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バンコク二十一日目の日記(バスで地獄に行ってきた、の巻)

※今日の記事に出てくる地獄寺のレポートは、ややグロテスクな像も出てくるのでそういうのが苦手な方はご注意ください!

タイには、「悪いことをすると、こんな目に遭うんだよ」と子供を教育するためにつくられた「地獄寺」なる場所があるらしく、そこには地獄を立体で表現した像が置かれているとのこと…。

「ワットパイロンウア」という地獄寺は、バンコクのバスターミナルから1時間半くらいで行けるっぽい、という噂をネットで読んだので、行ってみることにしました。

今日の私は大移動です。

①宿(プロンポン)→ 南バスターミナル(サイタイマイ)
:28㎞(だいたい日本橋から横浜くらい)

②南バスターミナル → ワットパイロンウア
:63㎞(東京駅から栃木の南くらい)

バンコクのバスに乗るのは難しい、と前回学んだばかりでなく、
どのバスも何時に来るのかわからない、という大いなる不安要素がありますが、とにかく行ってみよー。

―――

朝、バナナケーキをむしゃむしゃ食べて、急いで出発。

(13バーツ/約52円)

とりあえずプロンポン駅近くのバス停で待っていると、8時40分、目的としていた511番のバスが来ました。目的地はこのバスの終点、「サイタイマイ」(南バスターミナル)です。終点まで乗ればいいと思うと少し気が楽ですが、一応GoogleMapで目的地の場所を登録しておいて、現在地と目的地までのおよその所要時間を確認しながら乗ることにします。

料金は、23バーツ(約92円)。
料金回収の人に、「南バスターミナル」と英語で言っても「はあ?」という顔をされましたが、「サイタイマイ」と言ったらわかってもらえました。バスに乗るとき、目的地に英語の別名があったとしても、タイ語読みを覚えておいたほうがいいな、と今日確信しました。

朝のバンコクは渋滞がひどいし、どれくらいかかるかわからないなあ…と心配でしたが、9時56分頃、無事にバスターミナルに到着。75分くらいでしたね。

―――

バスターミナルは、ちょっとイオンとかそういうところっぽい雰囲気。

なんでガンプラがあるんだろ?

いろいろ見たい気持ちはあるけど、ワットパイロンウア行きのバスは何時に出るかわからないので、まずは出発時間を調べに行かないと。

ええっと、他のブロガーさんによると、68番のバスに乗るということだったから…と、とりあえず68番と書いてあるチケット売り場に行ってみます。

(でも、他のブロガーさんは、たしか料金は車内で払うって書いてたような…)

案の定、「68番のバスは車の中で料金を払う」と言われます。
バスは何時に来ますか、と聞いてみると、「ここではわからない」とのこと。

ええ…この窓口の番号って…なんなの?

よくわかりませんが、「プラットフォーム」という看板がありましたので、そちらのほうに行ってみます。
入口でチケットチェックがありましたが、「さっき、チケットは車の中で買うと言われた」と話したら、係りのお兄さんは、にっこり笑ってあっさり通してくれました。

でも…

ほんとうに…ここで…あってる?

68番と書いてあるあたりのベンチに座ってみますが、

あまりにも閑散としています。

とりあえず写真を撮ったりしながら待ってみます。

(この場所の雰囲気は好き)

…しかし10分ほど経ったところで、私の中のもう一人の私がこういってきました。

ねえ、私?ちょっと思ったこと言ってみてもいい?

たぶん、68番のバス、ここには来ない、って予感がしない?

…うん、一理、っていうか、百理くらい、あるよねえ。

もう一度、過去にワットパイロンウアに行ったブロガーさんの記事を読み直してみると、「ターミナルの左手でバスに乗りました」と書いてありました。

やっぱり、やっぱりね!
こっちじゃないんだね!ターミナルの外なんだね!
ありがとう、ブロガーさん!そして気づいてくれたもう一人の私!

