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【会報第8号】2021年4月1日発行

一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 第8号
2021年(令和3年)4月1日発行
編集:TPS編集委員会

市民発の「2050 カーボンニュートラル所沢」構想に向けて

 所沢市は 2020 年 11 月、「ゼロカーボンシティ」を宣言しました。これは 2050年までに二酸化炭素の排出量の実質ゼロを目指すという表明です。大きな目標です。所沢市民ソーラー(TPS)は所沢市の「カーボンシティ宣言」を評価します。同時に、市民発の、市民が目指す「2050 カーボンニュートラル所沢」を多くの市民・事業者と共に考え構想し、行政・議会と協働して、持続可能なコミュニティづくりに貢献したいと願っています。
 まずは、所沢市マチごとエコタウン推進課による「ゼロカーボンシティ宣言所沢〜2050年にCO2排出実質ゼロを目指して〜」をテーマに、「まちづくり出前講座」を共催します。詳しくは下をご覧ください。また本号の関連記事、「『(仮称)市民発所沢 2050カーボンニュートラル市民フォーラム』なぜ立ち上げるのか(1)」、「所沢市『ゼロカーボンシティ宣言』」および「『2050 年カーボンニュートラル宣言』について」を併せてご覧ください。

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「(仮称)市民発所沢2050カーボンニュートラル市民フォーラム」〜なぜ、立ち上げるのか〜(1) 
TPS代表理事 品川 昭

図2

(出所:エンビプロ・ホールディングスのプレスリリース画像より)

 市民フォーラムとは、所沢の未来(この場合は2050年)について市民が行政や議会とともに話し合い、目指すまちの姿と目標を定め、その実現に向けて、それぞれの役割分担と実現の方法を協議して決める市民の組織です。

「2050カーボンニュートラル」とは何か。
 国連の機関であるCOP21は温暖化防止のために新たな目標を決めて2016年に協定を締結しました。「世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前よりも 1.5°C高い水準を維持するために、2050年までに温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡(カーボンニュートラル)を達成することを目指す。」とし、参加国はこの目標を守ることを義務付けられました。パリ協定に参加した日本政府においては2020年10月、菅首相は就任演説で「2050カーボンニュートラル」を明確に打ち出しました。これに呼応して藤本所沢市長は「ゼロカーボンシティ」を市政施行70周年記念式典で表明しました。(2020年11月3日)今後、目標実現のプログラムについて政府、所沢市で計画が組み立てられますが、今回の「市民フォーラム」は市民発で、市民自身の問題として自主的に問題提起をして、市、議会とともに計画を作ってゆこうというものです。

今、なぜカーボンニュ―トラルなのか。
 カーボンニュートラルとは「地球温暖化効果ガスといわれているCO2(二酸化炭素)の排出量を実質ゼロ(増えた分は植林によるCO2吸収固化を図る。)にする」という意味です。産業革命以前の社会のCO2濃度は280ppm(0.028%)でした。それが今日では410ppmと増加し、その結果地球温暖化が進み世界的に異常気象として表れています。日本近海の海水温上昇により台風が巨大化し、集中豪雨による河川の氾濫が毎年のように発生し、大災害をもたらしています。まさに地球温暖化が気候変動危機をもたらしているのです。そのために地球温暖化効果ガスをこれ以上増加させないことです。
 ではCO2はどこから発生しているのか。それは私たち市民が日々使用している電気、ガスなどのエネルギーの基は化石燃料(石油や天然ガス)を燃やして作り出されています。また人とモノの移動の基にも石油が使われています。化石燃料を使って産業を興し経済発展させてきた結果、CO2が増加してきたわけです。
 TPSが共に目指す「(仮称)市民フォーラム」は、再生可能エネルギーを自ら創り自らが使う。また、地産地消型のシステムをつくって、カーボンニュートラルを目指します。(続く)

