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ピンバッジのデザインをSubstancePainterで確認すると便利やん

ピンバッジ制作の経緯

ものすごい「ピンバッジ・コレクターさん」にはかなわないけど、昔からピンバッジってモノが好き。いつの間にか手元には20~30個くらいある。
いつか自分でも作ってみたいと思っていたんだよね。

そんなに作りたいなら、自分で作ればええやん、と思うんだけど、生来のめんどくさがり屋というか、よく言うとデザイナー気質というか、発注がないと作れないし作らない。

今年2022年は、タケくん(神戸市西区竹の台の地域のキャラクター)が誕生して15周年。タケくんも生まれて15年か~。竹の台地域委員会のCXO(Chief Experience Officer)としては、何か面白いこと提案して竹の台のみなさんにワクワクしてもらわんとアカンな~、って思ってた。
ウインドブレーカーを作っていてむっちゃ忙しいときに、「タケくん15周年記念になんか作りたいの? それやったら、タケくんのピンバッジを作ったら?」と提案してくれたのはうちのカズちゃん。さすがやね。で、さっそく地域委員会の森川さんに相談したところご快諾いただいた。

実際にピンバッジを制作してわかったこと

調べてみると、実はピンバッジには色々な彩色手法・工法があって、良くわからなかった。サンプルを取り寄せたり、メーカーさんにお聞きした結果、私が作りたいのは「ソフトエナメル」とか「ラッカー」という手法でした。「七宝」や「疑似七宝」というタイプは表面が磨かれており、私がイメージしていたものではなかった。まぁ、ほら、高級なだけがイイわけじゃないしね。凹凸が残った表面に後処理で透明エポキシでポッティングして立体的な存在感のある感じにしたいのよ。透明樹脂が経年劣化で退色するとこまで含めてこれが良いの。

ピンバッジの版下の作り方について、気が付いた事を少しまとめておきます。まず、金属の加工技術の限界から、金型で表現できる最小の線の太さを調べました。これは先方からご提供いただいたサンプルや手持ちのピンバッジなどの線の細い部分をノギスで実寸計測。最小の幅を0.2mmと決定した。タケくんを描く線や色の部分の中には、ずいぶん細い箇所があり、これを不自然にならない程度まで太くしたり、目の錯覚で細く見えるように調整したりしました。さらに強度や引っ掛かりの事故を避けるため、腕や足は若干太く短くしながら最終的に全身を作り直しました。見た目の印象は同じく機能は別にっていうわけですね。

タケくん15周年にあたってのキャラクタービジュアルのバージョンアップ方針について少し書いておきます。色々考えたんだけれど、キャラクターを大幅にリファインするよりも、オリジナルに忠実ながら細部を現代的にする方が良いという結論で、このピンバッジ用のタケくんのデザインも目や表情などを中心に全体が新しく「元気で力強い」印象になった2022年版になります。

ピンバッジデザイン最大の難所とその解決

ピンバッジのデザインとして一番難しかったのが、イラストレーションの主線と黒と白の部分それぞれのうち、どこをメッキ部にしてどこをインクで色をつけるかを決めるところでした。メッキの光る部分が反射によって白にも黒にも見えるのがピンバッジ存在としての魅力なのでここをしくじるわけにいきません。メッキ部分をグレー色にした図を見てうんうんうなって想像するんだけどぜんぜん仕上がりがわかんないよね。

で、思いついたのよ。これって3Dでモデリングしたらええやん。
ちょっと専門的になるけど、Illustratorのアウトラインパスをblenderで開いて適当にuv展開し、カラーマップを貼ってfbxで吐き出してSubstance Painterで読み込んだ。
細部の色についてはモデリングではくぼみを作らずに、テクスチャーのハイトマップを使い、メッキ部はラフネスマップで反射させる。
思ったより簡単にすぐできて、何パターンか比較対象をつくり、それぞれデスクトップでぐりぐり3次元空間で反射する様子がわかるように適当に動かしてサクッと動画に撮り関係者へ送り確認を取った。
結論は「ほとんど黒色主線部分をメッキにしました」という極めて当たり前の結論になったけど、これを事前に確実に確認できるのが尊いのよ。

あと、色を決めるのにも数時間かかりました。カズちゃんにいつまで悩んでるの~って言われたけど、おれは色決めるのスゴイ悩むんや。最近は色指定を支援する色々なアプリがあって一見便利になったようでも、最後は仕上がりを想像して祈りながら決断しなあかんよな。

そして、数週間後に届いたのがこれ。(中国ロックダウンで遅れていました。普段はもっと早いそうです)

金型職人さんに相当がんばってもらったのが伝わってくる細かさで感動しました。ちょっと、目がびっくりした感じだけど、タケくんってそういうキャラだよね。色も上品にまとまっていて良かった。これで量産GOとなりました。

カズちゃんは嬉しそうに「ピンバッジ、楽しみだね」
「次は着ぐるみだね。誰が着るのかなぁ~」とか勝手なことを言っている。
お、おぅ

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