来た場所のあたりに戻ってきょろきょろしていると、ポニーテールの女性がどこに行きたいか聞いてくれます。
「ワットパイロンウア」と言うと、「あの、オレンジのバス」とのこと。 

(今回は建物の右にいた)

な、なんといいタイミング…(滂沱の涙) 

しかし運転手さんによると、バスは11時半に出発するとのこと。
女性に、「ご飯を食べといで」と言われたので、10時半と大変早い時間ですが、お昼にすることとします。

バーベキューポーク入り海老ワンタン。

55バーツ(約220円)。

これがねえ、めちゃおいしかったんすよ…。安心したのもあったのかな。
バーベキューポークがおいしいし(好物)、空芯菜?青梗菜?が、シャキシャキ。そしてワンタンの海老がぷりっとしている。モリモリ食べました。

ワットパイロンウアでは歩き回るだろうし、まだ少し時間があったので、ダンキンドーナツでココナツのドーナツも食べました。

29バーツ(約116円)。最近、なんでかすごいドーナツが食べたかったので嬉しかったです。ココナツの味が違ったりするのかな?と期待して食べたんですが、地のドーナツが甘すぎるので違いはわかりませんでした。知ってる味って感じだった。

11時半ちょっと前に、バスに乗ります。

なぜか天井は鏡張りです。

動いていないバスは、蒸し風呂みたいに暑い。

笑顔で会話している若いご夫婦や、行商?みたいな親子など、他にも何組か乗客がいます。

バスは11時半を過ぎてから出発。時々、運転席近くに置いてある鈴が鳴ります。お祈り用なのかな、黄色い花輪も飾られていて、きれいです。

料金は50バーツ(約200円)でした。運転手さんしかいなくて、いつもの料金回収係の人はいないけどいつ支払うんだろう?と思っていましたが、12時半頃車が一時停車する時間があり、このとき回収されました。

実はですね、このあと書くワットパイロンウアも面白かったんですが…

この日、私の心に一番刺さったのは、ここからの2時間弱のバス移動でした。

田んぼかなあ、畑かなあ、ずっとずっと遠くまで黄緑色が続いているのを見るのも、バスががったんがったん揺れるのも、(空気は汚いけど)風がびゅんびゅん髪を乱すのも、全部がとっても気持ちよくて!

終わりがないことは基本的に私にとって恐怖なので不思議だったのですが、なんだか天国みたいな時間だ、と思ったのでした。

この開放感を写真に閉じ込めておけないのが悔しい…でも、だからこそ身をもって体験する意味があるような気もして、嬉しい。

―――

Googleマップを見て、そろそろかな、と思っていたところ、行商のお母さんが、私に笑いかけて何か言ってくれます。

たぶん、もうすぐ目的地だよって教えてくれていたんでしょう。

こうして、苦節だいたい3時間…。

やったーーー!!

ついにワットパイロンウアに到着した!(っぽい)

タイ語がわからないので、門になんて書いてあるかわからず、ここが本当に目的地なのかまだ確信は持てないけど…、Googleマップはそうだって言ってるし、とりあえず行ってみるか…。

運転手さんが指を3本挙げて教えてくれたので、たぶん帰りのバスは15時に来ます。2時間弱、さくさくまわるぞい。

と思ったら、すごい早口の日本人の方に話しかけられました。

「サイタイマイにいたでしょ?今着いたの?」

そうなんす…変なプラットフォームで油売ったりしてたんすよ…と心の中で思いつつ、お昼ご飯を食べたりしてたんですよね~と答えておきます(話がめんどくさくなっちゃうからね)。

この方はすでにパイロンウアの見学を終えられてこれから帰るそうで、「帰りのバスは13時に出るって言われてたんだけど、まだ(このときたしか13時20分くらい)来ないんだよね。売店でコーラ買って待ってるんだけど…」とのこと。

私も、帰りのバスを結構待つことになりそうだな…と思いつつ、またどこかでお会いしたら~等と言って別れました。

門をくぐって歩いていくと、立派な建物が見えます。

また歩いていくと、右手をさっきの行商の親子が荷台付きの車に乗って走っていきます。お母さん、私に気づいて笑顔で手を振ってくれました。すがすがしい気持ちで振り返す私。今日はいい日だなあ。

しばらく行くと、仏像がいっぱい並んでいるところに出ます。

これは…なかなかすごい。 

写真がうまく撮れず悔しいのですが、将棋盤かと思うほどの量の仏像が並んでいて、なんとなく宇宙を感じました。
時間があればそれぞれの表情とかゆっくり見るんだけどなあ、悔しい。

さらに、かなりの大きさの仏像もあります。

(車があれば大きさが比較しやすいぞ!と思って急いで撮ったところ、常軌を逸した歪み具合になった)

正面からだとズーン感が出せずだったので、横から…。

私、大仏が好きなんですよ(突然の開陳)。
全然信仰がなくても、圧倒されますよね。
たまに大きいものに圧倒されたいんですよねえ。

とはいえ、やっぱり、地獄が観たい!

