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定冠詞theの解説をできるだけ詳しく

定冠詞のtheは、学習者、特に冠詞というものになじみがない日本人学習者にとって、非常にとっつきにくい存在です。theはひとことで説明すると〇〇だ!みたいな、極端な抽象化を平然と行うネット上のコンテンツが多く、かつ、その中で言っていることも千差万別なので、混乱を招きかねません。

まあ、Theとは一言で言うと何か、という問いには答えることは可能で、それは、「ただひとつ、例外なし」というものです。これは間違っていないですし、また本質的な回答なのですが、実際に目にする具体例で、なぜここにtheが付くのか、あるいはつかないのか、ここでtheを付けるべきか、付けないべきか、という悩みは常について回ります。この記事では、theに関する理解を系統的にまとめるために、なるべく詳細に具体例を交えてtheを説明します。

theはただひとつ、例外なし、というのはある意味「原則」になります。原則というのはルーツのことであり、そこからいろいろな方向に派生して、さまざまなtheの使われ方が表に現れてくるわけです。ここでは、その「さまざまな使われ方」というのを説明します。

※「ただひとつ、例外なし」とは、組み合わせが1パターンで、それ以外に考えられない、という意味です(が1つではなく、組み合わせが1つ)。場合の数と言ってもよいと思います。

指示代名詞的に使われる場合

指示代名詞のように the が使われるパターンです。すでにコンテキスト情報が仕上がっていて、それを再度指すときに使います。コンテキスト情報があるため指示内容がぶれることはなく、ただひとつで例外なしという原則とも矛盾しません。

世の中に有限個しかない何かを総称する場合

有限個(数が限られている)のものを総称する場合、必然的に組み合わせは1パターンになりますから、the [総称するもの] になります。the five continents, the prefectures in Japan などです。

ここで、数の程度は関係ありませんから、絶対数が多いものでも the [総称するもの] で表現できます。

the people in Chiba: 千葉にいる人全員

などです。もちろん、all the people in Chiba として、「全員」であることを明示的に示してもokですが、all がなくても全員であることは伝わります。これは、the で該当者全員が指されるからです。

people in Chiba との決定的な違いはモブさの違いで、the people in Chiba の場合は名指しで千葉県民全員を指しているのに対し、people in Chiba は単なる一般論になります。結果的に「千葉の人」と訳されることになりますが、両者が伝えようとすることは全然違います。

また、具体的対象ではなく、抽象的対象でも明確な境界があり、内外を区別できるのであればtheで指せます。

the writing of English
英語のライティング

英語のライティングは具体的、物質的ではありません。ただ、英語のライティングと、英語じゃないライティングには明確な境界があり、英語のライティング側にある領域を「総称」するなら、the がつくはずです。

固有名詞じゃないけど、固有の何かを呼称する場合

これは、ひとつ前の、「有限個ある何かを総称するパターン」の n=1、つまり、有限個でその個数が 1 個の場合、というある種特殊なパターンと解釈できます。それしかなくて、それ以外にない場合、それを称すると必然的に総称することになります。

the biggest lake in Shiga: 滋賀の一番大きな湖
the northernmost point in Japan: 日本の最東端

ただひとつに限定される場合で、後ろから文脈を補う場合

これは、of や関係代名詞、同格の that などで名詞句などに制限を加えた結果、ただひとつのパターンに制限される場合です。文脈を後ろから前に供給するパターンと解釈できます。the なんとか、と説明し始めるタイミングで、その話者の中では何を指すかユニークに(=ただひとつ)固まっているのですが、そのタイミングでコンテキスト情報が足りないために、後ろから補うわけです。たとえば、

the important element of X
X の重要な部分

などは、of X という説明がないとコンテキスト情報が足りません。後ろから説明しているため、話者が指す対象と聞き手が受け取る対象が同一のものになります。

ちなみに、この、最初に the でアンカーを固めて後ろからつらつらと説明するというやり方は、かなり頻繁に発生します。

まさにこれ!ってやつをいう場合

いわゆる、いかにも、典型的、というものを指すときには the の出番です。いかにも〇〇、ということは、それがユニークで唯一、ということですから、the で指します。

a Japanese accent: 日本語なまり
the Japanese accent: 典型的な、いかにもといった感じの日本語なまり

a Japaneses guy: 日本人男性
the Japanese guy: 典型的な、絵に描いたような日本人男性

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