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【HINOKO SAUNAができるまで vol.2】災害・コロナを経て、サウナ小屋のデザインが決まるまで

今年4月に、東京都檜原村のキャンプ場『HINOKO TOKYO』に誕生した『HINOKO SAUNA』。ここが出来上がるまでの裏側&裏話をブログで紹介していきます!

前回のブログでは、SAUNAをつくるきっかけとなったフィンランド旅をご紹介しました。今回は、帰国後のプロジェクトの始動から設計までを山口陽平がご紹介します!

帰国後、さっそくサウナ計画始動!しかし台風が...

フィンランド旅行の熱が冷めないうちに、帰国後すぐに僕たちが運営するHINOKO TOKYOでサウナを作る妄想をスタートさせました。

しかし忘れもしない、その1週間後の10月19日。台風19号が発生し、HINOKO TOKYOの目玉である100平米近くのウッドデッキサイト”リバーエッジ”が、観測史上最高の水位を記録した秋川の氾濫により跡形もなく流されてしまいました。

翌日には一人で檜原村に向かいましたが、道路は所々寸断され檜原村へ到着するのもいつもの倍以上の時間がかかりました。さらに現地に着くとリバーエッジには全く何もありません。

ただ一つ見つかったのは、木にぶら下がったトングのみ。自然の破壊力を思い知りました。

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川にせりだすように作られたウッドデッキサイト「リバーエッジ」

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ウッドデッキが跡形もなく流された後

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台風後、檜原村に向かう道の様子

それでも急ピッチで推進。今度はコロナで計画ストップ

HINOKO TOKYOのシンボルが流されてしまったことでの喪失感は大きかったですが、これはいち早くSAUNAを作る機会だと。近隣に住むTRAIL HEADS アンバサダーの清田さんから奥多摩地域を盛り上げる助成金の紹介もあり急ピッチで計画を進めていきました。

幸いにも2019年12月には、助成金のモデル事業に採択。2020年4月のオープンを目標にさらに計画は加速していきました。

しかしさらなる障壁が...
そう、コロナの魔の手です。

2020年1月後半から、日本でもコロナウイルスの危険が認知され始め、一旦計画はストップとなりました。

6月に緊急事態宣言明け、ようやく計画を再スタート。サウナ小屋のぼんやりとしたデザインを考え始めました。

もともと僕のイメージにあったのはフィンランドで全く新しいサウナ体験ができた『LOYLY(ロウリュ)』。男女が一緒に、マイルドな温度でロウリュを楽しみ、自然の海に飛び込んだり、サウナの後には併設されたダイニングバーで食事をするスマートさ。僕が今まで体験してきたストイックなサウナとは一線を画す体験がそこにはありました。

そして近未来的でありながらも木で覆われた建築デザイン。このくらい目を引きオリジナリティがある形状を作りたいと思っていました。

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当初、LOYLYをイメージしてつくったHINOKO SAUNAのビジュアル

小屋デザインのキーワードは「地産地消」

サウナの建築を一緒に考えていただいたパートナーは江口智行さん(現ALP Inc. 代表)。江口さんは、キャンプやフライフィッシングを楽しむアウトドア仲間。HINOKO TOKYOのオープン前からデッキや小屋などのデザインを相談してきました。

サウナ小屋デザインのテーマとして僕が伝えたのは、『斬新でありながら地産地消の素材を使う』こと。檜原村で調達できるヒノキ、杉、竹を取り入れたいと考えていました。

そして江口さんが考案してくれた初期のデザインは、上記の3つの素材を生かしながら、屋根形状や庇などでオリジナリティを出すものでした。

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初期のデザインイメージ

その後、サウナ内の機能的なデザインや焚き火も楽しめることを考えながら何度も議論を重ね、小屋の形状は次第にミニマムになっていきました。

特に悩んだ部分は、ストーブの種類を何にするか。大きく分けて2種類。スイッチ一つでサウナがONされる電気ストーブと、自分たちで薪を入れることで火を眺めながら温まることができる薪ストーブ。

最終的にたどり着いたのは、薪。フィンランドで体験したように、全てが整っている状態ではなく、自分たちの手で温める原始的なスタイルを大切にしました。

僕たちが作るサウナ小屋の世界観がはっきりした時に、ミニマムだった小屋デザインの最後のピースとして、自分たちの手で火を入れる焼杉工法を取り入れた外壁でHINOKOらしさを表現することに決まりました。

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最終的に固まった小屋デザイン。焼杉による黒い外壁、そして小屋の隣にはウッドデッキを備える。


▶︎小屋のデザインを考える中で、HINOKO SAUNAのコンセプトが固まってきました。そしてこの次は、サウナの要であるストーブ選びの過程をお届けします!

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Writing:Yohei Yamaguchi(TRAIL HEADS)
Editing:Shizuka Oikawa(TRAIL HEADS)
[写真] HINOKOの脇を流れる秋川で釣りをする山口

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