地獄のゾーンはどこにあるんだろう…
と歩いていくと…

あ、絶対あっちだな(確信)

入って右手(赤いところ)に係りの方?がいらして、ずっと何かをアナウンスしています。たぶん寄付を促しているのかな。すみません、よくわからないのでこそこそと像のほうに向かいました…。

皆さん…心の準備は大丈夫でしょうか…。

まず気になるのが、真ん中の方に立っているやたらでっかい男女の像です。
女の人が水玉なのは病気?不安になります。
あと、骸骨になっても性器だけ残ってるのはなんでなのか。

謎な構図の写真ですが、先ほどの男女像がいかにでかいかおわかりいただけるかと思います。でかいってだけでなんか怖いです。

リアルにつくられている像は少なくて、どっちかというとポップな印象なのですが、それでも血だらけの像がやたらいっぱいあるので、最初に足を踏み入れたときはゾクっとしました。

ゾーン(?)によって像のテイストが全然違って、私はこのゾーンの像が結構好きなんですが(スズキコージさんぽいな、と思う)、いっぱいいると怖いです。ちょこちょこひょっとこみたいになっているのも謎で怖いです。

盛大に食べられています。

ポップな形の鳥(上部)ですが、容赦ないタイプみたいです。

この、頭が手の形の人、結構好きです。

この人も、結構好みです。

いろんな方がブログ記事のアイキャッチに使っているのですが、この「もともと人間だったけど、ついに畜生になっちゃったんだよゾーン」みたいなところは、特にデザインセンスが好きでした。色の選び方も。

他のゾーンの像と比べて、洗練されている気がする。

敷地内には、「倒れないようになんとかバランスをとった結果、こうなっちゃいました」という感じの無理あるポーズの像がいっぱいあるんですが(衝撃的に内股だったり、足がやけに大きかったり、埋まっていたりする)この畜生頭シリーズ(勝手に命名)は絶妙のバランスでつくられてるんですよね。好き。

時々、特にどうともなっていない普通の人がいるんですが、この人たちはなんなんでしょうか。
左右の人たちとのギャップが激しい。

あと気になるのが、笑みを浮かべちゃっている人が時々いることです。

この写真の、緑の人たちとかですね。

串刺しになっているのに恍惚の表情の人がいたりですね。

夢中で写真を撮ってたらこっちを見て笑ってる人がいてギョっとしました。
も~!びっくりするからやめてよォ~!(ふざけることで恐怖をまぎらわす)

舌って抜かれたらそんな長さになるの?
(こっちを見てくる人、また写ってる!やめろーーやめてくれーー)

行くからにはぜひ実物を…と思っていた杉●議員をモデルにしている(と言われている)像も見られました。

…と一通り楽しんだところで、いい加減暑さにやられてきました

東京の夏ほどの温度・湿度じゃないけれど、水もがぶがぶ飲んでいるけれど、やっぱり30度超えの中で歩き回っているとちょっとふらふらしてきます。

トイレに行って、他の場所も冷やかしながらバス停に戻ることにします。

↑中央に映ってるイチゴちゃん(その役割は椅子)の向こう側にトイレがあるんですが、同じ寺に地獄とイチゴちゃんが共存しているのがちょっとおかしかったです。

最初、手桶式のトイレしかないのかと思ったら、洋式の個室もありました。それに気づかず手桶式の個室に入ったので、地味にハエが多めで辛かったです(暑い場所だとそうなっちゃうよね)。

かわいいものと不気味なものの共存と言えば、こういう場所もあります。
写真右のタイルのベンチはすごいかわいくてお気に入りなんですが、
ここで休もうって、なりますかねえ…?
改めて、このお寺のセンス、ぶっとんでいて最高です。

タイのお寺の建築も普通に興味があるので、時間があればもっとゆっくりほかの建物もみたかったのですが…、

うわああかっこいい!後ろ髪ひかれるよう!
でも、そろそろ15時になるから急がねば。

行きに話した方が「コーラ」というのを聞いてから、帰りは絶対にコーラを飲むぞ!という気持ちだったので、門の外にある売店で、15時5分前くらいに急いで購入。

15バーツ(約60円)

一口目は、クーっとおいしい!でも、二口くらいで飽きるな。
コーラって、買ったあといつもこんなにいっぱい要らなかったなって思うんだよな…。

この小屋みたいなところ(行きのバスが止まった場所の向かいにあります)がバス停らしいので、ここで待ちます。

先客にお坊さんがいたので、座って大丈夫かな…?と思いましたが、お坊さんのうち一人が「どうぞどうぞ」みたいなジェスチャーをしてくれたので、ありがたく座りました。

どうぞどうぞ、としてくれたお坊さん(ビーチサンダルを履いている)にどこから来たのか聞かれて、ジャパンと3回ほど言ってみるも通じず…なぜか「トーキョー」は通じました。

