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【一問一答】働く意味について

代表の橘が読者や社員からの悩み相談に答えていくコラムです。


仕事・プライベートにかかわらず社員のみなさんの悩みが少しでも解消され、みなさんのより良い人生と更なる成長につながることを願って定期的に綴っていきます。それではいただいたご相談に答えていきます。

【質問】

なぜ働かなければならないのか。生活保護でもやっていける今の時代。
無理して会社に勤めて、まっとうに働く必要はあるのか。
そこまで頑張って仕事をする意味が分かりません。

例えば、「楽をして稼ぐ」だけを考えれば、
20代の貴重な時期は港区女子やパパ活をしながら自分の身体という資産を有効活用したほうが楽に稼げると思います。どう思いますか。
(20代、女性社員(入社3年目)

【答え】

「若い頃は苦労は買ってでもしろ」と言いますが、
人生全体にわたって幸福に生きることを考えてみると、自分の心身を鍛錬することは、たいへん有益だと思います。

心身を鍛錬することは有益と言いましたが、特に脳機能に関してお話したいと思います。
まず、最近の脳科学の発見では、人は何歳になっても、絶えず新しい脳神経細胞が生まれているが、脳を使っていないと(鍛錬しないと)、脳神経細胞は、定着せずに失われていくことが判明しています。

すなわち、脳は適切な鍛錬・労苦で、成長する存在だということです。
これを言い換えれば、過ぎた安楽は、脳の成長を阻み、機能低下、老化の開始を早めることになります。鍛錬せずに放置した場合は、30歳ごろから機能が低下し、40歳ごろになると、自分でも感じられるようになると言われています。

次に、同じ脳を鍛えるにしても、20代のより若いうちが、
より効率的に、脳機能を成長させることが出来ることは間違いありません。
実は、何歳になっても、新しい脳神経細胞が生まれ、体の筋肉と同じように、脳も鍛錬することで、廊下を防ぐことができるということが発見されたのは、1990年後半の比較的最近の発見です。

その前は、脳は20代・30代から、鍛えようと鍛えまいと、
老化する一方であるというのが常識でした。それだけ若いころの方が、脳神経細胞の形成を含めた、脳の働きは活発だと言うことですね。(加齢と脳機能の関係の脳科学の理論に関しては、脳科学者の中野信子さんや、和田秀樹氏などが、一般人にわかりやすい一般書を出版され、人気がありますので、ご関心があれば一度読んでみてはと思います)。

そして、労働は様々な意味で脳の鍛錬に役立ちます。
労働における様々な他人との協調作業=人間関係を含めた様々な作業は、脳科学的に見ると、脳を鍛える上でもっと基本的で有効なものだとされています。人にとっては、他人とは、あくまでも未知な存在です。

ですから、人間関係において、脳は、五感と記憶・経験・知識をフル活用して、相手を理解し、自分がどう行動すれば、自他ともに幸福になるかなどを考えますね。これが、脳の鍛錬になるのです。つまり、筋トレジムなどで、筋肉を鍛える人も、筋肉に負荷をかけ、その習慣は苦痛を味わいますが、それが筋肉の強化につながることと全く同じです。

人間関係がストレスがという話はよく聞かれますが、言い換えるならば、
脳の鍛錬になっているわけです。これに関連して、脳科学では、人の脳を成長させるものは、困難に立ち向かうチャレンジングな生き方であるとしています。困難とは、今の自分の脳の機能では、直ちには解決できない問題があるということですね。

ですから、その際にこそ、脳は、普段自分にかけているリミッターを外してフル活動し、その結果として脳は成長していく仕組みがあるのです。ここで注意すべきは、筋トレをする人と同じように、労働・人間関係・困難の克服といった作業を自分の成長と長期的な幸福をもたらす者として、喜び(感謝)をもって行うか、それとも、給料を得る代わりに、自分を疲労・消耗させるものだという否定的な考え方を持って行うか、ということです。

