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【一問一答】リーダーに求められる要素とは。

代表の橘が読者や社員からの悩み相談に答えていくコラムです。


仕事・プライベートにかかわらず社員のみなさんの悩みが少しでも解消され、みなさんのより良い人生と更なる成長につながることを願って定期的に綴っていきます。それではいただいたご相談に答えていきます。

【質問】
リーダーに求められる要素とはなんでしょうか。
(30代男性)

【答え】

私の10年の短い経営者経験だけではなく、様々なこれまで出会ってきた数多くの経営者様の考察と、文献をお調べしたうえで私なりにお答えできればと思います。

まず、リーダー(leader)とは、支配者=ルーラー(ruler)とは違うそうです。


人間には誰しもが他人よりも自分を優先する自己愛・自己中心性の欲望があります。それは自分が他者より優れた、価値がある存在でありたいと言う欲求を含んでいます。支配者の支配欲とは、他者を自分に奉仕させることで、その欲求を充足させるものです。リーダーとは、集団を文字通りリードする=先導する者です。普通一人だけを先導する場合はリーダーと言わず、集団を先導するのがリーダーですから、そのために集団を統率する側面をリーダーは持っています。

よって、まずリーダーは、その集団をリードしていく先の魅力的な目標・目的を明示することが、そのメンバーを引き付けるために必要です。自分の集団の目標・目的・意味・役割は何であるか。

そして、それがいかに重要であるか。それを絶えず自分でよく考え、創造し、そして、メンバーに明解に伝え、対話していく必要があります。その目標・目的に関係しては、あなたのグループのメンバーとなる人が、人間として何を求めていると言うことを踏まえて、それと結びつけてそのグループの目的・目標を魅力的なものとなるように考える必要があります。

この点に関連して、マズローと言う著名な心理学者が説く人間性心理学においては、人間の欲求には階層があり、基本的な欲求とより高度な欲求として、物資的な欲求と精神的な欲求、外的な欲求と内的な欲求、欠乏を充足する欲求と成長欲求などの分類があります。

そして、各種の欲求の階層を現したものとして、生理的な欲求(生存の欲求)、安全への欲求、社会的欲求(所属欲求=居場所を求める欲求)、承認欲求(集団の中で自分の価値を認められる欲求)、自己実現欲求(自分らしい生き方・自分の役割を見出してそれに生きる欲求)、自己超越欲求(自分と言うものを超えた欲求)です。

あなたのグループが、一般の営利企業のものであれば、それは物理的に生きていくために必要な財物を確保すること(上記の生理的欲求・安全の欲求)が第一となりますが、加えてそのグループがそのメンバーにとって自分の居場所(コミュニティ)の機能を果たし、その中で自分の価値をほどよく認めてもらえる承認欲求の充足の場となれば、それはより魅力的なグループであり、それを先導・統率するあなたのリーダーとしての魅力も増大することになります。

これらの欲求は集団の中で生きる人間が渇望しているものであり、それを欠乏欲求などともいわれます。所属欲求・承認欲求が満たされない場合、その人は孤独感や寂しさに苦しむことになり、心身の健康に大きな害悪となることが最近の調査で分かっています。

最後に、自己実現欲求や自己超越欲求等を含む成長欲求があります。人はだれしも、単に集団の中で幸福に生きていくだけではなく、成長したいと言う欲求があります(そのような遺伝子があるとされています)。そのグループのメンバーでいることを通じて、自分が様々な意味で成長出来ると感じれば、あなたのグループとリーダーとしてのあなたより魅力的な存在となります。成長というのは色々な意味がありますが、人はそれぞれ個性がありますから、その意味で自分の個性を活かした、この世界での役割、すなわち、個々人の人生の意味に気づいて、それを実現することも一つです。

さて、こうした人間としての様々な欲求を踏まえて、具体的なあなたのグループの目的・目標を魅力的なものに定めたならば、あなた自身がそれを自ら率先して行うことが必要です。

リーダーとは文字通り、他人をリード=先導するものです。一方、他人が、あなたやあなたのグループのために何かをしてくれるのを待っているだけでは、リーダーではなく、ルーラー(支配者)です。

そして、そもそも、自分と他人は全く別の存在ではなく、色々な意味で繋がった存在であり、自分の行動を持って、自分と連動する他人を動かすのです。よって、あなたが、部下が思うように動いてくれないとばかり考えているとしたら、部下に対して怒る前に、それが自分の心や行動となにかしたら連動したものではないかと謙虚な気持ちで自分を内省してみることが大切です。

こうして、リーダーは、自分自身と、自分のグループのメンバーの双方のために行動します。これは、言葉を変えれば、自らの行動によって、グループのメンバーを育成するという思いやりの気持ちを持つことを意味します。

ではどのような心構えや行動が、リーダーに必要かという点については、山本五十六という、リーダーシップに非常に優れていたとされる旧日本軍の元帥の以下の有名な教育における名言があります。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

ここで、最後に感謝というキーワードが出てきます。メンバーの成長のために奉仕することから始まって、最後はメンバーの存在に逆に自分が感謝、尊重の気持ちを持つということです。

人には、自分の価値を認めてもらいたいと言う気持ちがあります。メンバーへの傾聴・承認・委任・感謝・信頼等を通して、その存在の価値を認めて尊重することは、あなたを魅力的なリーダーにする非常に重要なポイントとなります。

そして、この感謝は、あなたのグループが大きくなればなるほど、非常に縦横な意味を持ちます。昭和時代の稀代の実業家であるパナソニック(旧松下電器)の創業者である松下幸之助も、100人程度の比較的少人数の社員を統率するためには、自分がその全体をよく監視し、こうしろああしろと指示命令を出せばよいが、1000人ほどの社員に動いてもらうには、その全体をくまなく監視指示命令はできないから、そこには、社員への感謝が必要になる。1万ほどの社員に動いてもらうには、社員を崇むほどの感謝が必要だと述べていました。

是非、素敵なリーダーをともに目指していければ嬉しいです。

素敵な一日をお過ごしください。


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