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窓の外に描く 3話「電話」

 退院してから、学校は夏休みだった。学校にはもう行くつもりは無かったが、8月に入ってから、電話がかかってきた。バン先生からだった。

 「ジニ、怪我は大丈夫か?ずっと学校に来てなかったから、今からちょっと美術室に遊びに来ないか。学校に2学期からいきなり入るの、緊張するだろ。」
 「緊張なんかするわけないだろ。学校はもう行かない。電話もしてくんなよ。」
 そう、答えた。と、同時に、びっくりした。「学校に遊びに来い」なんて、初めて言われた。変なやつだなと思いながら、電話を切った。
 それから、2学期が始まるまで毎週火曜日はいつも電話が来た。
「ジニ、夕飯は食べたか。」「ジニ、怪我した足はもう痛まないか。通院してるのか?」
「うざいな、電話してくんなって。」
「わかった、何度も電話して悪かったよ。ただ、画集は持ってきてくれ。入院中に貸した、画集。」
「・・・・・・。」「・・・わかったよ、持っていくからもう電話すんな。」

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