踊る仔馬亭のオチなし脈絡なしエピソード #1 麻雀の話

リアルの友人3人で、踊る仔馬亭ゲームチャンネルとして YouTube での活動をさせてもらっている。
わりと頻繁にゲーム配信をするのだが、駄弁りを好む面々が集まった当然の結果として雑談に割かれる尺も長い。
リアルでの経験を数えきれないほど共有しているので、笑い話としてのエピソードトークは格好のネタとなっている。
必然、配信ではオチのあるエピソードが話題にのぼることが多い。
このシリーズでは配信で話すほどちゃんとしたオチがないエピソードを記事にしてみようと思う。

学生の頃、ハルさん・はちなさん・私の仔馬の3人(当時は踊る仔馬亭は存在していなかったが)+その他の友人1人を集めてよく徹夜で麻雀を打った。それはもう頻繁に打った。覚えたてのサルのように打った。徹マン明けにそのまま学校に行くことも茶飯事だった。私は徹マンを打ったその足で卒論発表に行ったほどであった。それほどハマっていた。

深夜に集合して朝まで麻雀を打つ。そこは異様に不健康な空間である。酒を飲みつつ、腹が減れば雀荘のメンバーさんにカップラーメンやカップ焼きそばを注文して食べる。空腹はそうして凌げるが、数時間もすると4人のうち誰かが抗いがたい睡魔に襲われはじめる。夜戦に弱いのははちなさんである。だいたい最初に船を漕ぎ始めるのは彼なのだが、しばらくするとそれに追従するように他のメンツも眠くなってくる。やがて、冬山で遭難したパーティーのように互いに「寝るな、寝るな」と声をかけながら打ち続けることになる。狂っている。寝ろよ。体に障るだろ。
何時間も睡眠を削って同姿勢で椅子に座ったまま、腹が減ればジャンクフードでそれを満たす。それをタバコの煙が蔓延している雀荘で行う不健康さが「ああ、いま俺たちは何もかもかなぐり捨てて遊んでいるんだな」というある種の開放感のようなものを惹起し、それに酩酊していたように思う。

私は非喫煙者だがタバコの臭いや副流煙は苦ではない。が、深夜から朝まで8時間も空気の循環していない雀荘で煙に燻されていると生地にタバコを練り込んだのではないかと思うほどに服がタバコ臭くなる。そのまま学校に行ってタバコ嫌いの女の子に会うと、臭い臭いと言われたものである。

もともと、ハルさんとはちなさんは麻雀のルールを知らなかった。
そこへ、幼稚園の頃から祖父が持ってたスーパーファミコンの麻雀ゲームで英才教育を施されたサラブレッドたる私が強力な洗脳を施した。3人とも頭を使うゲームが好きだ。それと同時に運が絡むゲームも好きである。2人が麻雀にハマるのは必然だったし、3人でゲーム配信をしているときと一緒に麻雀を打っているとき、話している内容や雰囲気はほとんど同じようなものなので、我々のゲーム+雑談のルーツといえばルーツのような気もする。

配信中もそうだが、ハルさんは麻雀の途中にも異様にトイレに行く。膀胱の容積が異常に小さいのではないかと思う。間取りで言えば四畳半のワンルームみたいな膀胱しか持たない彼は(さっき行ったばかりなのに)「ああ、トイレ行きてえトイレ行きてえ」みたいなことを言い、椅子に座ったままもじもじしながらリーチをかける。漏れそうならせめてゲーム展開上ではおとなしくしていてほしい。膀胱が狭いくせにリーチとかかけるな。こっちもいい手が入ってたのに。トイレ行ってからかけろ。

麻雀はゲームをプレイする環境も不健康だが、ゲームそのものも不健康なバランスである。ローカルルールの集合体、つぎはぎのパッチワークみたいなルールなので、まず役の価値と難易度が正比例していない。そのせいで、難しい役を苦労して作るよりとっととリーチをかけた方が大概のケースにおいてコスパがいい。点数計算もキャップと係数を持つ指数関数になっており、無駄に複雑な体系のうえ、出てくる数字もキリが悪く初心者が覚えにくい。ほとんど実現不可能な役も存在する。しかも4人でやるゲームなので、単純に考えて自分は4回に1回しかアガることができない。4回に3回は我慢の時間である。これも割に合わない。全きクソゲーである。

しかしながら同じ展開のゲームが2回出現することはないし、それなりに考えなければならないこともある。逆転も起こりやすくアツい展開になりやすい。運次第で初心者でも上級者にワンパン入れられる。攻撃型や守備型、じっくり派や速攻派など、性格によってそれぞれのスタイルが出てくるのも面白い。
何より気のおけない友人と長時間どうでもいいことを喋り、酒を飲み、ちょっと楽しくなったりやきもきしたりしながらやるのにちょうどいい、全き神ゲーである。

ちなみに仔馬で麻雀が最も強いのは私。通算でも圧倒的に勝ち越している。残りの2人は敗北者である。
最近は一緒に麻雀を打つ機会も減ったけど、そろそろ打ちたいな?
リベンジはいつでも受け付けてるからかかってこいよ敗北者さんよ。


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