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ゼロカーボンシティ 
TPS理事 村上 大名

図1

 所沢市は2020年11月3日「ゼロカーボンシティ」を表明しました 1)。
 「ゼロカーボンシティ」とは、環境省が呼び掛けている取組で、2050年までに二酸化炭素など温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すことを宣言した地方自治体のことです 2)。
 2015年に地球規模で合意したパリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度以下に、できれば 1.5 度に抑えることを目指しています。また、2018年に公表された IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)の特別報告書においては、気温上昇を1.5度に抑えるためには、2050年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロ※にすることが必要とされています。
 2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにしなければ、気候変動(地球温暖化)により、多くの人々の命を奪っている異常気象など様々な悪影響がさらに増えてしまうからです。
 この目標を達成するためには、地方自治体、民間企業、NPO 等のノンステートアクターによる取り組みが必要です。各自治体のゼロカーボンシティ宣言はこの流れに沿っており、宣言自治体の総人口は1億人を超えました。
 ゼロカーボンシティ宣言は現時点では首長や自治体の意気込みの表明であり、それに向けた計画策定など政策的な裏付けはこれからだと思います。今後の努力によって「ゼロカーボンシティ宣言」を「地域住民ぐるみで合意した宣言」へと高める必要があります 3)。目標の達成は並大抵のことではありません。徹底した省エネと再生可能エネルギーの最大限の導入、一人一人の生活スタイルの見直しが不可欠で、脱炭素化で化石燃料を使わない社会になることを意味します。これを実現するのは、住民参画です。TPSもその一
助になるよう社員一同努力し活動していく予定です 4)。
【参考文献】
1)所沢市のゼロカーボンシティ宣言!
https://www.city.tokorozawa.saitama.jp/kurashi/seikatukankyo/kankyo/ecotown/zerocarbon.html
2)2050年ゼロカーボンシティの表明について
https://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html
※実質排出量ゼロ:CO2 などの温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と、森林等の吸収源による除去量との間の均衡を達成すること
3)日本で急速に広がる「ゼロカーボンシティ」と国の対応 〜これからの地域エネルギー事業
https://energy-shift.com/news/2c167933-7371-43c6-a8de-3e860cc2e8cb
4)あなたのまちをゼロカーボンシティに–2050年までにCO2排出実質ゼロをめざすまちを増やそう
https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2020/10/16/45631/

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「2050 年カーボンニュートラル宣言」について 
TPS監事 河登 一郎

 地球温暖化対策に世界から周回遅れを歩いている日本ですが、菅総理が昨年10月に「2050年までにカーボンニュートラル」を宣言したことで、ようやく世界の仲間入りの入り口に立ちました。現行の政府案(第5次エネルギー基本計画)では、未だに2030年時点で「石炭火力26%」「原発20~22%」;「再生可能エネルギー22~24%」「天然ガス・石油30%」ですので、上記宣言に基づいて見直されると思われます。
 しかし、です。エネルギー基本計画を見直す「基本政策分科会」の委員は、依然として「利権にまみれた原発/石炭「ムラ」出身者または反論を主張できないメンバーが過半を占めており、利害関係のない(=公正な判断ができる)学者や専門家は殆ど入っていません。しかも議論は METI(経済産業省)の官僚がリードし、情報公開は最小限です。国民が知らない間に既成事実が積み重ねられています。成案ができてから形式的なパブリックコメントを募集しますが、国民の意見が採用されることはまずありません。 従って出てくる構想は、「原発再稼働;小型原発開発;石炭火力を温存するために水素やアンモニアで温暖化ガスを<減らす>ための新技術;CCS・CCU 1)等巨額の予算や投資を必要とする<利権>集団にうまみのある案」が出てくるものと思われます。現に、経団連や自民党の議員から出てくる案には、METI官僚が描いた構想が読み取れます。
 一方、市民感覚に近く「利権」に関係のない=公正な判断ができる学者や専門家からの改正案が複数出されています。それによると、1)省エネ・節エネを徹底し、 2)再生可能エネルギーを最大限に増やせば、3)新技術や巨額の予算や投資を必要としない方法で、2030年には「原発ゼロ」「石炭火力発電ゼロ」「再生可能エネルギー40%」、2050年には「再生可能エネルギー100%」が実現します。しかもこの案の執筆者は、明日香寿川東北大教授が中心となり、ISEP 2);原子力市民委員会;市民電力連絡会等、30名近い専門家が協力していますから、説得力があります。
 もちろん、新技術を開発するために巨額の予算や投資を伴うことが必要なケースもあります。しかし、「現代貨幣理論(MMT)」3)を信ずるか否かはべつとして、現在の日本の財政は非常に逼迫しています・・・福祉;教育;医療・環境面でもっともっと予算や投資が必要な分野は多いのです。「利権という私益」のために巨額の予算や投資で浪費することは避けなければなりません。
【注】
1)例えば、火力発電から、CO2 を回収・貯留する、あるいは回収・利用する技術。
2)特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所
3)ステファニー・ケルトン教授らの「一定条件があれば、財政赤字は問題でない」などとする経済理論。

