見出し画像

個人的グロース株投資手法

ビジネスには「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」というライフサイクルがあります。私がメインで投資しているのは「成長期」にいる企業、いわゆるグロース株といわれる企業です。

以降の投資法はあくまでもグロース投資に限った話であり、全ての投資法に通じる内容ではありませんのでご注意を。

どんな会社を買えば良いのか?

一言で言えば、常に最高のビジネス、最高のストーリーを持った会社に投資することです。 では、どうやって他の会社よりも優れた会社を見分けるのでしょうか?

重要なのは、コストを大幅に削減してすぐに利益を出すような小手先なことをする会社ではなく、積極的にS&MやR&Dへ投資を行い、成長性を犠牲にすることなく会社の目的・ゴールに向かって進む会社を見つけることです。

投資する会社を見つける方法

具体的に投資する会社を見つける方法は、機械的に指標を用いたスクリーニングを行い、残った会社に対して詳細に調べていくという方法を取っています。

機械的な定量スクリーニング

  1. 売上成長率が前年同期比で50%以上

  2. 売上総利益率が75%以上

  3. 高いARR成長率(100%に近いもの)

  4. NRR(Net Retention Rate)が120%以上

  5. フリー・キャッシュ・フロー(FCF)が改善

  6. 現金が多く負債がほとんどない

1. 売上成長率が前年同期比で50%以上
グロース銘柄へ投資するなら売上高成長率は高くなければいけません。 特にグロース企業への投資は、企業の本質的な価値によって株価が大きく変化します。 もし企業の年間売上高成長率が50%なら、5年後の本質的価値は7.5倍になります(1.5^5=7.5)。

2. 売上総利益率が75%以上
単純に売上総利益率が90%の企業は、売上総利益率が45%の企業に比べて、2倍の利益を確保することができるということです。

3. 高いARR成長率(100%に近いもの)
ARR(Annual Recurring Revenue)はSaaS企業へ投資する場合に重要な指標になります。ARRとは毎年決まって得られる1年間分の収益を表す指標のこと。
これにより、企業の収益をより明確に把握することができ、年間の数字見積もりも容易になります。これは投資家にとっても重要なことで、収益にばらつきのある企業よりもスムーズに企業の行く末を予測することができます。

4. NRR(Net Retention Rate)が120%以上
NRRは既存顧客の売上を前年比で維持できているかを計る指標。 NRRが120%ということは、既存顧客が20%多く消費していることを意味します。
NRRは「合計収益(MRR)」+「アップセルによる収益(Expansion MRR)」−「解約により減った収益(Churn MRR)」−「ダウングレードによって減った収益(Downgrade MRR)」で算出され解約も考慮されています。

5. FCFの改善
フリーキャッシュフローは、企業がどれだけ効率的に現金を生み出しているかを示します。キャッシュが多ければ多いほど、負債の返済や成長のための投資が容易になります。もし、FCFがまだプラスでない企業であっても、四半期ごとに改善しているなら問題ありません。

6. 現金が多く、負債がほとんどない
負債がない会社は、負債が多い会社に比べて倒産リスクがゼロに近いです。

定性的な調査

  1. 競合他社に対する優位性

  2. 正しい投資を行っている

  3. インサイダー所有が多く創業者が主導している

  4. 顧客の依存度が低い

1. 競合他社に対する優位性
米国株投資を実践している方はEconomic moat(経済的な堀)というコトバを聞いたことがあると思います。競争上の優位性のことをmoatと呼んだりしますが、moatが深ければ深いほど競合が市場シェアを奪うことは困難になります。
moatには、コストリーダーシップのような単純なものから、利便性の高い販売チャネルやブランド力のような高度なものなど様々あるため、詳細に調べる必要があります。

2. 正しい投資を行っている
グロース企業はできるだけ多くの顧客を初期段階で獲得するために、S&MやR&Dに多額の資金を投じます。特にSaaS企業は獲得した顧客を何年にもわたって囲い込むことができることを意味します。
そのため、短期的な利益を犠牲にしても、顧客獲得のために多額の資金を費やすことは理にかなっています。ビジネスが成長していれば、投資すればするほど経営指標は改善されていきます。粗利益率の改善、顧客獲得の改善、キャッシュフローの改善、損失の改善などなど。

3. インサイダー所有が多く、創業者が主導している
創業者が主導している企業は、凄く強いし成功する可能性が高いです。 また、インサイダーが株を多く所有(できれば10%以上)しているほうが好ましいです。

4. 顧客の依存度が低い
単一の顧客に大きく依存している場合、その顧客がいなくなると収益が大幅に減少してしまうことになります。収益の10%を占める顧客がいないことが理想です。

いつ買うべきか

さきほどの指標を基準に気に入った会社があったら、安く買えることを期待してポジションを始めるのに時間をかけすぎるのはよくありません。

株価に執着しすぎないでください。あなたが買った値段など市場は覚えていないのです。 会社のストーリーに集中し、計画通りに実行されているのであれば、高値で買い増すことを恐れてはいけません。企業が成長すれば、その会社はより高い株価に値することを忘れないでください。

良い会社の株価は、通常下がるよりも上がるものです。 それでもリスクを取りたくない場合は、まず最初に少額のポジションを購入し、株価が上昇している間に追加するか、現金が余っているときに追加するようにしましょう。

いつ売るべきか

さきほどの購入基準が満たされている間はホールドし、ストーリーが悪い方向に変化したときにだけ売るのが基本ルールです。

決して株価上昇を理由に売ってはいけません。 怖いぐらいに株価が急上昇した場合にはトリミングすればいいだけです。

ストーリーが悪い方向に変化したら、早めに損失を出して逃げるべきです。負けている会社に長く留まれば留まるほど、より多くの損失を被ることになるし機会損失も大きくなります。

やってはいけないこと

短期的に上昇が期待出来るトレードやモメンタムトレードはやらないこと。 長期的にテンバガーになると思われる優良企業だけを買うのです。もちろん短期的に株価は上下を繰り返しますが、それについていくのです。

市場のタイミングを計ろうとして、乗り降りするのはやめましょう。乗り降りの正確なタイミングを毎回予測するのはほぼ不可能です。

もし、ストーリーが大きく変わるような新しい情報を把握したらすぐに手を引きましょう。可能であれば時間外取引ができる証券会社がオススメ。 通常、収益報告やニュースは市場が開く前か、市場が閉じた後に発表されるためです。

会社に惚れてはいけません。ポートフォリオに加える価値がないと判断し売却したら、その銘柄のことは忘れてポートフォリオに残っている銘柄に集中しましょう。

企業や製品、サービスが好きだからその会社に投資することはしてはいけません。感情を取り除き、ファクトに焦点を当てるべきです。

ポートフォリオに含める銘柄数は?

買って放置するのではなく、保有している企業が何をしているかを積極的にインプットする必要があります。

ニュースやプレスリリースに注意を払い、決算報告書を読み、決算説明会を聞く。保有している会社が何をしているかを積極的に調査します。

そのためポートフォリオの数は、自身が追いかけることができる銘柄数に絞るようにしましょう。

インサイダーとロックアップについて

インサイダーの動きは気になるかもしれませんが、インサイダー取引に基づいて意思決定することはサプライズなものだったり、投資のストーリーが変わるような売りでない限り無視でいいです。

ロックアップも気になる方がいるかもしれませんがどうでもいいです。 ロックアップの期限が切れる前に株価が下がることもありますが、我々は長期的な成長ストーリーに期待して投資しています。
もし下がったとして、余力があれば買い増しすればいいだけのことです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?