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【旅行記1-3】春の北東北旅〜3日目〜

ノープラン

朝目が覚めると、確か6時くらいだった気がする。青森の宿を出発して、まず乗ったのは青い森鉄道線。ちなみにこの日から「青春18きっぷ」を使用している。青い森鉄道では、青森ー野辺地ー八戸駅で乗車・下車する場合に限り、「青春18きっぷ」の使用が認められている。

そういえば、野辺地で降りたことなくない……??

と言うことで最初の目的地は野辺地駅に決定。青い森鉄道の701系に乗車して、野辺地駅に向かった。

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野辺地駅に到着。向かいのホームには大湊線に向かう列車が停車中。キハ100形の2両編成。東日本の非電化区間でよく見かける緑の気動車である。乗り換え時間もすぐだったので、そのまま大湊に向かうことにした。

車内は意外にも混雑していた。下北半島へまっすぐ伸びる大湊線は、現在では日本で唯一孤立したJR路線となっている。今後、北陸新幹線の敦賀延伸開業に伴って、JR七尾線も同様に孤立したJR路線となる予定である。まっすぐに伸びるレールの上をキハ100形は軽快に駆け抜ける。陸奥湾から奥に恐山が見える。景色の良い路線を走ること1時間、下北駅で多くの人が降車した。終点の大湊駅より、下北駅の方が大きな駅のようだ。

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終点・大湊駅に到着。列車は折り返しの快速しもきた号となる。

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本州の果てまで来てしまったようだ。緯度で見ると本州最北端の終着駅である。かつては下北交通大畑線が本州最北端の路線だったが、現在は廃線となっているため、隣の下北駅が本州最北端の駅である。

次の列車までは1時間あるので、朝ごはんを食べて行くことにした。近くに朝からやっている「あらそば」というラーメン屋があると言うことで、住宅地を進むこと7分……

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住宅地の中に突如現れた赤いのれん。隣に止まっている車は仙台ナンバー。隠れた名店というやつなのだろうか。恐る恐る中に入ると、朝だというのに割とお客さんが入っていた。この店一押しだという味噌ラーメンを注文した。

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想像以上の量が出てきた。朝だし軽めに食べようと並盛りを注文しても、これだけの量が出てくることは想定できなかった。見た目は完全に二郎のそれである。そしてこのラーメン、めちゃくちゃうまい。スープもうまいし野菜もシャキシャキでうまいし、(写真では姿をひそめている)麺もうまい。全体的な完成度が高い、オールマイティーな味噌ラーメンである。そしてここに卓上の自家製ラー油を加えると、旨辛アレンジも可能。辛いものに目がない私にとっては最高のアレンジだった。

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ラーメンを食べていると発車時刻が近づいたので列車に戻る。後ろに恐山が見える。

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八戸行きの快速しもきた号は大湊線のまっすぐな線路を颯爽と駆けていく。陸奥湾沿いに走行するため、海がよく見える。内湾ではあるが、波は意外と高く、次々と押し寄せてくる。青い森鉄道の社員は気動車の免許を有していないため、野辺地駅から先の青い森鉄道線内も引き続きJRの運転士が運転する。

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終点の八戸駅に到着。奥には大湊に向かう快速しもきた号が停車中。八戸駅でキハ100形の並びが見られるのはこの時間だけだろう。

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ここで八戸線に乗り換え。車両はキハE130系。

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八戸駅から八戸の市街地を走行し、やがて海岸線に沿って走っていく。昨日まで青森の日本海側をレンタカーで走ってきたのだが、太平洋側を通るのも気持ちがいい。

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八戸から2時間かけて久慈に到着。ここで三陸鉄道に乗り換える。

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かつて連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台となった岩手県久慈市。その撮影でも使用された三陸鉄道の久慈駅は、作中では北三陸駅として登場する。

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やってきた気動車は新潟トランシス製の36-700形。この日はこたつ列車の運転日だったのだが、こたつ列車は1本前の便だったため、完全にニアミスしてしまった

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沿線からは太平洋がよく見える。海を見つめながら列車に揺られていた。少し山間に入って、新興住宅地を抜けていくと、終点の宮古駅に到着した。

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駅舎はJRと三陸鉄道の共同使用で、左手にKIOSK、右手に三鉄ツーリストが入居している。共同使用の改札を抜けて次に乗るのはJR山田線。

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JR東日本管内で最閑散路線として知られる山田線。宮古ー盛岡を走り通す列車は上下4本ずつしか存在しない。山田線と並行して走行する岩手県北バス「106急行バス」は、1日12往復運転されており、所要時間も山田線に比べて30分ほど短い。もはや勝ちようのない路線である

