二階堂和美と中村佳穂には、

二階堂和美と中村佳穂には、何かが降りてきている。

目が話せない、呼吸を忘れていた、そんな瞬間がある。

二階堂和美の歌をはじめて生で聞いたとき。

これ大げさではなく、卒倒しそうになった。

目の前で起きていること、

歌声・表情などそういうことではなく、佇まいが圧倒的だった。

可愛いらしい少女のようでもあり、全てを悟った母のようでもあり、ソウルフルなアーティストであり、他にも、形容し難い何者かのようであり、説明がつかないのだ。

胸の奥深い所から熱いものがわき上がってくる、それが興奮として全身を駆け巡る。

その後ニカさんが僧侶であることを知り、しっくりきたのだ。

彼女のバックグラウンドもある。歌詞の世界観に仏教が組み込まれていることもある。

だけれど、単純に彼女自身に何者かが降りている、そのように見えたのだ。

そうか、圧倒的な愛情と受け入れる強さ。仏様を体現していたのだと。


初見で、自分で躊躇うほど、心が持っていかれる、血が沸き立つ経験は、当然そうそうあるものではない。

二階堂和美の他では今のところ、奇妙礼太郎と中村佳穂だけだ。

中村佳穂がステージに立ち、音を声を発したその瞬間に、景色が変わって見えた。

音楽を愛していること、楽しんでいることが全身から湧き出ている、というよりもダダ漏れていた。

それでいて、一緒に音楽を紡ぐ仲間(バンドメンバー)への敬愛に満ちていた。

歌唱力や演奏力、即興の魅力も当然あるのだけれど、目の前で彼女の音楽が楽しむ姿から、目が離せなくなった。

彼女から世界への慈愛を感じた。

これは、時代が時代だったら、音楽で神事を司って、不安に満ちた世界を救う役割を担っていたんじゃないかという考えが過ってしまった。まるで現代の卑弥呼のように(繰り返すけれどふざけてはいない、けど文字にすると、とてつもなく恥ずかしい)

ニカさんは、仏様。

佳穂ちゃんは、巫女。

勝手にしっくりきて、同じ時代にありがとうと、これからも彼女たちの歌う姿に触れることが楽しみでたまらない。


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