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スポーツアドミニストレーター・米原博章さんインタビュー

こんにちは。Tranquiメンバーの速水です。

今回のゲストは、スポーツアドミニストレーターとして大学スポーツ界発展に向けた取り組みをされている元棒高跳選手の米原博章さんです。どのようにして今の仕事を選んだのか、米原さんのキャリアを振り返りながらお話を伺いました。

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ーーーー元棒高跳選手の米原さん。どのような競技生活でしたか?

米原:中学から大学院までの10年以上、本当に夢中になって取り組みました。特に高校時代は、棒高跳界では強豪の観音寺第一高校(香川県)に進み、3年間、棒高跳のことばかり考えていましたね。この3年間が、僕の棒高跳の基礎になったと思います。大学は、筑波大学に進学しました。ここでは、図子先生のもと競技を行いました。自身の課題発見、それを解決するためのプランづくり、実践、評価と、コーチングやトレーニングの基礎を教えていただきました。

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米原:棒高跳界は、他の陸上競技種目に比べて、競技者同士の仲が良く、僕もこの競技を通じてたくさんの仲間に出会うことができました。これだけ棒高跳に熱中できているのも、彼らのおかげだと思います。

ーーーー大学院ではアメリカで棒高跳の指導を学びに留学されたそうですね。現地では、どのような学びがありましたか。

米原:テキサス州・ライス大学の陸上競技チームで10ヶ月間、選手として練習を行いながら、同大学陸上競技部のアシスタントコーチを務め、指導について勉強しました。トレーニング中、テクニックについてはもちろん、練習全体の流れや声かけの仕方などの細かいポイントまで学ぶことができました。トレーニングを通して、「この目的で練習をしたら、この技術の感覚が身につく」といった知識と感覚がスムーズに結びつくのがわかりました。毎回の練習の目的が明確で、この積み重ねが記録向上に繋がっていると実感しました。この経験から、初心者だけでなく、知識や経験の豊富な成熟した選手を伸ばすヒントをたくさん得ました。

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ーーーー留学中、指導者と選手の関係性について何か気付きはありましたか?

米原:日本の競技環境においても、トレーニング中の疑問や知識に関して指導者と話し合う機会はありますが、アメリカでは、その対話がより密に、そして質が高くできているなと感じました。また、指導者同士の情報共有や交流が活発に行われ、自分のチームの選手をよくするために、他大学チームの指導者から助言を受ける機会も多く見られました。

ーーーー棒高跳の指導を学ぶ中で、なぜスポーツアドミニストレーターの仕事を選ばれたのですか?

米原:棒高跳は施設や道具(ポール)に費用がかかるため、ある程度環境の整った学校でしか行えません。また、陸上競技の中でも空中動作といった技術要素が強く、専門的に教えられる指導者が少ないです。また教員が指導を行う場合がほとんどですが、校務の影響で、必ずしも、生徒にとって最善なスポーツ環境が整っていないと言うのが現状です。こういった課題は日本の学校部活動において、棒高跳びに限らず散見されます。そこで、日本の部活動環境をもっと良くしたいという思いから、スポーツアドミニストレーターの仕事を選びました。

ーーーー所属されている大学のアスレチックデパートメントでは、どのような取り組みを行っていますか?

米原:大学のスポーツに関わる総合的な窓口を担っています。主な仕事は、大会運営の企画や広報、資金調達、学生支援、チーム運営のマネジメントなど多岐にわたります。大学スポーツ環境の足りない部分を補っていくことで、運動部活動の可能性を広げることを目指しています。

ーーーー今年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大学スポーツ界も戸惑いが多かったのではないですか?

米原:今年度はネット配信を活用した試合のライブ配信やオンラインイベントを積極的に行いました。ライブ配信では学生が解説を担当するなど、これまでの枠に縛られない新たな取り組みを行いました。直接足を運ぶことの難しい遠方の方や国外の方にも大学スポーツの魅力を発信する良いきっかけとなりました。オンラインイベントは、スポーツでグローバルに活躍するゲストを招いたトークイベントや、eSports大会、オンライントレーニングセッションなどを行いました。学生生活をより面白くするために、スポーツにできることは何か、常に考えています。

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ーーーー2017年から、棒高跳指導者や選手、研究者が学び合える場所、ボウタカチャンネルの運営もされているそうですね。

米原:最初は、自分の持っている知見を残したいという思いからメディアを通じた発信をはじめました。そして、日本人選手の「もっと高く跳びたい」を叶えられるように、これまで、棒高跳びのテクニックや各国の大会の情報などを中心に発信していました。

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米原:そして、これまで続けてきた「ボウタカチャンネル」の活動をより、多くの人に届け、より良いものにしていきたいなという想いから2021年には、NPO法人化しようと計画しています。法人化することで、導書の発行やクリニック開催、指導者・選手同士の勉強会、交流など更に、女子選手やその指導者にとって欠かせない性差を考慮した指導や、高校生に向けたキャリアに関する内容についても取り組んでいきたいなと考えています。

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ーーーー最後に今後の展望を教えてください。

米原:”スポーツを通して幸せになる人を増やしたい”この目標は常に持ち続けながら、今後も学校スポーツ、棒高跳界に留まらず、様々な活動を行っていきたいと思います。学校スポーツで言うと、アスレチックデパートメントは日本の大学にも設置される動きが広がりつつありますが、規模はまだまだ小さいです。学生と大学、企業が協働したモデルケースを作り、学生アスリート、そして大学スポーツ界の可能性をもっと広げていきたいです。

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米原博章|Hiroaki Yonehara
・スポーツアドミニストレーター(筑波大学アスレチックデパートメント)
・棒高跳コミュニティー「Boutaka Channel」管理人
1993年生まれ、福岡県福岡市出身。
筑波大学大学院人間総合化学研究科を修了、「コーチング」をメインに、競技者の発達過程や認知について研究を行った。
中学時代から棒高跳を専門的に行い、高校(インターハイ 5位)、大学(日本Jr.選手権 2位)、大学院まで競技者として活躍。2018年より、アメリカ・テキサス州ヒューストンに留学。世界的に棒高跳を牽引するCoach Buterに師事し、競技者として活動しながら、現地のライス大学(Div.1校)陸上競技部のアシスタントコーチを務めた。
競技活動以外では、これまで、茨城県南西地域でのスポーツを活用したエリアマネジメントプロジェクト「北海道×茨城県プロジェクト」や、国際クラブバレートーナメント「FLV」に参画。現在は、NPO法人 スポーツコーチングイニシアチブのメンバーとして日本のコーチ教育の発展を目指した活動も行っている。
取材・文/速水舞|Mai Hayamizu
人との出会いを大切にしながら記事を生み出すことをモットーに執筆活動中。スポーツだけでなくその周りにある物事やその人の気持ちに焦点を当てている。

<編集後記> 速水:今回は米原さんが棒高跳の経験から学んだこと、そしてスポーツアドミニストレーターとしてどういった取り組みができるのかについて具体的にお話させていただきました。私も大学時代は棒高跳に没頭していたので、棒高跳の魅力については話がつきませんでした。また、スポーツアドミニストレーターとして、新たなことに挑戦されている姿から刺激を受けました!今後の大学スポーツ界の発展をとても楽しみにしています。

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