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語学学習では近道をしようとするほど遠回りになる

あいかわらず、「最短、最速、最も効率的」、「世界一やさしい」、「まったく新しい」、「○○か月で完成」のような、学習者の怠惰に付け込む英語系のサービスは乱造されています。そのようなサービスをつかってまったく成果が出ないとまでは言い切れませんが、少なくとも、語学学習の全体像を俯瞰的に見た場合、皮肉にも、「最短を目指すと遠回りになる」ことになります。今回の記事では、地道に長期的な目線で語学学習に取り組むことが、結果的に効率がよい学習法であることを説明します。

最短をうたうサービスの特徴

根拠のない謎の否定から入り、「たったひとつのあること」をするだけで英語がグングン♪上達、ネイティブレベルに!という話法を使うのが特徴です。一般的な情報商材と同じで、ホントはたいした中身がないにもかかわらず、フロントエンドで盛りに盛り、潜在顧客の興味を引き立てることを至上命題としています。

怠惰に付け入る、私でも出来そうという気持ちにさせる手法が用いられることもあり、たとえば、「スマホで毎日30分動画を見るだけでペラペラに」のような、顧客側のベーススキルに依存しない軽作業ででできることがうたわれることもあります。受け身で何かするのはラクですから、動画を毎日見るだけで英語が上達と言われれば、刺さる人には刺さります。

英語学習に省略可能な項目はない

このように、負担のないラクそうな手段を見せることが粗悪系英語サービスの特徴なのですが、これはしばしば、「一点突破」、「○○に特化」のような、なんだかそれっぽいワーディングに置き換えられます。

ただ僕は、○○に特化!という英語学習サービスを信用しません。英語学習の全体像を把握し、優先順位をつけてステップバイステップで取り組むというのはきわめて王道なのですが、これは決して、「何かをばっさり捨てて一点集中する」といったやり方ではありません。

そして、○○に特化!という手法の質が悪い点は、切り捨てられた方があたかも悪者扱いされる点です。たとえば、文法、語彙は一切不要!話すことに特化!といううたい文句もよくありますが、文法や語彙はいらない。やるだけ時間の無駄である、と解釈されかねません(もちろんそんなことはありません)。

俯瞰図を見せるのが「ふつう」の英語指導

では、親切なやりかたはどうなるかというと、まず全体像を見せて、これが英語学習の俯瞰図です。と伝えます。その後、ここから始めます。それぞれの段階をクリアするのに、だいたいこれくらいの時間を要します、と説明します。その際、お客さんは、「めちゃくちゃしんどいやん」と思うと思いますが、それはその通りで、英語学習は時間のかかる、挫折する可能性も大いにあるしんどい道のりであるというのが、本当のことだからです。

ちなみに、入口を狭くして学習者に最初に取り組ませる課題を選ぶことは良いと思いますが、これは、「たったひとつのあること」と似て非なるもので、入口を整えてそこから多方面に派生させる、という意図であり、決して、ただひとつのことだけすればオッケー、ということではありません。

具体例で説明すると、たとえば、僕は発音学習から始める英語学習のやり方には賛成です。発音学習の最初の過程である音素の習得は英語とはほとんど関係なく、単なる音の出し方ですが、発音学習を発展させ、音節、単語、チャンク、文、文章と発展させるに従い、だんだんと英語の意味や語彙に領域が拡大していきます。

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