脳科学では、感謝の心は、エンドルフィンやオキシトシンという幸福ホルモンの分泌を促進し、心身の健康、脳機能の強化(特に記憶力や目標達成力に関する脳の海馬)させます。
一方、継続的な否定的な考え方・感情は、コルチゾールと言うストレスホルモンの分泌を恒常化させ、心身の不健康と脳機能の低下を招くことが分かっています。

そして、困難に出会った時に、それが自分の成長のためになると考えて、前向きにチャレンジし要とすれば、先ほど述べたように、脳はフルに活動して成長していきますが、逆に、困難を嫌がるばかりで、その克服を諦めてしまえば、当然脳も活動せずに、その機能が低下していくことになります。

こうして、働くことを自分の喜び、感謝として行うことは、働くことの利益を更に増やし、自分の利益になる一方で、嫌々やっているばかりでは、働くことの利益を減らしてしまう面があります。前向きな心が、脳や体に肯定的な結果を、後ろ向きな心が、脳や体に否定的な結果をもたらします。心と体は密接不可分に繋がっているということですね。
また、労働に限りませんが、人は、社会的な交際がなくなって孤独になると、脳機能が衰え、集中力、認知力、精神状態、健康状態が悪化します。

その結果、アル中・ヘビースモーカー・慢性疾患と同じように、孤独は、生存確率(寿命)を減少させるという研究結果があります。そして、高齢期の認知症を予防するためにも、労働が第一の基本的な対策だと言われています。

そして、ご質問にあった生活保護に関してですが、その専門家によれば、必ずしも生活保護を受給しなくてもいい人が、生活保護を受けてしまうと、その安楽の中で堕落してしまい、それ以降成長できなくなり、その後生活保護を脱却していくことは難しいと言います(もちろん、必要な人が必要な期間、生活保護を受給ことは重要であり、無理をして受給しないことは逆に問題を招きますから、この点は注意が必要です)。怠惰は麻薬のようなもので、「ただほど怖いものはない」ということですね。

パパ活をしながら自分の身体という資産を有効活用したほうが、楽に稼げると言う考えについても同じで、女性が若さ・容姿で楽に稼げる期間は、やはり20代を中心とした、短い期間です。その間に自分の心身の力、脳の機能、人格を鍛えておかないと、その後が大変になると思います。特に女性は、30代(前半)が一つの曲がり角になる事が多いです。

20代は、まだ若くて希望があっても、その時期に自分をしっかり鍛えることができない人は、30代に入ると、今後の人生に不安を感じるようになり、鬱傾向さえになる人が少なくないようです。その意味で、先ほども述べましたが、20代は非常に貴重な時間ですから、大切にしたいものです(にもかかわらず、油断していれば、時間はあっという間に経ってしまいますね)。

昔から「美人薄命」という言葉があります。この言葉には色々な含みがあると思います。
女性の美しい期間は短いという意味とも解釈できます。また、若いうち男性にちやほやされて慢心・油断に陥っている間に、自分の能力・人格を磨くことがないと、年を取った時の喪失感が普通の人より逆に大きくなり、心身の病などに繋がって、短命に終わる可能性をも意味しているかもしれません。

たとえて言えば、木に高く昇れば気持ちは良いが、落ちた時には逆に大きな怪我をするのと同じことです。こうして、今の刹那の安楽が、長期的に見ると堕落となり、自分の成長を阻んで老化を早め、不幸を招く。逆に、今の労苦を自分を鍛える喜びとして行えば、心身の成長に繋がり、老化を阻み、長期的な幸福をもたらすということですね。若いうちは苦労は勝手でもしろ、と言うのは、このことを意味した格言だと思います。

最後に、こうして多くの場合に、何かの良いことの裏には、悪い事もあり、何かの悪い事の裏には、良いことがあるという見方は、苦楽表裏とも言います。

素敵な一日をお過ごしください。

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