が読者や社員からの悩み相談に答えていくコラムです。

仕事・プライベートにかかわらず社員のみなさんの悩みが少しでも解消され、みなさんのより良い人生と更なる成長につながることを願って定期的に綴っていきます。それではいただいたご相談に答えていきます。

【質問】

自分の子どもが色々と理由をつけて学校を休みがちです。知人の子どもは完全に不登校になっています。

このままだと、普通の社会人人生を歩めなくなるのではないかと子どもの将来が不安でたまりません。どのように受け止め、そしてどのようにアドバイスすれば良いでしょうか。


【答え】

不登校の原因と対策は、後に述べるように、いろいろと研究されています。その中で、まずご両親自身が、慌てずに落ち着いて対応することが大切だと思います。

やはり親子は色々な面でつながっています。不登校の原因として、子どもに何かの不安がある場合に、親にも不安や焦りがあれば、両者の不安が共鳴・増幅する可能性もあります。

また、第三者から見れば、何かしら家庭環境に不登校の原因がある場合もあります。具体的には、後に、不安や焦りを抑制する方向を述べますから、それを実践して、落ち着いて対応するようにしましょう。

さて、不登校の問題は非常に多いため、その対策もまた、色々と研究されています。そこで、自分でも、まずそれを勉強してみましょう。信頼でき、わかりやすいネットの情報・書籍などがありますよね。

一般的に言えば、子どもに丁寧に耳を傾けて温かく受け止め、不登校に至った要因(発生要因)や不登校を継続させている要因(継続要因)を心理面・学校環境・家庭環境等の視点から多角的に理解して多面的な支援を行っていくことなどされています。

心理面では、不登校の要因となる不安感を取り除く心理学的なアプローチがなされることがあります。学校環境・家庭環境の面では、子どもが安心できる環境を整えることです。専門家の視点から見ると、学校環境だけでなく、両親が気づかないうちに、家庭環境に原因がある可能性にも留意する必要があります。

学校側においては、早期の対応、家庭訪問、個別指導が望ましいとされ、学校毎にスクールカウンセラーが配置され、教室に入れない生徒は保健室登校や、教育支援センター(適応指導教室)などの教育環境が提供されて学習指導などが行われることもあります。保護者は、不登校に詳しい学校や行政の担当者、スクールカウンセラー(臨床心理士・公認心理士)に相談し、専門的な視点から解決していくことが望ましいとされています。

なお、登校を促す適切な方法は一律ではなく、生徒によって、ケース・バイ・ケースで複雑であるとされていますから、専門家との相談は重要です。

一般的に言われる有効な対策は、これまでの調査研究では、①学校側が、家庭訪問を行い、相談に乗って指導・援助する、電話をかけたり迎えに行く、②スクールカウンセラー等が、専門的に指導する、③保健室等特別の場所に登校させて指導にあたる、④保護者と協力して家族関係や家庭生活の改善を図る、などだと思います。

また、専門家と相談する中で、うつ病、パニック障害等の精神疾患が、不登校の原因でないかは用心深く判断して、万が一に、その可能性があれば、専門医に速やかに受診することが望ましいとされます。精神疾患は、若いうちに発症することが多く、再発も少なくないので、早期発見早期治療は重要です。しかし、10代のうつ病患者は、反抗的とか怠惰と誤解され、疾患に気づいてもらえない場合も多いとされます。

進学面は、出席日数と関係なく、学校側が進級・卒業させることが一般化していますし、中卒認定で高校進学・就職も可能で、高卒認定に合格すれば、中卒でなくても大学受験も可能です。色々な意味で、不登校児の進学の選択肢は広がっています。

また、学力面では、前に述べた、保健室登校や教育支援センターに加えて、学習塾・予備校、家庭教師、学習参考書・問題集を活用して、無理のない範囲で基礎学力の遅れを和らげる方法があります。こうして、挽回する方法はいろいろとありますから、不安や焦りを持ちすぎないようにしましょう。

さて、一般論としての対策について簡単にまとめてみました。ここでやはり、今後この問題に向き合うご両親の心の状態が一番重要だと思います。ご自身の過剰な不安・焦りを抑制し、落ち着いて粘り強く事に当たることです。そのために役立つものとして、最新の心理学「ポジティブ心理学」の見解をベースにお伝えしたいと思います。

第一に、今の状況にポジティブな意味を見出すことです。物事は苦楽表裏、万事塞翁が馬の一面が確かにあります。言い換えれば、万事は、心の持ち方、物の見方、捉え方次第で、感じ方が違ってきます。すなわち、今のこの現状に、前向きな要素や自分にとっての利益を見出すのです。

一般に、苦しみ・困難は、自分を人として成長させる機会と言うことができます。そして、同じような困難・苦しみを持つ人の気持ちを理解して、手助けする優しさと言う大切なものを培う助けにもなります。それは、人間を大きくし、人としての幅を大きくします。こうした意識的な思考の方向転換が、心を不安や焦りから解放させ、前向きなものにするために効果的です。

また、心の状態は体と密接に関連しており、前向きな心の状態を持つことを助ける体の使い方が色々とあります。例えば、上を向いて歩くこと。姿勢と心の状態は関連しています。下を向いてうつむいて歩いていると、気持ちも鬱々としてきます。胸を張って、上を向いて空を眺めたりして歩くことで、気持ちも明るく前向きになります。

また、呼吸法があります。深いゆったりした呼吸をする腹式呼吸が、効果的です。不安なときには浅い胸式呼吸になっていますから、腹式呼吸をすることで不安を取り除くことができます。腹式呼吸でゆっくりと深い呼吸をすることで、脳内にセロトニン神経物質が分泌されるため、心が穏やかになり、不安やイライラが軽減され、うつに効果があるといわれています。

そして、呼吸に意識を向けることは、「今・ここ」に意識を当てて、いわゆるマインドフルネスの状態にもなり、過去や未来に過剰にとらわれ、後悔、不安、心配から心が解き放たれやすくなります。

マインドフルネス瞑想は、最近は大手企業でも導入されるようになって話題となっていますが、ストレスを和らげる効果があるとされますから、これを試してみてもよいでしょう。これは、自分の心や体を自己客観視するものです。

さらに、自然とのつながりを持つことも有効です。ある実験の結果、天候の良いときに20分以上、戸外で過ごした人は、前向きで肯定的な感情が強まり、思考領域の拡大が見られました。気候の良いときに外で時間を過ごす人は、ポジティブ感情が高く、視野の広い考え方ができるという結果は、他の調査でもあります。

どのような進路を進むにあたっても、心身の健康が全ての基盤になります。そしてどのような結果となったとしても、その時できうる全てのことをしていれば後悔の念はでないのではないでしょうか。


頑張ってください。心から応援しています。

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