そのお坊さんの連れ合いの、便所サンダルを履いたお坊さんがおしゃべりな人で、あとからやってきたビーチサンダルのお坊さん②にずっと話しかけていました…。ビーチサンダルのお坊さん②は笑い上戸な人で、うっひっひ、みたいに笑うので興味深かったです。

しかし、待てど暮らせどバスは来ない。

30分ほど待って、ビーチサンダルのお坊さん①は誰かの車に乗って行ってしまいました。

こんなに時間があるなら、もっとお寺の装飾の様子とか見たかったなあ…。
でも、いつバス来るかわからないし…。

結局バスが来たのは、15時53分でした。
15時の予定だったのに(たぶん)…。
 外国にいるって感じがするぜ…。

西日に照らされた田畑の風景はこれまた美しく、学校帰り?のいろんな色の制服の生徒さん(ラズベリー色のシャツの子たちとかもいる)を眺めながら、これからどうやって時間を過ごすのかなあ、どういうことで悩んだりするのかなあ、と空想したりして、ちょっとセンチメンタルな気持ちで帰りのバスも楽しみました。

―――

…しかし、途中でトイレに行きたいような気がしてきたので、帰りはサイタイマイ(バスターミナル)まで行かないで、MRTの駅「クローンバーンパイ」で降ろしてもらうことにします(基本的にバンコクの電車駅にトイレはないのだけど、電車からならきれいなトイレがある場所に出やすいだろう、という期待をもって)。電車で帰ると高いけど、バスみたいにどこに行くかわからない…ということもないので、安心です。

電車に乗れるとどっと疲れを感じました。
途中、目の見えない方が電車を降りるのをスッと手伝っている女の子がいて、タイの人たちの雰囲気のこういうところ、好きだなあ、と思ったりしました。ちなみに、たしかタオプーン駅だったかな、MRTの駅にはトイレがあって、嬉しかったです(いつもトイレのことについて考えている)。

晩ごはん。

せっかく電車に乗ったから、いつもと違う駅で違うものを食べてみようと思い、サパーンクワーイ駅近くでトムヤムヌードルを食べることにしました。

このお店。

注文するとき、私がタイ語が話せないと言うことがわかるなり、「アンタ注文取りなさいよ」的にお店の娘さんと思われる中学生くらいの子が英語要員として駆り出されてました。日本でもこういうことあるよな…とちょっと笑っちゃいました。前の職場で、「英語か…赤司さんお願い」みたいになることが時々ありました(私は本当はそんなに英語ができないが、外国語学部卒のため英語できるキャラ風に扱われていた)。

さて、こちらが件のヌードルです。

50バーツ(約200円)。

冷麺みたいな感じの、透明な歯ごたえがある麺。
飛び上がるほどのおいしさではないけれど、安心感のある味。
エビの頭を揚げたのがおいしい。

何かわからないジュースも頼んでみました。

15バーツ(約60円)。ナツメかなあ?(私、アジアで食べる何かわからない果物をすぐナツメだと思う節があるので、信用できません)。

ほとんどタイバーツがなくなっちゃったので、どっしり疲れていましたがプロンポン駅近くで両替してから帰りました。今レシートが行方不明なので正確な数字がわからずですが、今までで一番レートがいいと思われます(駅よりレートがいい、という情報をネットで読んだのでここで両替しました。駅の両替所はなぜだか閉まっていたというのもあり)。

D.A.T EXCHANGE というお店。
ソイ24を入っていったところにあります。

夜、洗濯機の前で、「ジョジョの億泰みたいなフォルムだな」と思っていた宿泊客の男性と初めて話しました。イタリア人の人とのこと。クールなのかフレンドリーなのかよくわからない、不思議なバランスの人です。
マレーシアに行くならペナンには行ったほうがいいよ~と言われたので、旅程に入れなかったことをちょっと後悔。旅って選択することがいっぱいあるから、後悔することもいっぱいあるんだよな。イタリアに行くなら、3か月あっても足りないそうです。そうなのかあ。

心地よい疲労感の中で、ぐっすり眠りました。

いただいたサポートは、ますます漫画や本を読んだり、映画を観たりする資金にさせていただきますm(__)m よろしくお願いします!