宮古側は国道106号に並行して進んでいく。先ほどの「106急行バス」と抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げていると、いつの間にかバスの姿はなかった。先を越されたようだった。

山田線秘境駅探訪

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区界駅に到着。そのまま盛岡に行っても良かったのだが、この日泊まる予定のネットカフェの時間調整のためにここで下車する。

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先ほどまで登ってきたキハ110形もここから下り坂に入る。

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駅前に出ると、盛岡市の看板があった。「区界」という名にある通り、ここは盛岡市と宮古市の市境になっている。

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両側を見るとどちらも下り坂になっていることがわかる。ここが峠のピークなのだろう。

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昨年までここにあった駅舎は取り壊されていた。砂利になっているところがその駅舎があったところだろう。左手にあるのが新しい駅舎、と言うよりは待合室である。

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中には机と椅子があった。何か作業するときに机のある待合室は非常にありがたい。空調はなく、冬の駅寝には向かないかも。

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時刻表を見てみると、1日5本しか止まらないようだ。山田線では速達型の快速列車が運転されているが、川内ー上米内間では停車しないため、特に本数が少なくなっている。

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ホームに出てみる。改修されたばかりで秘境駅の雰囲気はあまり感じられない。見えにくいが右側には線路の跡が見える。かつては交換駅だった区界駅だが、現在では1面1線の棒線駅になっている。

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宮古行きの列車が到着。実は区界駅を発車する宮古行きの列車は、この18:48発が始発である

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列車に乗って、2つ先の平津戸駅で下車。この列車はこの駅でも宮古行きの始発列車となり、その発車時刻は19:09。日本一遅い始発列車として知られている

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列車の明かりでギリギリ撮影できているが、列車が過ぎたあとは本当に真っ暗になってしまった。

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こちらの駅舎も非常に簡素なつくり。近年では固定資産税対策からか、閑散路線に残る駅舎を撤去して、簡素な待合室を新設する動きが全国各地で広まっている。

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駅前には「106急行」のバス停があった。本数ではボロ負けしていることが見て取れる。

平津戸駅ではもう一人降りた人がいたので話を聞いてみると、やはり同業者のようだった。山田線の秘境駅を巡っているところらしく、翌日走る臨時列車「宮古毛ガニ号」に乗車するとのことだった。その同業者とともに盛岡行き列車に乗り込み、平津戸駅を後にした。

区界まで再度坂を登り、区界からはどんどん下っていく。夜なので外の様子は伺えないが、坂を下っている感覚を感じた。上米内までは30分近くかかったものの、そこから盛岡までは意外に近く、15分ほどで終点の盛岡に到着した。

盛岡からは東北本線に乗り換えて北上まで。北上からは北上線に乗り換えて次の柳原駅で下車した。本日の目的地・柳原駅は、駅から快活CLUBまで徒歩7分と絶好のアクセスであることから、鉄道マニア、というより快活CLUBをこよなく愛する限界旅行者にはよく知られている。

ようやく"宿"に着くという安心感からか、歩くスピードが加速する。すると、背後から同じく競歩を始める人の気配を感じる。そしてその人は同じ方向にずっとついてくる。一度追い抜かれて、その人は丸亀製麺の店内に入ったが、10秒ほどで外へ出て、また競歩を始める。競歩を始められたら、自分も負けずにはいられない。数少ない快活CLUBの個室を巡って、醜い男2人の熱きバトルが繰り広げられた

先手を打ったのは、快活CLUBの知識と経験豊富な私である。競歩にも自信があったので、前方を闊歩するライバルを追い越し、真っ先に店内に入る。しかし、夜ごはんを食べていない。ここで入店してしまうと睡眠時間に影響する(快活CLUBでは割安で利用できる8時間のナイトパックが存在し、入店すると外出は自由だが、時間のカウントが始まってしまう)。そこで、一度席を予約することにした。時刻は21時55分。明日の出発時間も勘案して30分後の22時25分に予約を取り、近くのビッグボーイで夜ご飯にすることにした。

ビッグボーイの店内にも先ほどの男がいた。快活CLUBを諦めて、一旦夜ご飯を食べることにしたのだろう。私はすでに個室を確約しているので、もう焦る必要はない。しかし、30分でハンバーグが食べられるはずはなかった。そもそもハンバーグが出てきたのが22時15分。この時点で予約時間まであと10分。急いで食べてなんとか15分後の22時30分に快活CLUBに戻ることができた。

そのとき個室は3部屋空いていたようだった。たいそう無駄なバトルであった。こういう人が増えるから18きっぷのシーズンは嫌なんだよなぁ……

4日目につづく……

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