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森林活用のすすめ(1)
持続可能な社会づくりのために 

TPS理事 吉野 雅一

 地球温暖化は温室効果ガスが人間活動によって増えたことが原因だ。産業革命以前から、人類はエネルギーを、多くの場合二酸化炭素(以下CO2)を排出することで調達し、文明を進化させてきた。世界人口の少ない時代の排出されたCO2は、植物や海水に吸収されて大気中濃度の増加は無かった。その後先進国である一部の国々の影響が増大し大気中濃度の上昇となった。更に経済活動の増大から大規模の森林伐採などが進み、目先の利益に走る一部の国は自国内で調達するよりも安く入手できるとして多くの木材を輸入し続けてきた。その結果、我が国では身近に調達できる森林資源の活用が停滞し、林業が衰退して森の手入れが行き届かなくなり、炭酸同化作用(光合成)=CO2を吸収する力の衰えた山が増えてしまった。最も我が国は自動車などの工業製品を大量に輸出する交換条件で木材を輸入する道を選んだ政策がそうなった訳である。

図3

林業従事者等の推移

 近年CO2を吸収する森林としてカウント出来ないことに気づいた我が国は「森林環境税」を作り、2024 年度から住民税に一人当たり1000円を上乗せして徴収することが既に決まっている。ツケは全て国民に回ってくる。再生可能エネルギーの先進国であるドイツやオーストリアでは政策的に森林活用が昔から継続しており、自動車産業を代表にした工業従事者の次に林業従事者が多く、木材を生かした街づくりやエネルギー活用がなされている。目先の経済性だけを優先した政策は改めるべきだろう。
 世界中で森林面積が減り、CO2吸収力の減衰した森林が増えている他に、後進国の近代化が加速的に進み、先進国並みにCO2の排出量が増加しようとしている。

図4

アウトバーンの木製フェンス

 温室効果ガスはCO2以外にもあるが、大気中の水蒸気量の増加なども大きな温暖化要因ではあり、負のスパイラルは相乗効果的に加速するらしい。人類が先ず責任を取って制御すべきなのはCO2であり、有効な森林の維持である。毎年国連気候変動枠組条約の締約国会議(COP)が開かれているが、公約通りに順調に革新を進めている国はごく僅かである。日本は化石賞受賞歴の多い不名誉な国であり、近年は石炭火力発電の海外投資が非難された。排出量の削減化を「二国間クレジット制度」を17ヵ国と結び計算上で国内排出量削減にしている。また、原発再稼働を政府が目論む国としても異例といえる国になった。
 あまりに便利になり過ぎた生活環境があり、スイッチ1つで冷暖房が出来、蛇口を捻ればお湯が出る生活が国内では当たり前になっているが、改めて森林から受けている恩恵に目を向けるべき時である。(続く)

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<TOPICS>
地域が経営する分散型インフラ「シュタットベルケ」とは 
TPS監事 河登 一郎

「シュタットベルケ」先進国のドイツ
 シュタットベルケはドイツ語で「町の事業」という意味です。 ヨーロッパでは古くから存在し、イタリアでは18世紀、ドイツでは19世紀から、ガスや電気といったエネルギー供給だけでなく、上下水道、公共交通サービスなどを行う地域企業として多くの役割を果たしています。

シュタットベルケの必要性
 シュタットベルケは、主にエネルギー電気、ガス、熱と水道など公共事業を同時に提供している公社です。日本の場合、地域インフラは、エネルギー事業:一般企業、交通サービス:交通事業者、公共施設:自治体、などバラバラの経営者が混在して構成されていますが、人口が減少する地方では、公共施設の経営ができなくなったり、交通事業者が不採算路線から撤退したりしてインフラの維持が難しくなるケースが増えています。こうした事態への対策として注目され始めたのが、「シュタットベルケ」です。

ドイツのシュタットベルケ
 シュタットベルケは、主に自治体が出資している「公社」です。 地元自治体が100%出資しているもの、他の自治体あるいは民間企業などと共同で運営しているもの、株式会社として上場しているものも存在します。シュタットベルケの最大の特徴は、「地域で得た利益を、地域の事業に使う」ことです。 主にエネルギー事業で収益を上げ、地域のインフラ整備や交通サービスなどに回し、一括経営することで、単独では赤字になってしまう地域サービスを維持しているのです。 エネルギー事業、上下水道の他に、廃棄物処理、交通サービス、温水プールなど、地域生活の 向上に必要な事業を担っているのです。 他にも、学校や幼稚園、図書館、劇場、博物館、病院、避難所、消防など生活を幅広くサポートするサービスを提供するところもあります。 多くのシュタットベルケが本業とする電力事業では、合計発電能力が3万メガワットに近く、ドイツ国内の発電設備容量の約21.5%に匹敵する容量です。その電源構成は自然エネルギー比率が高く、17.5%。シュタットベルケによる地域事業は雇用を生み出す存在でもあります。2018年のシュタットベルケの総売上は1161億ユーロ(約15兆円)、従業員数は26万8000人です。

電力自由化の皮肉な結果
 ドイツでは、98年から電力小売の自由化が始まりましたが、皮肉にも、電力価格が上がる結果となりました。自由化の下で競争が激化するにつれ、新電力会社が無理な事業経営をして倒産し、結局大手に集約され、寡占化されてしまったためです。 シュタットベルケも競争に晒されましたが、地域に根ざしているということと、多様な公共サービスを提供することで好感を得ていきました。

日本版シュタットベルケの先駆者、福岡県みやま市
 日本でも本年1月に「協働労働法」が全会派の賛同で成立しました。日本版シュタットベルケの先駆けとして有名なのが、福岡県みやま市です。みやま市では、市と民間企業との合同出資で、2015年「みやまスマートエネルギー」が設立されました。その目的は、エネルギーの地産地消による地域経済の活性化や雇用の創出などです。電力事業だけでなく、コミュニティスペースを運営して食品の地産地消の場所とする他、地元の業者からネットショッピングが可能な「みやま横丁」の運営、HEMS(エネルギー管理システム)を利用した高齢者の見守りなど、様々な事業を展開しています。その他、静岡県浜松市・掛川市、大阪府能勢町、島根県島根市・米子市、群馬県中乃条町などでも実現。地域から太陽光発電を含めた電力を買い取り、地域で売電し、その利益を地域の公共サービスに充てるという、「日本版シュタットベルケ」が完成しつつあり、今後は交通サービスなどの展開も期待されています。自然エネルギーを「インフラ地方分権」の契機にエネルギー事業を通じて、公共インフラの維持や雇用を生み出すのがシュタットベルケの基本です。地域で生み出した電力という資源から得られる利益を、地域外に流出させずに最大限活用できるのです。大手電力だけに頼ると、その地方の事情は必ずしも反映されず、災害時などのリスクも大きなものになります。自治体単位でインフラの運営を進めることで小回りのきく経営判断ができるというメリットもあり、地方が抱える問題を自らの手で解決できる手法として、今後の展開が期待されます。

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<寄稿>
コロナに思うこと 
持丸 邦子

 ワクチンは一応できましたが、変異株の登場で、まだ油断なりません。A香港型、Aソ連型など、型が違うと効かない期間を経て、ようやく流行の型が予測でき、ワクチンが効くという状態になって、先輩感染症のインフルエンザの管理ができるようになったのは、つい最近です。「だから、コロナワクチンで、コロナをコントロールできるようになるまでは、きっと二、三十年かかる」と私が話していましたら、「いや100 年かかるよ。スペインかぜは100年前だから」と、84歳のボランティア仲間の方から、お声がかかりました。そうです。スペインかぜはインフルエンザでした。100年前の写真をみるとマスク姿は今と同じです。コロナの出現前、マスクは、風邪以外では、本心を見せたくない若者のイメージでした。冬でもマスクをしなかった私は、夏でもマスクをしなければならない状況は早く終わってほしいと願います。
 一方、この状況は、東日本大震災での原発事故、気候変動、そしてコロナ、と人間の驕り、高ぶりへの戒めだと思います。これ以上の際限ない消費や経済成長には意味がない、これ以上、テレビに微細な画面や、車やパソコンの高性能を追求する必要は感じません。テレビは消費電力減、車や飛行機は安全性の確保が第一、パソコンは、いつでも正常に動けばいいのです。お気に入りの洋服が古くなったら、また、同じデザインがほしいのです。技術と知恵は、より多くの人が安心して生活するためのものであるべきです。
 コロナは、私たちに少し立ち止まって考える時間を与えてくれていると思います。今、何を新しくして、何を維持するべきかの分岐点です。“The Day After Tomorrow ”は、グレタ・トウンベリさんのような若者たちが大人たちに気候変動への関心を、と訴えているシーンから始まります。
 商業的価値を過大に追求して、肥大してきたオリンピックのやり方や、森首相のジェンダー発言、菅首相の長男の利益誘導問題など、日本の政治の仕組みも、ここで方向転換させる良い機会です。
 オンラインのイベントを通じて、世界とつながって社会的な運動を担う若者 が、シニアの継続参加を期待していることも知りました。(筆者は、 所沢のあすを考える市民フォーラム運営委員、青少年多文化学びサポート代表、城西大学非常勤講師)

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<新着情報・遅着情報>
小学生へ社会環境教育を実施

 小学生対象の、所沢市の「エコエネルギーを知ろう!」イベント(所沢こども ルネサンス実行委員会主催)に、 品川代表理事が、山宇農園で事前収録した動画(5分)と3月30日のイベント当日のリモートによる質疑(20分)で登場し、山宇農園発電所の意義をやさしく説明しました。 これは市のエコタウンづくりや市内の再生可能エネルギーを子供たちに具体的に知ってもらう社会環境教育の一環です。

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わが家の太陽光発電実践録 
TPS理事 森 斌

図7

 1980年8月に家を新築した時、「安い深夜電気を使うので絶対お得です」と言われ電気温水器を設置しました。当時は原発の建設ラッシュでしたが、深夜電力は夜間も止められない原発の余剰電力を使う為だという事には全く気づきませんでした。はっきり解ったのは2011年の原発事故後の事です。
 リストラで退職後の2002年2月「退職金のあるうちに投資し、老後の出銭を少しでも減らそう」と言うわけで出力4kw(125wのパネル32枚)の太陽光発電を約265万円(含補助金60万円・蓄電池なし)で設置したのが2002年10月。当時FIT制度はなく売値と買値が同じでした。
 我が家は陸屋根なのでパネルの汚れを心配して屋上に登って何度か掃除をしましたが、TVのアンテナに止まって落とされる鳥の糞以外は殆ど問題ないことが判り、アンテナを外した後は全く掃除をしていません。予期していなかった効果では、陸屋根の為、40℃を超えていた真夏の2階の温度(エアコンなし・通風せず)が2℃下がったことがあります。でも一番助かったのは、2011年の原発事故の時でした。コンセントを“連系 自立”に切り替えることによって夏の昼間の計画停電にもかかわらず冷蔵庫の中の食品を腐らせずに済みました。

図6


 FIT 制度が導入され、48円/kwh で買い取ってくれるようになりました。2016年以降の春~夏は買うよりも売値の方が多くなった月が半分位ありました。
 2019年12月にFIT価格が8.5円/kwh に引き下げられました。何社か当たってみましたが、一番使っている深夜電力を止めなければならないので「得にならない」と言われてしまいました。対策として 2020年10月に電気温水器をエコキュートに変え、深夜電力の使用量を減らしました。
 深夜電力は12.5 円/kwhですので、東京電力にとって原発を残さない限り赤字になっているはずで、いずれは値上げ又は廃止されるでしょう。その時は又対策を考えなければなりません。

スクリーンショット 2021-05-09 22.41.31

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<新着情報・遅着情報>
西武グループのソーラーシェアリング

 所沢市北岩岡で西武グループがソーラーシェアリングを建設しています。現在はパネルを取り付け中で、3月末に設備が完成し、その後作物を植える予定で進んでいます。(2月15日現在)
 北野最終処分場の跡地のメガソーラー「とことこソーラー」(1,050kw)と規模は殆ど同じで、山宇農園発電所の約30倍、架台がずらりと並んでいるのは正に壮観です。私達の発電所は小さいながらも所沢でのソーラーシェアリングの先駆者として、仲間が増える事はとてもうれしく思っています。

図8


()内数値は山宇農園発電所
事業主体:日立グリーンエナジー(株)
総出力:989.0kw(37.44kw)
パネル枚数:3,276枚(104枚)
架台高さ:4m(3.5m)
遮光率:36.05%(40.17%)
架台面積:12,675㎡(503 ㎡)
施工業者:西武造園(株)
農業主体:西武アグリ(株)
作物:ブルーベリー・ぶどう
   植付けは5〜6月ごろ、2022年夏から収穫予定
(取材報告と写真 森 斌)

一般社団法人(非営利型)所沢市民ソーラー会報 (略称TPS会報)
第8号 2021年(令和3年)4月1日発行
編集:TPS編集委員会 発行責任者:品川 昭
連絡先e-mail : tokorozawa.shimin.solar@gmail.com

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